市場見通し
◆正副BOE総裁、雇用情勢の急速悪化に懸念
◆ポンド、ドル安が支えも英中銀の追加利下げ観測の高まりで売りも入りやすい
◆加ドル、貿易交渉の行方や利下げめぐりデータを確認しつつドルに左右
予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 105.00-108.00円
6月30日週の展望
中東情勢への警戒感はいったん落ち着き、市場の目線は再びトランプ関税や米大型減税案などに向けられている。来週も、米早期利下げ観測が高まる中での米雇用統計が注目されるなど、ドル主役の相場展開が予想される。トランプ米大統領が自ら設定した貿易協定締結の期限となる7月9日まで後2週間と迫っており、主要貿易相手国・地域との交渉は山場を迎えている。
今週の英上院経済委員会の公聴会でベイリーBOE(イングランド銀行、英中銀)総裁とラムスデン副総裁は、「労働党政権による予算で雇用コストが急増した影響の拡大もあり、国内の雇用情勢が急速に悪化している形跡が増えている」と指摘した。また、給与の上昇ペースについても「減速傾向にある」と明言した。4月に導入された雇用主向けの給与増税と最低賃金の引き上げという負担増に労働市場が耐えられなくなりつつあり、BOEは8月にも追加利下げを実施する観測が高まっている。ドル安が支えとなるも、英中銀の利下げ観測の高まりが上値を重くしそうだ。
6月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.7と、景気判断の分岐点とされる50を9カ月連続で下回ったが、前月の46.4からは改善し、サービス部門PMIは51.3と3カ月ぶりの高水準となった。景気後退への過度な懸念は和らいだが、企業活動の伸びは依然として厳しいとの声が多い。20日に発表された5月小売売上高は、前月比-2.7%と2023年12月以来最も大幅な落ち込みを記録した。来週は1-3月期GDP改定値、6月建設業PMIと6月製造業・サービス部門PMI改定値などの発表が予定されている。
カナダでは、来週予定の経済指標は5月貿易収支程度と少なく、加ドルは米加貿易協議の進展に注目しつつも、ドルに左右される動きが続きそうだ。5月消費者物価指数(CPI)は前年比1.7%と予想や前月と変わらずの結果となった。ただ、カナダ中銀(BOC)が重視するコアインフレ指標のCPI中央値とCPIトリムはともに3.0%と前月からやや低下し中銀のインフレ目標(1-3%)の上限まで水準を切り下げた。BOCは2会合連続で政策金利の据え置きを決定したが、5月と6月のインフレ指標は7月末に予定されている次回会合で利下げに踏み切るかどうかを判断する重要な手がかりとなる。トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウム、自動車に対する関税やカナダの対抗措置の影響はまだ鮮明になっていないが、住宅ローン費用や家賃は着実に減速している。
6月23日週の回顧
今週はドルに振り回される動きとなった。週明けは中東リスクを背景に「有事のドル買い」が先行したが、イラン・イスラエルが停戦合意したことを受けてドル買い意欲が後退。米早期利下げ観測の高まりを手がかりにドル売りが優勢となり、ポンドドルは2021年10月以来の高値水準となる1.37ドル半ばまで上昇した。加ドルは原油相場が乱高下する中、方向感が出ず、ドル/加ドルは1.37加ドルを挟んで神経質な動きとなった。ポンド円は198円後半まで年初来高値を更新。加ドル円は2月以来の107円台に上昇したが、ドル円が失速し伸び悩んだ。(了)
(執筆:6月27日、10:30)
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◆ポンド、ドル安が支えも英中銀の追加利下げ観測の高まりで売りも入りやすい
◆加ドル、貿易交渉の行方や利下げめぐりデータを確認しつつドルに左右
予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 105.00-108.00円
6月30日週の展望
中東情勢への警戒感はいったん落ち着き、市場の目線は再びトランプ関税や米大型減税案などに向けられている。来週も、米早期利下げ観測が高まる中での米雇用統計が注目されるなど、ドル主役の相場展開が予想される。トランプ米大統領が自ら設定した貿易協定締結の期限となる7月9日まで後2週間と迫っており、主要貿易相手国・地域との交渉は山場を迎えている。
今週の英上院経済委員会の公聴会でベイリーBOE(イングランド銀行、英中銀)総裁とラムスデン副総裁は、「労働党政権による予算で雇用コストが急増した影響の拡大もあり、国内の雇用情勢が急速に悪化している形跡が増えている」と指摘した。また、給与の上昇ペースについても「減速傾向にある」と明言した。4月に導入された雇用主向けの給与増税と最低賃金の引き上げという負担増に労働市場が耐えられなくなりつつあり、BOEは8月にも追加利下げを実施する観測が高まっている。ドル安が支えとなるも、英中銀の利下げ観測の高まりが上値を重くしそうだ。
6月製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.7と、景気判断の分岐点とされる50を9カ月連続で下回ったが、前月の46.4からは改善し、サービス部門PMIは51.3と3カ月ぶりの高水準となった。景気後退への過度な懸念は和らいだが、企業活動の伸びは依然として厳しいとの声が多い。20日に発表された5月小売売上高は、前月比-2.7%と2023年12月以来最も大幅な落ち込みを記録した。来週は1-3月期GDP改定値、6月建設業PMIと6月製造業・サービス部門PMI改定値などの発表が予定されている。
カナダでは、来週予定の経済指標は5月貿易収支程度と少なく、加ドルは米加貿易協議の進展に注目しつつも、ドルに左右される動きが続きそうだ。5月消費者物価指数(CPI)は前年比1.7%と予想や前月と変わらずの結果となった。ただ、カナダ中銀(BOC)が重視するコアインフレ指標のCPI中央値とCPIトリムはともに3.0%と前月からやや低下し中銀のインフレ目標(1-3%)の上限まで水準を切り下げた。BOCは2会合連続で政策金利の据え置きを決定したが、5月と6月のインフレ指標は7月末に予定されている次回会合で利下げに踏み切るかどうかを判断する重要な手がかりとなる。トランプ米政権による鉄鋼・アルミニウム、自動車に対する関税やカナダの対抗措置の影響はまだ鮮明になっていないが、住宅ローン費用や家賃は着実に減速している。
6月23日週の回顧
今週はドルに振り回される動きとなった。週明けは中東リスクを背景に「有事のドル買い」が先行したが、イラン・イスラエルが停戦合意したことを受けてドル買い意欲が後退。米早期利下げ観測の高まりを手がかりにドル売りが優勢となり、ポンドドルは2021年10月以来の高値水準となる1.37ドル半ばまで上昇した。加ドルは原油相場が乱高下する中、方向感が出ず、ドル/加ドルは1.37加ドルを挟んで神経質な動きとなった。ポンド円は198円後半まで年初来高値を更新。加ドル円は2月以来の107円台に上昇したが、ドル円が失速し伸び悩んだ。(了)
(執筆:6月27日、10:30)
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DZH Finacial Research
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