本日の東京為替見通し(為替/FXニュース):ドル円、7-9月期GDP改定値で日銀利上げ確率の変化を見極めか(2024年12月9日)

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December 9, 2024

【前日の為替概況】ドル円一時149.37円まで下落、米11月失業率が4.2%へ上昇

6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は小幅に続落。
終値は150.00円と前営業日NY終値(150.10円)と比べて10銭程度のドル安水準だった。
11月米雇用統計で非農業部門雇用者数は+22.7万人と予想の+20.0万人を上回ったほか、11月米平均時給も予想より強いなど概ね良好な内容だったが、発表後はドル売りで反応。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」で、12月の利下げ確率が一時91%まで急上昇したため、市場では「利下げ予想を覆すほどの内容ではなかった」との見方から一時149.37円まで売り込まれた。

もっとも、ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事が「インフレのリスクは依然として顕著」などと述べると売りは一服。
12月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値が予想より良かったうえ、ハマック米クリーブランド連銀総裁が「利下げペースを緩める時期に近づいているか、すでにその時期」と述べたことも支えとなり150.13円付近まで持ち直した。

ユーロドルは4営業日ぶりに反落。
終値は1.0568ドルと前営業日NY終値(1.0586ドル)と比べて0.0018ドル程度のユーロ安水準だった。
米雇用統計の結果後はドル売りが進み、11月29日高値の1.0597ドルを上抜けると目先のストップロスを巻き込みながら1.0630ドルまで買い上げられた。
ただ、ベラルーシのルカシェンコ大統領から新たな中距離弾道ミサイルシステム提供を要求されたことに対して、プーチン露大統領が「配備は可能」と発言し、地政学リスクが高まると一転下落。
FRB高官からタカ派的な発言が続いたこともドルの買い戻しにつながり、1.0542ドルまで下落した。

カナダドルは軟調。
11月カナダ雇用統計で失業率が6.8%と2021年9月以来の水準まで悪化するとカナダ長期金利の低下とともにカナダドル安が進行。
対ドルでは1.4165カナダドル、対円では105.83円まで値を下げた。

ユーロ円は4営業日ぶりに反落。
終値は158.55円と前営業日NY終値(158.91円)と比べて36銭程度のユーロ安水準だった。
米雇用統計直後には一時159.58円まで値を上げたが、ドル円の下落やユーロドルの失速につれる形で158.10円まで売り込まれた。
その後は引けにかけて158円台前半から半ばでのもみ合いに終始した。

【本日の東京為替見通し】ドル円、7-9月期GDP改定値で日銀利上げ確率の変化を見極めか

本日の東京外国為替市場のドル円は、7-9月期実質GDP改定値を受けた日銀の利上げ確率の変化を見極めた後は、米中長期債利回りや日経平均株価の動向に沿った値動きが予想される。

ドル円の一目均衡表でのテクニカル分析では、攻防の分岐点である雲の上限150.11円付近で推移していることで、雲が支持帯として機能するのか、それとも雲の中へ入っていくのか、今後の注目ポイントとなっている。

11月30日に報じられた日本経済新聞電子版の植田和男日銀総裁のインタビューでは、総裁は追加利上げの時期について「データがオントラック(想定通り)に推移しているという意味では近づいている」との認識を示した。

また、12月5日のハト派の中村日銀審議委員の講演でも、オントラックに言及があり、GDPの2次速報(※本日発表)や12月調査の日銀短観(※13日発表)などのデータを確認したい、との見解が聞かれた。

本日8時50分に発表される7-9月期実質GDP改定値では、予想通りにオントラックであることを確認して、先週30%台に落ち込んだ18-19日の日銀金融政策決定会合での0.25%の利上げ確率の変化を見極めることになる。

また、先週末発表された11月の米雇用統計を受けて、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」で、12月17-18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率が90%前後まで上昇した。

非農業部門雇用者数は、ハリケーンによる減少の反動と航空大手ボーイングのストライキ終了を受けて、前月比22.7万人の増加だった。
さらに、10月は速報値の+1.2万人から+3.6万人へ上方修正(+2.4万人)され、9月は改定値の+22.3万人から+25.5万人へ上方修正(+3.2万人)されたことから、合計で5.6万人の上方修正となった。

しかし、失業率は4.245%(※四捨五入4.2%)となり、10月の4.145%(※四捨五入4.1%)から上昇し、就労者数は35.5万人減少していた。
そして、失職者(会社都合での解雇や契約終了)や完全解雇者数(会社都合の解雇者)も増加し、不完全雇用率や長期失業者の割合も上昇していたことで、労働市場は依然として調整過程にあることが示唆されていた。
さらに、景気後退(リセッション)が近づく前に先行して上昇する傾向がある黒人の失業率が6.4%へ上昇していたことも懸念材料となっている。

また、トランプ次期米大統領は、今年4月に、ドル円が34年ぶりの高値を更新して154円台に乗せた際に、「アメリカの製造業にとって大惨事」と述べており、ドル高・円安を牽制するような発言の可能性には引き続き警戒しておきたい。

【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間

<国内>
○08:50 ☆ 7-9月期実質国内総生産(GDP)改定値(予想:前期比0.2%/前期比年率0.9%)
○08:50 ◎ 10月国際収支速報
     ◇  経常収支(予想:季節調整前2兆3180億円の黒字/季節調整済2兆2551億円の黒字)
     ◎  貿易収支(予想:2950億円の赤字)
○14:00 ◇ 11月景気ウオッチャー調査(予想:現状判断指数47.4/先行き判断指数48.7)

