週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日米貿易交渉の行方に注目

市場見通し
◆ドル円、米相互関税率などに注目
◆FOMC議事要旨、6月米財政収支、イランと米国の核協議にも注意
◆ユーロドル、米相互関税率やユーロ圏5月小売売上高や独5月鉱工業生産に注目

予想レンジ
ドル円   142.00-147.00円
ユーロドル 1.1450-1.1900ドル

7月7日週の展望
 ドル円は、米相互関税の猶予期限である9日以降に通告される予定の新たな関税率に警戒しながら、米国の財政赤字への警戒感が高まりつつあることで、11日に公表される6月の財政収支や関税収入などに注目していく展開が予想される。

 3日に発表された6月雇用統計を受けて雇用情勢悪化の懸念は払拭されたものの、米国の1-5月の貿易赤字が前年比で約50%拡大しており、貿易赤字削減を標榜しているトランプ米政権による関税率の引き上げやドル安圧力が高まる可能性がある。
トランプ米大統領は今週、「日本との自動車貿易は不公正であり、コメ不足にも関わらず米国産のコメを輸入しない」と批判。一時停止中の相互関税率(24%)を超える「30%か35%の関税を賦課する」ことを警告した。通商協議が不調に終わって相互関税が引き上げられた場合には、日本の景況感悪化懸念が高まり、20日に投開票が行われる参議院選挙での与党敗北の可能性も高まる。政局に突入した場合の市場の反応には十分注意したいところだ。

 また、米国では、9日にFOMC議事要旨(6月17‐18日開催分)が公表されるが、地区連銀景況報告での景気判断が、前回の「ほとんど停滞(little changed)」から「わずかながら減退(declined slightly)」に引き下げられ、景気減速が認識されていたなか、全会一致で政策金利据え置きが決定されたほか、「経済金利見通し」のドットプロットでは年内の利下げ不要としたメンバーが4名から7名に増えていたことへの見解などを確認することになるだろう。

 さらに、来週は米国とイランが6回目の核協議に臨む予定。休戦合意と絡めて関連する報道に注意が必要だ。

 ユーロドルは、デギンドスECB副総裁が、「1.20ドルまでのユーロ高は無視できるが、それ以上の水準は複雑になる」との懸念を示しており、警戒ゾーンに入りつつある。ユーロドルの上昇は、欧州の財政拡張政策を受けた欧州投資家による米国投資からの資金回帰が主因となっているが、トランプ相互関税率次第では関税スタグフレーションの可能性が高まることで、上値を抑える要因となる。指標では、7日のユーロ圏5月小売売上高や独5月鉱工業生産などにも要注目。

6月30週の回顧
 ドル円は、米長期金利の低下を受けて一時142.68円まで値を下げたものの、その後は6月米雇用統計が予想を大幅に上回る強い数字となったことから一転して買い戻し。一時145.23円まで値を上げている。なお、米10年債利回りは4.18%台まで低下した後、週末にかけては4.35%台まで上昇した。ユーロドルは前週から続き上値を追う展開となると一時1.1829ドルまで買われたものの、その後は米長期金利の急上昇につれて1.17ドル台前半まで下落した。(了)
(執筆:7月4日、9:30)


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