市場見通し
◆豪ドル、月次CPIと4−6月期民間設備投資に注目
◆NZドル、利下げ継続で上値が重い
◆ZAR、底堅さを維持しそう
予想レンジ
豪ドル円 93.00-96.50円
南ア・ランド円 8.30-8.50円
8月25日週の展望
豪ドルは上値が重くなりそうだ。市場では9月の米連邦公開市場委員(FOMC)での利下げを織り込みつつあるが、米国のインフレ懸念が高止まりしていることもあり、年後半の米連邦準備理事会(FRB)の金融政策には不透明感がある。また、日銀は米国からの利上げ圧力を受けている状況。その中で、豪州、NZはともに、利下げ継続の可能性が高く、対ドル、対円ともに上値の重しになっている。来週の豪州からのイベントは、26日に11−12日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表される。ここ最近は理事会直後に発表される声明文と議事要旨の間では、大きな差がなく、市場の反応は限られているが、更に利下げに対して積極的な発言が明らかになった場合は豪ドル売りを促しそうだ。経済指標では27日の7月消費者物価指数(CPI)、28日の4−6月期民間設備投資に注目が集まる。月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないこともあり、RBAの注目度は低いとされているが、市場が過度に反応することもあるので注意が必要だ。また、民間設備投資は9月3日に発表予定の国内総生産(GDP)の構成要素の一つとなることから注目したい。
ニュージーランド(NZ)ドルは軟調継続を予想している。今週行われたNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)では、再び政策金利の引き下げに舵を切った。声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通りに緩和しつづければ、金利をさらに引き下げる余地がある」とし、今後2回の25bpの公式現金金利(OCR)引き下げの可能性を示唆した。OCRは昨年8月の5.50%から既に3.00%へと引き下げられてきているが、他国よりも利下げが継続される可能性が高く、NZドルは上値が重いだろう。なお、来週は25日に発表される4−6月期の小売売上高に注目している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅さを維持しそうだ。南ア準備銀行(SARB)は前回のMPCでインフレ目標をこれまでの4.5%から3.0%へと引き下げる方針を示した。これに対して与党アフリカ民族会議(ANC)は、支持基盤である労働組合からの圧力もあり、SARB独断の方針変更には賛成していない。インフレ目標の変更は財務相の認可が必要とされているものの、南アは中銀の独立性が確保されている。よって、実質金利の高止まりとともに、今後SARBは利下げを継続するのが難しくなることがZARの支えになるだろう。なお、来週の経済指標では、28日に7月卸売物価指数(PPI)、29日には7月貿易収支が発表される。
8月18日週の回顧
豪ドルは弱含み。米株に調整の売りが入ったことで、リスク回避に敏感な豪ドルの上値が抑えられた。また、NZドルが急落したことも重しとなった。なお、NZドルは、RBNZの声明が市場予想よりもハト派となったことで急落。対ドルでは4月超ぶりとなる0.58ドル前半まで下がったほか、対円でも一時2カ月超ぶりとなる85円台まで下落した。ZARは買いが一服。ただ、対ドル、対円ともに狭いレンジでの取引に終始した。(了)
(執筆:8月22日、9:00)
Provided by
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
一覧へ戻る
◆NZドル、利下げ継続で上値が重い
◆ZAR、底堅さを維持しそう
予想レンジ
豪ドル円 93.00-96.50円
南ア・ランド円 8.30-8.50円
8月25日週の展望
豪ドルは上値が重くなりそうだ。市場では9月の米連邦公開市場委員(FOMC)での利下げを織り込みつつあるが、米国のインフレ懸念が高止まりしていることもあり、年後半の米連邦準備理事会(FRB)の金融政策には不透明感がある。また、日銀は米国からの利上げ圧力を受けている状況。その中で、豪州、NZはともに、利下げ継続の可能性が高く、対ドル、対円ともに上値の重しになっている。来週の豪州からのイベントは、26日に11−12日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表される。ここ最近は理事会直後に発表される声明文と議事要旨の間では、大きな差がなく、市場の反応は限られているが、更に利下げに対して積極的な発言が明らかになった場合は豪ドル売りを促しそうだ。経済指標では27日の7月消費者物価指数(CPI)、28日の4−6月期民間設備投資に注目が集まる。月次のCPIは四半期CPIバスケットの6割から7割程度しか含まれていないこともあり、RBAの注目度は低いとされているが、市場が過度に反応することもあるので注意が必要だ。また、民間設備投資は9月3日に発表予定の国内総生産(GDP)の構成要素の一つとなることから注目したい。
ニュージーランド(NZ)ドルは軟調継続を予想している。今週行われたNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策委員会(MPC)では、再び政策金利の引き下げに舵を切った。声明文では「中期的なインフレ圧力が予想通りに緩和しつづければ、金利をさらに引き下げる余地がある」とし、今後2回の25bpの公式現金金利(OCR)引き下げの可能性を示唆した。OCRは昨年8月の5.50%から既に3.00%へと引き下げられてきているが、他国よりも利下げが継続される可能性が高く、NZドルは上値が重いだろう。なお、来週は25日に発表される4−6月期の小売売上高に注目している。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅さを維持しそうだ。南ア準備銀行(SARB)は前回のMPCでインフレ目標をこれまでの4.5%から3.0%へと引き下げる方針を示した。これに対して与党アフリカ民族会議(ANC)は、支持基盤である労働組合からの圧力もあり、SARB独断の方針変更には賛成していない。インフレ目標の変更は財務相の認可が必要とされているものの、南アは中銀の独立性が確保されている。よって、実質金利の高止まりとともに、今後SARBは利下げを継続するのが難しくなることがZARの支えになるだろう。なお、来週の経済指標では、28日に7月卸売物価指数(PPI)、29日には7月貿易収支が発表される。
8月18日週の回顧
豪ドルは弱含み。米株に調整の売りが入ったことで、リスク回避に敏感な豪ドルの上値が抑えられた。また、NZドルが急落したことも重しとなった。なお、NZドルは、RBNZの声明が市場予想よりもハト派となったことで急落。対ドルでは4月超ぶりとなる0.58ドル前半まで下がったほか、対円でも一時2カ月超ぶりとなる85円台まで下落した。ZARは買いが一服。ただ、対ドル、対円ともに狭いレンジでの取引に終始した。(了)
(執筆:8月22日、9:00)
Provided by
DZH Finacial Research
「投資を面白く、投資家を笑顔に」をスローガンに、株式や為替など様々な金融マーケットの情報を提供。
豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍し、スピーディー且つオリジナルな視点からの情報をOANDA Labに配信しています。
会社名:株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
所在地:東京都中央区明石町8番1号 聖路加タワー32階
商号等:【金融商品取引業者】投資助言業/【登録番号】関東財務局長(金商)907号
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。