市場見通し
◆豪ドル、雇用統計で利下げ思惑広がる
◆NZドル、4-6月期CPIに注目
◆ZAR、中銀総裁はインフレの不透明感を指摘
予想レンジ
豪ドル円 93.50-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月21日週の展望
豪ドルはさえない動きとなりそうだ。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任騒動で一時的にドル売りの反応が見られる場面もあったが、その後はすぐにドル買い戻しの流れに戻り、改めてドル買いの強さが確認された。来週もトランプ米大統領の言動に注意する必要があるものの、基本的には豪ドルも対ドルで売りに押される展開が続きそうだ。
また、今週発表された6月豪雇用統計がさえない結果となったことも豪ドルの重しとなるだろう。新規雇用者数や失業率はいずれも市場予想より弱い結果となり、若年層の失業率は9.6%まで上昇した。豪準備銀行(RBA)理事会が前回(7-8日)の会合で指摘していた「労働市場のひっ迫」とは異なる内容となり、市場では「RBAが予想よりも早くタカ派的な姿勢を放棄せざるを得なくなる可能性がある」との思惑が広がっている。RBAが次回(8月11-12日)の理事会で再び利下げに動くかどうかの最終的な判断は今月30日の4-6月期消費者物価指数(CPI)を待つ必要があるが、当面は豪金利先安観が意識されるだろう。なお、金利先物市場では現在、8月理事会での0.25%利下げをほぼ100%程度織り込んだ状態にある。
隣国のニュージーランド(NZ)では、21日に予定されている4-6月期CPIに注目が集まるだろう。NZ準備銀行(RBNZ)のホークスビー総裁は「金利は中立水準に近い」と言及しているが、前回(9日)の声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、今後さらに政策金利を引き下げる見通し」との見解も示されている。4-6月期CPIが予想比で大きく上振れない限り、次回(8月20日)の会合で追加利下げが決定される可能性が高そうだ。なお、1-3月期CPIは前年比2.5%の上昇と約2年半ぶりに前期の2.2%からインフレが加速している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は23日に6月CPIの発表が予定されている。南アフリカ準備銀行(SARB)のクガニャゴ総裁は今週、「米国の関税政策と中国におけるデフレ傾向が南アフリカのインフレ見通しを不透明にしている」と指摘。市場でも次回(31日)の金融政策決定委員会(MPC)でSARBが金融緩和サイクルを維持するか一時停止するかで意見が分かれており、その直前に発表される来週のインフレデータに注目が集まっている。なお、前月(5月分)は前年比2.8%の上昇となり、SARBのインフレ目標(3-6%)下限を3カ月連続で下回った。
7月14日週の回顧
豪ドルは対ドルで弱含み。全般にドル買いが進んだ影響を受けたほか、豪雇用統計がさえない結果となったことも相場の重しとなった。豪ドル円はドル円の上昇につれて1月以来の高値を更新する場面もあったが、週末にかけては伸び悩んだ。ZARは対ドルで方向感の乏しい動きが続いたが、対円ではドル円の上昇に伴って8.3円台で底堅く推移した。(了)
(執筆:7月18日、9:00)
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◆NZドル、4-6月期CPIに注目
◆ZAR、中銀総裁はインフレの不透明感を指摘
予想レンジ
豪ドル円 93.50-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月21日週の展望
豪ドルはさえない動きとなりそうだ。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の解任騒動で一時的にドル売りの反応が見られる場面もあったが、その後はすぐにドル買い戻しの流れに戻り、改めてドル買いの強さが確認された。来週もトランプ米大統領の言動に注意する必要があるものの、基本的には豪ドルも対ドルで売りに押される展開が続きそうだ。
また、今週発表された6月豪雇用統計がさえない結果となったことも豪ドルの重しとなるだろう。新規雇用者数や失業率はいずれも市場予想より弱い結果となり、若年層の失業率は9.6%まで上昇した。豪準備銀行(RBA)理事会が前回(7-8日)の会合で指摘していた「労働市場のひっ迫」とは異なる内容となり、市場では「RBAが予想よりも早くタカ派的な姿勢を放棄せざるを得なくなる可能性がある」との思惑が広がっている。RBAが次回(8月11-12日)の理事会で再び利下げに動くかどうかの最終的な判断は今月30日の4-6月期消費者物価指数(CPI)を待つ必要があるが、当面は豪金利先安観が意識されるだろう。なお、金利先物市場では現在、8月理事会での0.25%利下げをほぼ100%程度織り込んだ状態にある。
隣国のニュージーランド(NZ)では、21日に予定されている4-6月期CPIに注目が集まるだろう。NZ準備銀行(RBNZ)のホークスビー総裁は「金利は中立水準に近い」と言及しているが、前回(9日)の声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通り緩和し続ける場合、今後さらに政策金利を引き下げる見通し」との見解も示されている。4-6月期CPIが予想比で大きく上振れない限り、次回(8月20日)の会合で追加利下げが決定される可能性が高そうだ。なお、1-3月期CPIは前年比2.5%の上昇と約2年半ぶりに前期の2.2%からインフレが加速している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は神経質な展開となりそうだ。来週は23日に6月CPIの発表が予定されている。南アフリカ準備銀行(SARB)のクガニャゴ総裁は今週、「米国の関税政策と中国におけるデフレ傾向が南アフリカのインフレ見通しを不透明にしている」と指摘。市場でも次回(31日)の金融政策決定委員会(MPC)でSARBが金融緩和サイクルを維持するか一時停止するかで意見が分かれており、その直前に発表される来週のインフレデータに注目が集まっている。なお、前月(5月分)は前年比2.8%の上昇となり、SARBのインフレ目標(3-6%)下限を3カ月連続で下回った。
7月14日週の回顧
豪ドルは対ドルで弱含み。全般にドル買いが進んだ影響を受けたほか、豪雇用統計がさえない結果となったことも相場の重しとなった。豪ドル円はドル円の上昇につれて1月以来の高値を更新する場面もあったが、週末にかけては伸び悩んだ。ZARは対ドルで方向感の乏しい動きが続いたが、対円ではドル円の上昇に伴って8.3円台で底堅く推移した。(了)
(執筆:7月18日、9:00)
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DZH Finacial Research
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