週間為替展望(ドル/ユーロ)-円安・ドル高の流れは継続

市場見通し
◆ドル円、短期的な日米金融スタンスが明確化し底堅い
◆来週は米指標予定少ないが、8日の自民党両院議員総会には注意
◆ユーロドル、欧州景気不安やドル先高観から上値重い

予想レンジ
ドル円   148.50-155.00円
ユーロドル 1.1050-1.1600ドル

8月4日週の展望
 ドル円は、日米の金融政策決定会合を通過したことで底堅い地合いが継続しそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)は2人のメンバーによる反対票はあったものの政策金利を据え置き、パウエル米連邦準備理事会(FRB)は「9月FOMCについては何も決定していない」と早期利下げについては言及しなかった。トランプ米大統領からは再三にわたって利下げ圧力が掛けられていたが、FRB議長は慎重な姿勢を保ったことでドルが大きく買われることとなった。

 また、日銀は2025年の物価目標を引き上げたものの、現状の金融政策を維持。植田日銀総裁は会見で早期利上げを示唆することはなかった。それに加え、「足もとの為替の動き、物価見通しに直ちに影響あるとは見ていない」と発言したことが円安容認とも捉えられ、会見後は円売りが加速した。

 今週の日米金融政策の決定内容や両首脳の会見などを受けて、短期的ながらも日米の金融政策スタンスが明らかになった。来週も円売り・ドル買いの流れか継続する可能性が高い。なお、米経済指標としては、5日に7月ISM非製造業指数、7日に4-6月期非農業部門労働生産性・速報値と予定は少なく、株価や米金利動向をしっかりと見極めていくことになりそうだ。

 なお、日本国内では、参院選後の政局を引き続き注視。注目の石破首相の進退問題については、自民党内では意見がまとまっていない。1日召集の臨時国会が5日まで行われ、党の重要な意思決定機関である両院議員総会は8日に開催されることが決定している。仮に石破首相辞任という動きとなれば、次期政権を期待した日本株高による一段の円安の可能性にも留意しておきたい。

 ユーロドルは、頭の重い展開が想定される。米国と欧州連合(EU)との通商協議が合意したものの、15%の関税が特に自動車業界に与える悪影響が計り知れないと指摘する専門家も多く、欧州の景気先行き懸念がユーロの重しとなるだろう。また、米早期利下げ観測が後退しドルの先高観が高まっていることも売り材料視されそうだ。一方で、欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測も後退しており、短期金利市場では年内の金利据え置きの確率が50%程度まで上昇している。

7月28日週の回顧
 ドル円は買い優勢。週半ばまでは148円台を中心に方向感のない動きが続いた。ただ、良好な米指標やFRB議長の利下げに慎重な姿勢を受けて買いが強まった。日銀総裁の会見で買いが加速すると一時150.88円まで上値を伸ばし、3月28日以来の高値を付けた。

 ユーロドルは軟調。米EUの関税交渉が合意に至ったものの、欧州景気不透明感を背景に週明けから大幅に下落。FOMC後は全般ドル高が進んだ影響も受けて一時1.1401ドルと6月10日以来の安値を更新した。(了)
(執筆:8月1日、9:00)


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