特定口座とは|一般口座との違いや仕組みなどをわかりやすく解説
特定口座とは、株式や投資信託などの金融商品を取引するための証券口座の一種です。
税金の計算や申告を簡素化できる仕組みがあり、多くの個人投資家に利用されています。
本記事では、特定口座の仕組みや種類、一般口座・NISA口座との違いなどをわかりやすく解説します。
目次
- 1.特定口座とは
- 2.特定口座の種類
- 3.特定口座と一般口座の違い
- 4.特定口座とNISA口座の違い
- 5.特定口座のメリット・デメリット
- 6.特定口座に関するQ&A
- 7.【まとめ】特定口座とは|一般口座との違いや仕組みなどをわかりやすく解説
特定口座とは
特定口座とは、株式や投資信託などの金融商品の取引に伴う税金の計算や申告を簡素化できる証券口座です。
この制度は、投資によって生じた利益または損失にかかる税金の申告や納税の手間を軽減することを目的としています。
株式や投資信託などの取引に使う口座は、証券会社で開設する際に「一般口座」か「特定口座」のいずれかを選択します。
一般口座を選択した場合、投資で利益が出た際には原則として確定申告が必要です。
しかし、特定口座(源泉徴収あり)を利用すれば、証券会社が年間取引報告書の作成から税金の計算・納付まで代行してくれるため、原則として確定申告を行う必要がありません(ただし、一般口座や他社の特定口座との損益通算を行う場合や、譲渡損失の繰越控除を適用する場合には確定申告が必要となります)。
特定口座(源泉徴収あり)は、税務処理の手間を大幅に軽減できるメリットがあることから、多くの個人投資家に利用されています。
なお、FX取引には特定口座制度がないため、原則として確定申告が必要です。
特定口座の種類
特定口座は、源泉徴収あり(源泉徴収口座)と源泉徴収なし(簡易申告口座)の2種類があります。
- ・源泉徴収あり(源泉徴収口座)
- ・源泉徴収なし(簡易申告口座)
源泉徴収あり(源泉徴収口座)
特定口座の一種で、株式や投資信託の売却益などにかかる税金(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%の合計20.315%)を、証券会社があらかじめ計算し自動的に差し引き(源泉徴収)、国に納付する口座です。
証券会社が利用者に代わって税金を自動的に計算・徴収するため、税務処理の手間を大幅に軽減できます。
複雑な税務申告の負担を減らせることから、投資初心者や忙しい投資家などを中心に広く利用されています。
なお、配当金については、証券口座で「株式数比例配分方式」を選んでいれば、特定口座に含めて源泉徴収の対象とすることができます。
源泉徴収なし(簡易申告口座)
特定口座の一種で、株式や投資信託の売却益などにかかる税金について、証券会社が源泉徴収を行わず、投資家自身が確定申告で納税する口座です。
源泉徴収なしの特定口座は通称「簡易申告口座」とも呼ばれ、損益通算や繰越控除の利用がしやすい特徴があります。
節税効果が期待できる一方で、自分で確定申告を行う必要があり、手間がかかるのがデメリットです。
特定口座と一般口座の違い
特定口座と一般口座の違いは、税金の計算方法や確定申告の負担の有無にあります。
主な相違点は以下の通りです。
項目 | 特定口座 | 一般口座 |
---|---|---|
税金の計算 | 証券会社が代行 | 利用者自身が計算 |
年間取引報告書 | 証券会社が作成 | 基本は自分で管理・作成 |
源泉徴収の有無 | あり/なしを選択可能 | なし |
確定申告の必要性 | 源泉徴収ありなら基本不要、なしは必要 | 必要 |
利用者の負担 | 税務処理の負担が軽減される | 必税務処理の負担が大きい |
税金に関する手続きを証券会社がサポートしてくれるのが特定口座で、全て自分で行う必要があるのが一般口座です。
特定口座は投資初心者や忙しい投資家に向いており、一般口座は税務知識がある人や自分で取引管理を行いたい人に適しています。
特定口座とNISA口座の違い
続いて、特定口座とNISA口座の主な違いを比較します。
項目 | 特定口座 | NISA口座 |
---|---|---|
課税の有無 | 課税される(売却益や配当金に対して20.315%の税金がかかる) | 非課税(一定の投資枠内で売却益や配当金が非課税になる) |
投資上限の有無 | 上限なし | 上限あり(年間合計360万円:成長投資枠240万円+つみたて投資枠120万円) |
確定申告の必要性 | 源泉徴収ありなら基本不要、なしは必要 | 非課税なので不要 |
利用目的 | 課税口座で通常の投資に使用 | 税制優遇を活かした長期・少額投資向き |
両口座の最大の違いは、「課税口座か非課税口座か」という点です。
特定口座は課税口座で、税額計算や申告を証券会社が代行します。
