ディスクロージャーとは|意味や企業が実施するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
ディスクロージャーとは、企業が投資家や株主、消費者、行政機関などに向けて情報を公開することです。
本記事では、ディスクロージャーを実施する意味やメリット、デメリットなどをわかりやすく解説します。
目次
- 1.ディスクロージャーとは
- 2.ディスクロージャーの主な種類(企業)
- 3.ディスクロージャーのメリット・デメリット(企業)
- 4.ディスクロージャーに関する用語
- 5.【まとめ】ディスクロージャーとは|意味や企業が実施するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
ディスクロージャーとは
はじめに、ディスクロージャーの意味と目的について解説します。
- ・意味
- ・目的
意味
ディスクロージャーとは、企業が投資家や株主、債権者、消費者、従業員、行政機関などに向けて情報を公開することです。
業績や財務状況、事業内容、将来見通しなど、投資判断において重要となる企業情報を幅広いステークホルダーに提供することを意味します。
目的
ディスクロージャーの主な目的は、投資家保護、公平な市場環境の実現、企業の説明責任履行とされています。
投資家は投資をする際、業績や財務状況、将来の見通しなどを基に判断します。
しかし、業績などの株価に影響を与える情報が大株主や機関投資家のような一部の投資家にしか知らされない場合、個人投資家は投資判断がしにくいため、不利になりやすいです。
投資判断における重要な情報を公平かつ平等に開示し、全ての投資家が安心して投資できる環境を構築することを目的としています。
また、企業による適正な情報開示は、株式市場の透明性や信頼性を保ち、公正な取引を維持するためにも重要な役割を果たしています。
企業にとっては情報を開示することで、投資家や既存の株主、取引先、従業員、消費者に信頼性や将来性をアピールし、さらなる投資の呼び込みやモチベーションの向上につながるメリットもあります。
ディスクロージャーの主な種類(企業)
ディスクロージャーには、大きく3つのパターンがあります。
- ・法定開示(法律による開示)
- ・適時開示(証券取引所ルールによる開示)
- ・任意開示(IR活動による自主的な開示)
法定開示(法律による開示)
法律に基づいて、企業に義務付けられている情報開示です。
金融商品取引法では、上場企業などに対して、投資家が適切な判断を行えるよう、有価証券報告書や四半期報告書などの開示が義務付けられています。
会社法では株主・債権者保護を目的とした情報開示が義務付けられており、上場企業は事業年度ごとに計算書類(貸借対照表、損益計算書など)を作成し、株主に開示しなければならないとしています。
適時開示(証券取引所ルールによる開示)
上場企業が株価に影響を及ぼす可能性のある情報を、速やかに市場に伝えるための開示です。
証券取引所が定める「適時開示制度」に基づき、重要な決定事項や発生事実(業績修正、M&A、役員の交代など)を公表します。
情報の透明性と公平性を保ち、投資家間の情報格差をなくすことが目的です。
任意開示(IR活動による自主的な開示)
法的義務はないものの、企業が自発的に行う情報提供活動です。
投資家や株主との良好な関係を築くために、決算説明会や統合報告書の公表、中期経営計画の発信などが行われます。
IR(Investor Relations)は、単なる情報提供にとどまらず、「双方向の対話」による信頼関係の構築も重視されるようになっています。ディスクロージャーのメリット・デメリット(企業)
メリット
企業にとってのディスクロージャーのメリットには、主に以下が考えられます。
- ・透明性の高い企業としてイメージアップを図れる
- ・投資家に投資先としてアピールできる
透明性の高い企業としてイメージアップを図れる
経営状況や財務状況、事業内容などの内部情報を開示することで透明性をアピールでき、投資家や取引先からのイメージアップにつながります。
また、一般消費者にとっても企業や商品の透明性が高いと、安心して商品やサービスを購入しやすくなります。
ディスクロージャーによって透明性をアピールすることで、投資家や取引先、消費者からの信頼を高められるメリットがあります。
投資家に投資先としてアピールできる
投資判断に重要な情報を公開することで、投資家に優良な投資先としてアピールできます。
業績や財務状況、将来展望などは投資判断をするためには必要不可欠な情報です。