<海外>
○10:30 ◎ 11月中国消費者物価指数(CPI、予想:前年比0.5%)
○10:30 ◎ 11月中国生産者物価指数(PPI、予想:前年比▲2.8%)
○17:00 ◇ 11月スイスSECO消費者信頼感指数(予想:▲38.0)
○21:00 ◎ 11月メキシコ消費者物価指数(CPI、予想:前年比4.59%)
○22:00 ◎ ラムスデン・イングランド銀行(英中銀、BOE)副総裁、講演
○24:00 ◇ 10月米卸売売上高
○非公式ユーロ圏財務相会合(ブリュッセル)

※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。

>本日発表予定のその他の経済指標についてはこちら

【前日までの要人発言】

6日08:48 赤沢経済再生相
(昨日の「物価目標実現しつつあるという日銀の認識を共有」との発言について)
「金融政策の具体的手法は日銀に委ねられている」

6日16:54 野田立憲民主党代表
「日銀の金融政策は、早く正常化に向かっていかなければいけない」
「政府・日銀の共同声明、もう実態と合っていない」
「異次元緩和の副作用で過度な円安になった」
「円安は消費者にとっては明らかにマイナス」

6日21:12 ディングラ英中銀金融政策委員会(MPC)委員
「金融政策は制約的過ぎるため、利下げが必要」

6日22:42 米WSJのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者
「米民間部門の雇用成長の3カ月移動平均は11月に13万8000に上昇し、5月以来の最高水準」

6日23:05 プーチン露大統領
「ベラルーシにオレシュニクシステム(新たな中距離弾道ミサイルシステム)を配備することは可能」
「ベラルーシに配備されるオレシュニクの標的はミンスクが決定する」

6日23:32 ボウマン米連邦準備理事会(FRB)理事
「まだ2%のインフレ目標を達成していない」
「政策に関する反対票を軽々しく投じることはない」
「利下げは慎重かつ段階的に進めたい」
「政策金利を急激に引き下げるとインフレを再燃させる可能性」
「インフレ抑制と労働市場の冷却において進展が見られた」
「経済状況は非常に強い」
「労働市場データの解釈が難しくなっている」
「インフレのリスクは依然として顕著」

7日00:52 グールズビー米シカゴ連銀総裁
「インフレは少し進んだが、米国は依然として2%目標に向かっていると考える」
「移民の動向が今後の労働力の規模に非常に大きな影響を与えるだろう」
「労働市場は概ね安定しているように見える」
「ここ数カ月の雇用統計は、持続可能な完全雇用の状態にあるように感じる」
「22.7万人の雇用増加は大きな数字だが、平均を見る必要がある」
「金利は1年後にはかなり低くなるだろう」
「利下げするかしないかの判断が難しい」
「12月会合の決定について事前に約束することはしない」

7日02:01 ハマック米クリーブランド連銀総裁
「利下げのペースを緩める時期に近づいているか、すでにその時期」
「経済状況はやや引き締め的な金融政策を必要」
「12月のFOMC会合についてはまだ多くのデータが入ってくるため、オープンな姿勢」
「現在から1月下旬までの間に1回の利下げを予想する市場の見方は妥当」
「経済は強く、労働市場は健全」

7日04:13 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁
「労働市場は引き続き良好な状態にあり、バランスが取れている」
「米連邦準備理事会(FRB)は行動を起こす前に新政権の政策を見極めるべき」

※時間は日本時間

>本日の要人発言をリアルタイムで確認するならこちら

〔日足一目均衡表分析〕

<ドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

ドル円1209

パラメータ1209

小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の上で引けているものの、売りシグナルが優勢な展開となっている。
2手連続陰線で転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は雲の上限150.11円を念頭に置き、転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス2 151.98(200日移動平均線)
レジスタンス1 150.94(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 150.00
サポート1 149.37(12/6安値)
サポート2 148.65(12/3安値)

>ドル円のリアルタイムチャートはこちら

<ユーロドル=12/2安値を支持に押し目買いスタンス>

ユーロドル1209

パラメータ1209

小陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯中。
しかし、孕み線で反落したものの、依然として転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は1.0546ドルの転換線を念頭に置き、2日の安値を支持に押し目買いスタンスで臨み、同水準を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 1.0636(日足一目均衡表・基準線)
前日終値 1.0568
サポート1 1.0461(12/2安値)

>ユーロドルのリアルタイムチャートはこちら

<ポンド円=転換線を支持に押し目買いスタンス>

ポンド円1209

パラメータ1209

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
しかし、3手連続陽線の後に抱き線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。

本日は転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 192.37(12/6高値)
前日終値 191.17
サポート1 190.36(日足一目均衡表・転換線)

>ポンド円のリアルタイムチャートはこちら

<NZドル円=転換線を抵抗に戻り売りスタンス>

NZドル円1209

パラメータ1209

陰線引け。
転換線は基準線を下回り、遅行スパンは実線を下回り、雲の下で引けていることで、三役逆転の強い売りシグナルが点灯している。
抱き線で反落して転換線を下回って引けており続落の可能性が示唆されている。

本日は転換線を抵抗に戻り売りスタンスで臨み、同線を上抜けた場合は手仕舞い。

レジスタンス1 88.59(日足一目均衡表・転換線)
前日終値 87.48
サポート1 86.27(9/16安値)

>NZドル円のリアルタイムチャートはこちら

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