JOLTS(求人労働異動調査)とは|意味・読み方・主要項目などを詳しく解説
JOLTS(求人労働異動調査)は、米労働省労働統計局(BLS)が毎月発表している雇用状況に関する統計データです。
企業の求人意欲や労働者の転職動向を示すことから、景気の先行指標として利用されます。
本記事では、JOLTSの意味や主要項目、他の雇用統計との違いなどをわかりやすく解説します。
目次
- 1.JOLTS(求人労働異動調査)とは
- 2.JOLTS(求人労働異動調査)の主要項目
- 3.JOLTS(求人労働異動調査)と他の雇用統計の違い
- 4.JOLTS(求人労働異動調査)に関するQ&A
- 5.【まとめ】JOLTS(求人労働異動調査)とは|意味・読み方・主要項目などを詳しく解説
JOLTS(求人労働異動調査)とは
まずは、JOLTS(求人労働異動調査)の意味と読み方について解説します。
- ・意味
- ・読み方
意味
JOLTSとは、米労働省労働統計局(BLS)が毎月発表している雇用関連の統計データのことです。
企業の求人件数、採用件数、離職件数などを示す経済指標で、米国の雇用市場における労働需給の動向や、労働市場の流動性を把握するための重要なデータとして注目されています。
企業の求人意欲や労働者の転職動向を反映することから、景気の先行指標として活用されます。
FRB(米連邦準備制度理事会)の金融政策判断における参考材料の1つとなっています。読み方
JOLTSは、「ジョルツ」と読みます。
英語の正式名称は、Job Openings and Labor Turnover Surveyで、その頭文字を取って「JOLTS」と略されます。
JOLTS(求人労働異動調査)の主要項目
JOLTS(求人労働異動調査)は、主に以下の3項目で構成されています。
- ・求人件数
- ・採用件数
- ・離職件数
求人件数
米国企業が募集している仕事の数を指します。
米労働省労働統計局(BLS)によると、「調査対象月の最終営業日に募集されている全ての職種」が該当します。
求人件数としてカウントされるためには、次の3つの条件を全て満たす必要があります。
- ・特定の職位があり、実際に業務が存在する(フルタイム・パートタイム、正社員・短期・季節雇用など形態は問わない)
- ・30日以内に勤務を開始可能である
- ・外部からの応募者を募るために積極的な採用活動が行われている(例:求人広告、インターネット掲示、面接、採用イベントなど)
求人件数は、労働市場における労働需要の強さを示す指標として活用されます。
採用件数
米企業が新たに雇用した労働者の数を指します。
BLSによると、「調査対象期間内に企業の従業員名簿(給与台帳)に新たに登録された全ての従業員」が該当します。
採用件数としてカウントされるのは、主に以下のケースです。
- ・新規採用や再雇用された従業員(フルタイム・パートタイム、正社員・短期・季節雇用など形態は問わない)
- ・一時解雇(レイオフ)から復職した従業員
- ・他の事業所や関連部門からの異動に伴い、従業員名簿に新たに登録された従業員
- ・採用後、同じ期間内に退職した従業員も含まれる
採用件数は、労働市場における雇用創出の勢いを示す指標として利用されます。
離職件数
米国企業において労働者が職を離れた人数を指します。
BLSによると、「調査対象期間内に企業の従業員名簿から削除された全ての従業員」が該当します。
離職件数に含まれる主なケースは、以下の通りです。
- ・自発的離職(退職・転職など)
- ・解雇や契約満了による非自発的離職
- ・一時解雇(レイオフ)
なお、退職後に同じ期間内に再雇用された従業員はカウント対象外です。
離職件数は、労働市場における労働力の流動性や雇用の安定性を把握するための指標として活用されています。
JOLTS(求人労働異動調査)と他の雇用統計の違い
ここでは、JOLTS(求人労働異動調査)と米国雇用統計、ADP雇用統計との違いをまとめます。
項目 | JOLTS | 米国雇用統計 | ADP雇用統計 |
---|---|---|---|
主な内容 | 求人、採用、離職件数など労働市場の流動性を示す指標 | 非農業部門雇用者数、失業率、労働参加率などの雇用状況を示す指標 | 民間部門の雇用者数の動向を示す指標 |
データの性質 | 実績データ(求人・採用・離職の実際の記録に基づく) | 実績データ(企業・政府からの調査に基づく集計値) | 民間企業の給与データを基にした推計値 |
発表時期 | 毎月、調査対象月の翌月末~翌々月初め頃に発表 | 毎月、原則として第1金曜日に発表 | 毎月、米国雇用統計発表の2営業日前に発表 |
発表元 | 米労働省労働統計局(BLS) | 米労働省労働統計局(BLS) | ADP社(民間企業) |
JOLTSと米国雇用統計は、いずれも米労働省労働統計局(BLS)が公表する重要な労働市場関連指標ですが、内容やデータの性質などに違いがあります。
JOLTSは求人、採用、離職件数を中心に、労働市場の流動性や労働者の入れ替わり状況を示す一方、米国雇用統計は非農業部門雇用者数や失業率、労働参加率など、労働市場全体の雇用状況を示す指標です。
また、ADP雇用統計は民間企業であるADP社が発表している速報性の高い指標で、米国雇用統計の直前に発表されるため、市場参加者から先行指標として重視されています。
JOLTS(求人労働異動調査)に関するQ&A
JOLTS(求人労働異動調査)に関するよくある質問に回答していきます。
- ・JOLTSはどこで確認できますか?
- ・JOLTSはいつ発表されますか?
- ・JOLTSが市場へ与える影響は?
JOLTSはどこで確認できますか?
JOLTSは、米労働省労働統計局(BLS)の公式サイトで確認できます。
・米労働省労働統計局(BLS)
また、多くのFX会社や経済・金融情報サイトでも発表スケジュールや最新の数値をチェック可能です。
OANDA証券では、「経済指標 予測カレンダー」で発表予定日や公表値を確認できます。
JOLTSはいつ発表されますか?
JOLTSは、調査対象月の約1か月後にBLSから発表されます。
具体的には調査対象月の翌月末~翌々月初め頃に公表されることが多く、発表日や曜日は固定されていません。
発表時間は、日本時間で通常午前0時(夏時間中は23時)です。
米国雇用統計と比べるとデータ発表までにタイムラグがあるため、速報性は劣ります。
JOLTSが市場へ与える影響は?
JOLTSは、労働市場の需給バランスや企業の採用意欲を把握するための重要な指標です。
求人件数が大幅に増加すると、労働市場のひっ迫が意識され、賃金の上昇圧力につながる可能性があります。
その結果、インフレ加速の懸念が強まり、米国の利上げや金融引き締め観測が高まり、金利や為替、株式市場に影響を及ぼす場合があります。
【まとめ】JOLTS(求人労働異動調査)とは|意味・読み方・主要項目などを詳しく解説
JOLTS(求人労働異動調査)とは、米労働省労働統計局(BLS)が毎月公表している雇用関連の統計データです。
主要項目は「求人件数」「採用件数」「離職件数」の3つで、労働市場の流動性や労働者の入れ替わり状況を示します。
これらのデータは、企業の採用意欲や労働者の転職動向を把握するうえで重要な指標となっており、労働市場の健全性や景気分析に活用されています。
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