ディスクロージャーを行った結果、投資家に「前期よりも業績が良さそう」「将来性に期待できるかも」と感じてもらえれば、さらなる投資を呼び込める可能性が高まると考えられます。
デメリット
一方で、ディスクロージャーには以下のデメリットもあります。
- ・コストや手間がかかる
- ・イメージダウンにつながる場合もある
コストや手間がかかる
情報開示には情報の精査や書類作成、場合によってはイベントの開催が必要になるため、その分の手間やコストが発生します。
また、ディスクロージャーを専門とする部署を設ける場合は、人材採用や教育によるコストが増加します。
外注する場合も報酬などの費用がかかるため、ディスクロージャーの実施にはコストの増加やリソースに負担がかかるという点は明確なデメリットです。
イメージダウンにつながる場合もある
ディスクロージャーは良い情報だけを開示するわけではありません。
経営悪化や不祥事など企業や投資家にとって悪い情報も開示するため、内容によってはイメージダウンになる場合もあります。
情報開示の結果、株価の下落、金融機関からの信頼低下、ブランドの毀損、売り上げの減少につながるデメリットがあります。
なお、悪い情報を出したくないからと隠ぺいや粉飾をした場合、よりイメージダウンするだけではなく、罰則や上場廃止の可能性も出てきます。
ディスクロージャーに関する用語
ディスクロージャーに関連して、よく使われている用語について解説していきます。
- ・ディスクロージャー誌
- ・フェア・ディスクロージャー
- ・ディスクロージャーポリシー
- ・ディスクロージャー制度
ディスクロージャー誌
財務内容や業務内容、組織構成などを開示している資料のことです。
銀行は銀行法第21条、保険会社は保険業法第111条、証券会社は金融商品取引法により、それぞれディスクロージャー誌の作成・公表が義務付けられています。
各金融機関のホームページや営業店舗等で一般に公開されており、誰でも閲覧することができます。
フェア・ディスクロージャー
株価に影響を及ぼすような重要な情報を特定の人物だけに提供することを禁止することがフェア・ディスクロージャーで、これを定めたルールがフェア・ディスクロージャー・ルールです。
2018年に改正された金融商品取引法(第27条の36)に基づいて導入された制度です。
フェア・ディスクロージャーの導入以前は、業績予想や財務状況などの重要な情報は機関投資家やアナリスト、大株主が優先的に入手でき、一般の個人投資家との間で伝達速度に差がありました。
この情報格差が問題視され、未公表の重要な情報を特定の人物に提供する場合には、それ以外の不特定多数の投資家にも速やかに公表することが義務付けられました。
これにより、情報の公平性が保たれ、インサイダー取引の防止にもつながっています。
ディスクロージャーポリシー
ディスクロージャーポリシーとは、企業がどのように情報開示を行うかを定めた基本方針のことです。
内容は企業ごとに異なりますが、基本的には情報開示の基準、情報開示の方法、沈黙期間、インサイダー取引の防止、業績予想や将来情報の取扱い、社内体制などが示されています。
上場企業のディスクロージャーポリシーはホームページにも記載されており、確認することが可能です。
ディスクロージャー制度
企業に対して、投資家が十分な投資判断を行えるように情報公開を義務付ける制度のことです。
代表的な開示資料には、有価証券報告書、四半期報告書、内部統制報告書、大量保有報告書などがあります。
ディスクロージャー制度は、主に金融商品取引法に基づいており、企業に対して投資判断に必要な情報を定期的・適時に開示することを義務付けています。
【まとめ】ディスクロージャーとは|意味や企業が実施するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説
ディスクロージャーとは、投資家や株主、行政機関、消費者など幅広いステークホルダーに向けて行う情報開示で、投資家保護を目的としています。
法律で開示が義務付けられている情報と企業が任意で行う情報提供活動があり、任意で行う情報提供活動はIRと呼ばれています。
企業側のディスクロージャーのメリットは、プラスになる情報を開示することで、投資家や消費者、従業員などにアピールができ、さらなる投資や購買につなげられる可能性がある点です。
一方で、マイナス情報の開示による信頼性やブランドイメージの低下、ディスクロージャーを実施するためのコスト増などのデメリットもあります。
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