景気動向指数とは|見方・目安・推移などをわかりやすく解説
景気動向指数は、生産や雇用など複数の指標を統合して、日本経済の現状と先行きを示す指標です。
政府や企業、金融機関、投資家などが、景気の把握や経済政策の判断材料として幅広く活用しています。
本記事では、景気動向指数の意味や見方、目安などをわかりやすく解説します。
景気動向指数とは
景気動向指数は、複数の経済指標を統合し作成される総合指数で、日本の経済活動の現状や先行きを示す重要な指標です。
この指数は日本の内閣府が作成し、毎月公表しています。
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2つの形式があります。
- ・CIとは
- ・DIとは
- ・見方・目安
CIとは
CI(Composite Index)は、生産・在庫・投資・雇用・消費・企業経営・金融・物価・サービスなど、複数の経済指標を総合して算出される指数で、景気変動の方向と、変化の程度を示します。
CIは、景気に先行して動く「先行指数」、ほぼ同時に動く「一致指数」、遅れて動く「遅行指数」の3種類に分類されます。
これらの指数を組み合わせて分析することで、景気の現状だけでなく、先行きや過去の動きまで総合的に把握できます。
DIとは
DI(Diffusion Index)は、複数の経済指標のうち、改善している指標の割合を示す指標です。
DIもCIと同様に、「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3種類に分類され、それぞれ景気の動きに対して異なるタイミングで変動します。
DIを活用することで、景気の拡大や縮小がどの程度幅広い経済分野に浸透しているかを把握でき、より詳細な景気分析が可能となります。
見方・目安
景気を把握する代表的な指標として、CI一致指数とDI一致指数があります。
これらの見方や目安は、以下の通りです。
指標 | 見方 | 目安 |
---|---|---|
CI一致指数 | 景気の現状を示す総合指数。 数値の上下で景気の拡張・後退を判断 |
数値の上昇は景気拡張局面 数値の低下は景気後退局面 |
DI一致指数 | 景気の現状の広がりを示す指標。 数値の増減で景気の広がりを判断 |
50%を上回ると景気拡張局面 50%を下回ると景気後退局面 |
CI一致指数は現在の景気の状態を示し、一般的に数値の上昇は景気拡張、低下は景気後退局面を意味します。
ただし、景気拡張局面でも数値が一時的に低下することがあるため、3か月や7か月の移動平均を用いて月ごとの変動を平準化することが望ましいとされています。
一方、DI一致指数は現在の景気の広がりを示し、一般的に50%を超えると景気拡大傾向、50%未満だと景気後退傾向と判断されます。
DIは景気の大きさや勢いを直接示すものではなく、あくまで改善の広がりを示す指標であるため、単独で景気全体の動きを判断する際には注意が必要です。
両指標を併せて確認することで、景気の状況をより正確に把握できる可能性があります。
景気動向指数は3つの指標に大別される
前述の通り、CIとDIはいずれも景気に対する動き方のタイミングによって、「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3つに大別されます。
- ・①先行指数
- ・②一致指数
- ・③遅行指数
①先行指数
先行指数は、景気の動きに先立って変動する複数の経済指標を総合したものです。
具体的には、新規求人数、新設住宅着工床面積、実質機械受注、消費者態度指数など、景気変動に先行して動く指標を組み合わせて作られています。
この指数は、数か月後の景気局面の転換(拡張または後退)を予測するものであり、経済政策の策定や企業の経営判断に役立てられています。
②一致指数
一致指数は、景気の現状を示す総合指数で、景気の動きとほぼ同時に変動する複数の経済指標を合成したものです。
具体的には、鉱工業生産指数、商業販売額、有効求人倍率など、景気の動きとほぼ同期して推移する指標を組み合わせて作られています。
この指数は、景気の拡張局面や後退局面を判断するうえで重要な指標とされています。
③遅行指数
遅行指数は、景気の動きに遅れて変動する複数の経済指標を総合したものです。
具体的には、完全失業率や法人税収入など、景気の変動に遅れて反応する指標を組み合わせて作られています。
遅行指数は、景気の転換が起きた後の動向を確認するために利用され、景気変動が定着しているかどうかを判断する重要な指標です。
景気動向指数の推移
出典:内閣府・景気動向指数
上のグラフは、1985年以降のCI一致指数の推移です。
CI一致指数はおおむね80~120の範囲で推移しており、景気後退期(グレーの帯の期間)には指数の低下が見られます。
また、CI一致指数の動きと景気の転換点はおおむね一致していることも確認できます。
景気動向指数に関するQ&A
景気動向指数に関するよくある質問は、主に以下の通りです。
- ・景気動向指数はどこで確認できますか?
- ・景気動向指数はいつ発表されますか?
- ・CIとDIの違いは何ですか?
景気動向指数はどこで確認できますか?
景気動向指数は、内閣府の公式サイトで確認できます。
・内閣府
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/menu_di.htmlこちらのページでは、先行指数・一致指数・遅行指数の最新値、過去データ、解説資料などが公開されています。
また、OANDA証券の「経済指標 予測カレンダー」で発表予定日や公表値を確認できます。
景気動向指数はいつ発表されますか?
景気動向指数は、毎月内閣府から発表されます。
速報値は月の上旬に公表され、その後、改訂値が月の下旬に発表されます。
発表時間は、原則として14時です。
具体的な日程は景気統計公表予定一覧で確認できます。
CIとDIの違いは何ですか?
CIとDIは、どちらも景気動向を測る指標ですが、その性質や役割が異なります。
CIは「経済全体の動きを複数の指標から合成して数値化した総合的な指数」で、DIは「どれくらいの割合の指標が良い方向に動いているか」を示す指標です。
CIは景気の状態を総合的に評価するのに適しており、DIは景気の変化の方向や勢いを把握するのに向いています。
両者を併用することで、景気の動向をより多面的に分析できます。
【まとめ】景気動向指数とは|見方・目安・推移などをわかりやすく解説
景気動向指数とは、複数の経済指標を統合して算出される総合指数のことです。
日本の経済活動の現状や将来の動向を把握・分析するうえで役立ちます。
景気動向指数には、コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)の2種類があり、ともに「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3つのタイプに分類されます。
これらを総合的に見ることで、より正確な景気動向の把握が可能となります。
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