市場見通し
◆週明け、参院選の結果次第で対円では荒い動きに
◆ポンド、7月PMIや6月小売売上高が重しとなる可能性
◆加ドル、米国との通商関係に注視だが、交渉目的に変化も
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 106.00-110.00円
7月21日週の展望
20日投開票の参議院選挙の結果次第で、ポンドや加ドルは週明けから対円では値幅を伴った荒い動きに注意したい。注目は、連立政権を組む自民党と公明党が多数派を維持できるかどうか。与党苦戦のニュースが目立ち、非改選議席と合わせて過半数確保は微妙との見方が広がっている。参院選の序盤から野党に勢いはあったが、終盤でも支持を着実に固めている。
もっとも、野党優勢は投資家にとっては日本売りを強める材料でもある。前評判の良い党は財政拡張策を掲げており、それが財政リスク懸念を高めているからだ。本邦の超長期債相場は軟調な地合いのまま(金利は上昇基調)、30年債利回りは過去最高を更新。為替は金利上昇で円高となる局面があるも、あくまで一時的な動きだ。結局は本邦債売りからの円売りという構図となっている。
「選挙は水物」と言われており、自公民の組織票が土壇場で盛り返すかもしれないが、与党大敗となれば、日本が祝日の週明け21日の円相場は週末と違った水準で始まる可能性もあり注意したい。
英国では経済成長の減速懸念が高まるなか、今週は週後半に7月製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、6月小売売上高が発表予定。11日発表の5月国内総生産(GDP)や鉱工業生産は小幅プラスや横ばいと、4月分からの改善予想から一転してマイナスに沈んだ。財政不安も高まるなかで下振れた経済指標は、明らかにその後のポンド相場の重しとなっている。
今週発表された6月消費者物価指数(CPI)は予想外に加速していたものの、3-5月失業率(ILO方式)は4.7%と予想より悪く、約4年ぶりの高い水準を記録した。6月インフレ率の上振れで英中銀の利下げペースが鈍るとの思惑はあるが、深刻な労働市場の冷え込みは無視できない。PMIや小売売上高がさえないようだと、英金利先安観の強まりでポンドは上がりづらくなるだろう。
カナダでは、24日に5月小売売上高が発表され、「自動車を除く前月比」の改善度合いがポイントの1つ。ただし、加ドルにとってより重要なのは、なかなか溝が埋まらない貿易を巡る米加関係の行方だろう。8月1日の追加関税期限が迫るなか、カーニー加首相は関税撤廃を目的とする交渉の断念を示唆。米国との貿易協定には、カナダ製品への課税受入れを含む可能性が出てきた。
ただ、米国に歩み寄り始めた一方で、対米でメキシコと連携する姿勢を見せている。加墨の両首脳は電話会談で、米政権の関税措置を踏まえ、貿易協力の強化で合意した。この動きが、トランプ米大統領の暴走にブレーキをかけることができるのか見定めたい。
7月14日週の回顧
ポンド円は全般円安が進むなか199円後半まで上昇も、9日高値には届かず失速。パウエルFRB議長の解任観測報道でドル円が急落すると、つれて198円を割り込んだ。ただ一巡後は199円台まで切り返した。加ドル円は1月下旬以来の108円後半まで上値を伸ばしたが、その後の円買い戻しで107円前半まで沈んだ。一巡後は108円台を回復している。ポンドドルは1.35ドル付近から1.3360ドル台まで下落。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばまで加ドル安に振れた。(了)
(執筆:7月18日、9:00)
(小針)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆ポンド、7月PMIや6月小売売上高が重しとなる可能性
◆加ドル、米国との通商関係に注視だが、交渉目的に変化も
予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 106.00-110.00円
7月21日週の展望
20日投開票の参議院選挙の結果次第で、ポンドや加ドルは週明けから対円では値幅を伴った荒い動きに注意したい。注目は、連立政権を組む自民党と公明党が多数派を維持できるかどうか。与党苦戦のニュースが目立ち、非改選議席と合わせて過半数確保は微妙との見方が広がっている。参院選の序盤から野党に勢いはあったが、終盤でも支持を着実に固めている。
もっとも、野党優勢は投資家にとっては日本売りを強める材料でもある。前評判の良い党は財政拡張策を掲げており、それが財政リスク懸念を高めているからだ。本邦の超長期債相場は軟調な地合いのまま(金利は上昇基調)、30年債利回りは過去最高を更新。為替は金利上昇で円高となる局面があるも、あくまで一時的な動きだ。結局は本邦債売りからの円売りという構図となっている。
「選挙は水物」と言われており、自公民の組織票が土壇場で盛り返すかもしれないが、与党大敗となれば、日本が祝日の週明け21日の円相場は週末と違った水準で始まる可能性もあり注意したい。
英国では経済成長の減速懸念が高まるなか、今週は週後半に7月製造業/サービス部門購買担当者景気指数(PMI)、6月小売売上高が発表予定。11日発表の5月国内総生産(GDP)や鉱工業生産は小幅プラスや横ばいと、4月分からの改善予想から一転してマイナスに沈んだ。財政不安も高まるなかで下振れた経済指標は、明らかにその後のポンド相場の重しとなっている。
今週発表された6月消費者物価指数(CPI)は予想外に加速していたものの、3-5月失業率(ILO方式)は4.7%と予想より悪く、約4年ぶりの高い水準を記録した。6月インフレ率の上振れで英中銀の利下げペースが鈍るとの思惑はあるが、深刻な労働市場の冷え込みは無視できない。PMIや小売売上高がさえないようだと、英金利先安観の強まりでポンドは上がりづらくなるだろう。
カナダでは、24日に5月小売売上高が発表され、「自動車を除く前月比」の改善度合いがポイントの1つ。ただし、加ドルにとってより重要なのは、なかなか溝が埋まらない貿易を巡る米加関係の行方だろう。8月1日の追加関税期限が迫るなか、カーニー加首相は関税撤廃を目的とする交渉の断念を示唆。米国との貿易協定には、カナダ製品への課税受入れを含む可能性が出てきた。
ただ、米国に歩み寄り始めた一方で、対米でメキシコと連携する姿勢を見せている。加墨の両首脳は電話会談で、米政権の関税措置を踏まえ、貿易協力の強化で合意した。この動きが、トランプ米大統領の暴走にブレーキをかけることができるのか見定めたい。
7月14日週の回顧
ポンド円は全般円安が進むなか199円後半まで上昇も、9日高値には届かず失速。パウエルFRB議長の解任観測報道でドル円が急落すると、つれて198円を割り込んだ。ただ一巡後は199円台まで切り返した。加ドル円は1月下旬以来の108円後半まで上値を伸ばしたが、その後の円買い戻しで107円前半まで沈んだ。一巡後は108円台を回復している。ポンドドルは1.35ドル付近から1.3360ドル台まで下落。加ドルは対ドルで1.37加ドル半ばまで加ドル安に振れた。(了)
(執筆:7月18日、9:00)
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