市場見通し
◆豪ドル、インフレ低下で利下げ圧力拡大も株高が支え
◆豪ドル、米予算案と関税交渉がリスク要因
◆ZAR、イスラエルとイランの停戦で堅調推移
予想レンジ
豪ドル円 92.00-97.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
6月30日週の展望
豪ドルは、来週も引き続き神経質な値動きになることが予想される。国内情勢では豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力の拡大が重しになるが、イスラエルとイランの停戦合意を好感し、リスク選好の動きが豪ドルを支えることなる。ただ、米国の政治動向で不確定要素が多いこともあり、豪ドルをはじめ為替市場をボラタイルな動きにさせるだろう。
今週発表された、5月消費者物価指数(CPI)は前月の2.4%から2.1%へと低下。RBAとしては、月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないことから左程重要視はしていないが、インフレ圧力の低下により市場では利下げ予想が拡大している。来週は7月2日の5月住宅許可件数や小売売上高、3日には貿易収支が豪州から発表予定となっているが、RBA関係者からハト派寄りの発言が出た場合は豪ドルの重しになるだろう。
一方で、今週イスラエルとイランの間で停戦が合意されたことを受けて株式市場が堅調。リスクセンチメントに敏感な豪ドルの支えになり、利下げ圧力による豪ドル売りを相殺している。ただ、このまま両国が停戦合意を順守するかには引き続き注意しておきたい。
また、来週は豪国内からは市場を動意づけるイベントが少ない反面、米国の政治状況にも注目。特に7月4日までにトランプ米大統領が法案の可決を目指している「大きく美しい予算案(big, beautiful bill)」の行方が市場を大きく動意づけそうだ。下院では可決された法案だが、修正なく休会明けの上院で可決された場合は、歳出削減規模が縮まり、財政赤字がさらに拡大することになる。米債売りから、再び米トリプル安に陥るリスクもありそうだ。また、関税に関しても、7月9日の追加関税の猶予期限を前にして、交渉の進展具合も引き続き相場を動意づけるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調となりそうだ。ほぼすべてのエネルギーを輸入に頼っている南アにとっては、中東情勢が混乱すれば経済的に痛手を被るところだった。イスラエルとイランの停戦は、当然ZARの支えになるだろう。また、米国の関税賦課期限が迫っているが、中国との関係をより一層深めている南アにとっては、徐々に米国依存の経済から脱却しようとしており、ZARにはポジティブ要素だ。なお、来週の南アからの経済指標は30日に5月貿易収支、月次財政収支、7月2日には4−6月期BERインフレ期待が公表される。
6月23日週の回顧
豪ドルは堅調。先週末に米国がイランを空爆したことを受けて、リスク回避の動きから対ドルでは5月中旬以来となる0.63ドル後半まで一時売り込まれた。ただ、イスラエルとイランが停戦に合意すると、一転0.65ドル半ばまで買戻されている。豪ドル円も93円後半から94円後半までじり高だった。ZARも週明けは中東情勢を嫌気し軟調に推移したが、停戦合意を受けると大幅に買い戻された。対円では一時3月下旬の水準まで上昇した。(了)
(執筆:6月27日、10:30)
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◆豪ドル、米予算案と関税交渉がリスク要因
◆ZAR、イスラエルとイランの停戦で堅調推移
予想レンジ
豪ドル円 92.00-97.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
6月30日週の展望
豪ドルは、来週も引き続き神経質な値動きになることが予想される。国内情勢では豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力の拡大が重しになるが、イスラエルとイランの停戦合意を好感し、リスク選好の動きが豪ドルを支えることなる。ただ、米国の政治動向で不確定要素が多いこともあり、豪ドルをはじめ為替市場をボラタイルな動きにさせるだろう。
今週発表された、5月消費者物価指数(CPI)は前月の2.4%から2.1%へと低下。RBAとしては、月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないことから左程重要視はしていないが、インフレ圧力の低下により市場では利下げ予想が拡大している。来週は7月2日の5月住宅許可件数や小売売上高、3日には貿易収支が豪州から発表予定となっているが、RBA関係者からハト派寄りの発言が出た場合は豪ドルの重しになるだろう。
一方で、今週イスラエルとイランの間で停戦が合意されたことを受けて株式市場が堅調。リスクセンチメントに敏感な豪ドルの支えになり、利下げ圧力による豪ドル売りを相殺している。ただ、このまま両国が停戦合意を順守するかには引き続き注意しておきたい。
また、来週は豪国内からは市場を動意づけるイベントが少ない反面、米国の政治状況にも注目。特に7月4日までにトランプ米大統領が法案の可決を目指している「大きく美しい予算案(big, beautiful bill)」の行方が市場を大きく動意づけそうだ。下院では可決された法案だが、修正なく休会明けの上院で可決された場合は、歳出削減規模が縮まり、財政赤字がさらに拡大することになる。米債売りから、再び米トリプル安に陥るリスクもありそうだ。また、関税に関しても、7月9日の追加関税の猶予期限を前にして、交渉の進展具合も引き続き相場を動意づけるだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は堅調となりそうだ。ほぼすべてのエネルギーを輸入に頼っている南アにとっては、中東情勢が混乱すれば経済的に痛手を被るところだった。イスラエルとイランの停戦は、当然ZARの支えになるだろう。また、米国の関税賦課期限が迫っているが、中国との関係をより一層深めている南アにとっては、徐々に米国依存の経済から脱却しようとしており、ZARにはポジティブ要素だ。なお、来週の南アからの経済指標は30日に5月貿易収支、月次財政収支、7月2日には4−6月期BERインフレ期待が公表される。
6月23日週の回顧
豪ドルは堅調。先週末に米国がイランを空爆したことを受けて、リスク回避の動きから対ドルでは5月中旬以来となる0.63ドル後半まで一時売り込まれた。ただ、イスラエルとイランが停戦に合意すると、一転0.65ドル半ばまで買戻されている。豪ドル円も93円後半から94円後半までじり高だった。ZARも週明けは中東情勢を嫌気し軟調に推移したが、停戦合意を受けると大幅に買い戻された。対円では一時3月下旬の水準まで上昇した。(了)
(執筆:6月27日、10:30)
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DZH Finacial Research
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