週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、米関税巡る不透明感強い

市場見通し
◆ドル円、トランプ関税を巡る不透明感から上値重い
◆ドル円、米雇用統計など重要指標相次ぐ
◆ユーロドル、方向感なくドルに振らされる展開

予想レンジ
ドル円   141.00-146.00円
ユーロドル 1.1150-1.1600ドル

6月2日週の展望
 ドル円は、米関税政策を巡る不透明感が根強いことから上値の重い展開が想定される。米国際貿易裁判所が4月2日の「解放の日」にトランプ米大統領が発表した相互関税を差し止めたことを受けて、29日の東京市場では株高・ドル高が進んだが、海外時間に入ると一転してドル売りが優勢となった。トランプ政権が即日に控訴するなど一歩も引かない姿勢を示しており、最終的には連邦最高裁判所の判断に委ねられる可能性があるが、判決が下されるまでには相当時間がかかりそうだ。また、裁判所の差し止めにどの程度まで拘束力があるのかどうかは現時点では不透明であるうえ、鉄鋼・アルミニウム、自動車に賦課された関税には影響が及ばないため、仮に差し止めとなったとしても関税問題を巡る懸念が払しょくされず、ドルを積極的に買いづらいだろう。

 ドル円の上値を抑える要因としては、日銀の利上げ観測が再び意識されていることもある。日銀が発表した4月の全国消費者物価指数(CPI)に基づく基調的なインフレ率を捕捉するための指標は刈込平均値・加重平均値・最頻値ともに前月から上昇する結果となった。植田日銀総裁が見通し実現を前提に「継続して政策金利を引き上げる」と改めて述べたこともあり、再び日銀の早期利上げ観測を囃す声が出始めているのは確かだ。

 来週は6月2日に5月ISM製造業景況指数、6月3日に4月JOLTS求人件数、6月4日に5月ADP雇用統計や5月ISM非製造業景況指数、6月6日には5月雇用統計など米重要指標が相次ぐ。今週は弱い指標が目立ったこともあり、指標結果には警戒が必要だろう。

 ユーロドルは引き続き神経質な動きとなるだろう。根強いドル先安観が引き続き下値を支えることになるが、欧州連合(EU)と米国との関税協議を巡る不透明感も根強く、上値も限られそうだ。米雇用統計をはじめ米重要指標の結果を受けたドルに振らされる展開が想定される。米指標の他にも来週は6月2日に欧州各国の5月製造業PMI改定値、6月3日に5月ユーロ圏HICP速報値、6月5日に5月サービス部門PMI改定値の発表が予定されている。

5月26日週の回顧
 ドル円は荒い値動き。週前半に日銀総裁のタカ派発言を受けて142.12円まで下げる場面があったが、財務省が国債発行計画を見直すとの思惑から本邦金利が低下すると買い戻しが優勢に。米裁判所が米相互関税を違憲と判断すると買いが加速。一時146.28円まで買い上げられた。ただ、不透明感も根強く一巡後は一転して143.75円売り込まれている。

 ユーロドルは一進一退。米大統領がEUへの50%関税賦課を従来通り7月9日までに期限を戻したことで一時1.1419ドルまで上げたが、ドル円が買い戻されると一転して売りが優勢に。一時1.1210ドルまで下げる場面があったが、その後は再び1.1385ドルまで値を上げている。(了)

(執筆:5月30日、8:30)


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