週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、相互関税、米雇用統計に注目

市場見通し
◆ドル円、早期のトランプ相互関税率通告の可能性や6月雇用統計に注意
◆6月米ISM製造業・非製造業景気指数やFRB高官の発言にも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月HICP、欧米関税協議、ECBフォーラムに注目

予想レンジ
ドル円   142.00-147.00円
ユーロドル 1.1400-1.1900ドル

6月30日週の展望
 ドル円は、米相互関税期限である7月9日以前の前倒し通告の可能性に警戒しつつ、米国の経済指標などを見極めながら、7月29-30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの可能性を探る展開となるだろう。

 パウエルFRB議長が24、25日の議会証言で「インフレが予想を下回る、ないしは労働市場が悪化した場合は、FOMCはより早期に利下げに踏み切る可能性がある」と述べていたことで、来週は7月1日と7月3日に予定されている6月ISM製造業・非製造業景気指数での物価・雇用指標や、7月3日公表の6月雇用統計での雇用情勢や平均賃金などに注目したい。

 雇用統計の予想は、失業率が4.3%で5月の4.2%から悪化、非農業部門雇用者数は前月比11.8万人で、5月の14.0万人からの増加幅の減少、雇用情勢の悪化が見込まれている。先週末から今週にかけては、次期FRB議長候補のウォラーFRB理事やタカ派のボウマンFRB副議長が7月FOMCでの利下げの可能性にも言及しており、早期利下げへの警戒感が高まりつつある。

 また、日米の通商交渉は6回の閣僚級協議(※7回目が開催中)とG7サミットでの首脳会談でも合意に至っていない。11日にはトランプ米大統領が「一方的に関税率を設定し、今後2週間以内に各国・地域に書簡を送る」と述べており、相互関税一時停止期限の7月9日より前での関税率の通告には警戒しておきたい。

 さらに、「トランプ米大統領は、2026年5月に任期満了となるパウエルFRB議長の後任人事を早期に選任する」とWSJが報じており、関連する報道などにも注意が必要だろう。

 ユーロドルは、今週、直近の高値を上抜けて底堅い展開となったが、30日から7月2日にかけてポルトガルで開催される欧州中央銀行(ECB)年次フォーラムでの関税スタグフレーションやユーロ高に対する見解、欧米関税協議に関するヘッドラインを注視しながら、6月のユーロ圏消費者物価指数や卸売物価指数を見極めていく展開となる。

6月23週の回顧
 ドル円は、米軍によるイラン核施設への空爆を受け、有事のドル買いから148.03円まで上昇したが、イスラエルとイランが停戦合意したほか、トランプ米大統領による次期FRB議長早期指名の報道などで、一転して143.75円まで反落した。ユーロドルは、有事のドル買いで週初に1.1454ドルまで下落したものの、その後は米早期利下げ観測の台頭から米長期金利が低下。12日の高値1.1631ドルを上抜けて一時1.1744ドルまで買戻されている。(了)

(執筆:6月27日、10:30)


OANDA CFD

Provided by
DZH Finacial Research

「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。 豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
一覧へ戻る

ホーム » マーケットニュース » 週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、相互関税、米雇用統計に注目