一方、NISA口座は非課税口座で、売却益や配当金に税金がかかりません。
特定口座は税金の計算や確定申告の手間を省きたい人に適しており、NISA口座は税制優遇を最大限に活用したい人に向いています。
特定口座のメリット・デメリット
前述の通り、特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があり、それぞれ得られるメリットや注意すべき点が異なります。
特定口座(源泉徴収あり) | 特定口座(源泉徴収なし) | |
---|---|---|
メリット | ・確定申告が原則不要 ・証券会社が税金を自動計算・納付 ・年間取引報告書が発行され、取引内容を簡単に確認できる |
・年間取引報告書が発行され、取引内容を簡単に確認できる ・税額を自分で確認・調整できる ・損益通算や繰越控除が可能(確定申告が必要) |
デメリット | ・損益通算や繰越控除を利用する場合は確定申告が必要 ・納税のタイミングは証券会社の処理に依存し、自分で調整できない |
・確定申告が必須 ・税務手続きや計算の負担が大きい |
メリット
特定口座は、確定申告が原則不要であることが最大のメリットです。
証券会社が税金の計算や納付を代行し、年間取引報告書も自動で発行されるため、税務処理が非常にスムーズに行えます。
一方、源泉徴収なしの特定口座は確定申告が必要ですが、損益通算や繰越控除が利用でき、税額も自分で確認・調整可能なため、納税管理を自分のペースで進められる利点があります。
デメリット
源泉徴収ありの特定口座のデメリットとしては、損益通算や繰越控除を利用する場合に確定申告が必要になる点が挙げられます。
また、納税のタイミングは証券会社の処理に左右されるため、自分でコントロールできません。
一方、源泉徴収なしの特定口座では確定申告が必須で、税金の納付も自己管理となるため、手続きや税金計算の負担が大きいのがデメリットです。
特定口座に関するQ&A
特定口座に関するよくある質問に回答していきます。
- ・特定口座の源泉徴収ありでも確定申告は必要ですか?
- ・特定口座からNISA口座へ移管できますか?
- ・特定口座で損益通算はできますか?
特定口座の源泉徴収ありでも確定申告は必要ですか?
源泉徴収ありの特定口座では、原則として確定申告は不要です。
ただし、以下のようなケースでは確定申告が必要になることがあります。
-
・損益通算をする場合
他の証券口座や金融商品で生じた損失を利益と相殺することで、税負担を軽減できます。
・繰越控除をする場合その年に発生した損失を翌年以降の利益と相殺できる「損失の繰越控除」(最長3年間)を利用するには、確定申告が必要です。
・他に申告が必要な所得がある場合副業収入や不動産所得がある場合、または給与所得が2,000万円を超えるなど、他の理由で確定申告が必要になる場合です。
また、以下のようなケースでは確定申告をした方が税制上有利になる可能性があります。
-
・年間を通じて損失が出ていた場合(損失を翌年以降に繰り越せるため)
・他の証券口座で利益と損失が混在している場合(損益通算ができるため)
特定口座からNISA口座へ移管できますか?
基本的に、特定口座で保有している株式や投資信託などをNISA口座に直接移管することはできません。
特定口座とNISA口座で税制や管理のルールが異なり、同じ金融商品を直接移すことが認められていないからです。
そのため、特定口座で保有する銘柄をNISA口座で運用したい場合は、一度特定口座で売却し、改めてNISA口座で買い直す必要があります。
特定口座で損益通算はできますか?
特定口座でも損益通算は可能です。
特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、同一証券会社の特定口座内で行った株式や投資信託の売買による譲渡益と譲渡損失は、証券会社が自動的に損益通算し、税額の計算および納付まで代行してくれます。
ただし、他の証券会社の特定口座や一般口座との損益通算を行う場合は、自分で確定申告を行う必要があります。
【まとめ】特定口座とは|一般口座との違いや仕組みなどをわかりやすく解説
特定口座とは、税金の計算や申告を簡素化できる仕組みを備えている証券口座の1つです。
「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類があります。
源泉徴収ありの特定口座では、税金が自動的に差し引かれるため、基本的に確定申告は不要です。
一方、源泉徴収なしの特定口座では、自分で確定申告を行う必要があります。
特定口座を利用することで、投資初心者でも税金の手続きを簡単に行えます。
特に「源泉徴収あり」を選べば、税務の手間を大幅に減らすことが可能です。
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