市場見通し
◆ポンド、英財政赤字を巡り英債の動きに注目
◆ポンド、翌週に8月雇用・物価データや金利発表控え様子見
◆加ドル、翌週に日米加で政策金利発表控え思惑的な動きに注意
予想レンジ
ポンド円 197.00-201.50円
加ドル円 105.50-108.50円
9月8日週の展望
今週は英長期債利回りが急上昇し、英財政悪化への懸念が再燃したことでポンドの売りが強まった。英財政問題は常に懸念材料となっているが、これからも秋の秋季予算案までしばしばポンド売りの手がかりとして浮上してくる可能性がある。
スターマー英首相は今週、リーブス財務相の下で財務次官を務めたジョーンズ氏を日常業務を統括する「首相首席秘書」に任命するなど、官邸の大幅な人事異動を行うと発表した。市場は、労働党の支持率も急落する中で政府を立て直し、経済政策への影響力を強める狙いがあり、経済専門家を集め秋の予算に備えているとの見方が広がった。ただ債券市場では、英30年債利回りは一時5.7%台と1998年以来の高水準となった。英国の30年債利回りは先進7カ国(G7)の中で最も高い。これは英国の高いインフレ率や多額の借り入れ、経済成長の鈍化に対する懸念を反映している。リーブス英財務相は財政目標の達成軌道を維持するために秋の予算で増税を行うと見込まれており、経済成長の加速を一段と難しくする可能性が警戒されている。
来週は英財政不安を背景とした英国売りを警戒しつつも、翌週の16日に5-7月雇用・賃金データ、17日に8月消費者物価指数(CPI)、18日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表など注目イベントを控え、ポンドは様子見ムードが広がりそうだ。インフレがBOEの予想以上に強く、市場では年末までに利下げを見送るとの見方が高まりつつある。
来週、カナダ国内で予定されているのは7月建設許可件数程度と、加ドルの動意につながりそうな指標やイベントは見当たらない。翌週にカナダ中銀(BOC)の政策金利発表を控え思惑的な動きに注意したい。その同じ週には日米でも政策金利の発表が予定されており、大きな方向感は出ず様子見ムードが広がりそうだ。
BOCの7月会合では3会合連続で政策金利を2.75%に据え置くことが決定された。この会合では「米国の関税によって経済の勢いが弱まり、物価圧力が抑制されている場合は利下げが可能だ」との見解が示された。一方、一部の委員からは「政策金利をいわゆる中立金利レンジの中心まで引き下げたことで、既に景気を支えるためにできることはやり尽くした」との考えも明らかになった。トランプ関税の影響が依然として不透明で、9月会合で政策金利の据え置きと利下げに見方が分かれているが、7月会合後に発表された7月の雇用統計・CPIは予想を下回り、5日発表の8月雇用データが弱い結果となれば、9月会合で利下げに踏み切る可能性が高まりそうだ。
9月1日週の回顧
ポンドは上値の重い動き。英財政赤字への懸念が再燃し、ポンドドルは一時1.33ドル前半まで急落したが、ポンド円はドル円の底堅い動きを支えに198円前半で下げ渋った。加ドルは今週も値動きが鈍く、ドル/加ドルは1.38加ドルを挟んでの狭いレンジ内で上下した。加ドル円は小動きながら約1カ月ぶりの108円台を回復するなど下値の堅い動きとなった。(了)
(執筆:9月5日、9:00)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆ポンド、翌週に8月雇用・物価データや金利発表控え様子見
◆加ドル、翌週に日米加で政策金利発表控え思惑的な動きに注意
予想レンジ
ポンド円 197.00-201.50円
加ドル円 105.50-108.50円
9月8日週の展望
今週は英長期債利回りが急上昇し、英財政悪化への懸念が再燃したことでポンドの売りが強まった。英財政問題は常に懸念材料となっているが、これからも秋の秋季予算案までしばしばポンド売りの手がかりとして浮上してくる可能性がある。
スターマー英首相は今週、リーブス財務相の下で財務次官を務めたジョーンズ氏を日常業務を統括する「首相首席秘書」に任命するなど、官邸の大幅な人事異動を行うと発表した。市場は、労働党の支持率も急落する中で政府を立て直し、経済政策への影響力を強める狙いがあり、経済専門家を集め秋の予算に備えているとの見方が広がった。ただ債券市場では、英30年債利回りは一時5.7%台と1998年以来の高水準となった。英国の30年債利回りは先進7カ国(G7)の中で最も高い。これは英国の高いインフレ率や多額の借り入れ、経済成長の鈍化に対する懸念を反映している。リーブス英財務相は財政目標の達成軌道を維持するために秋の予算で増税を行うと見込まれており、経済成長の加速を一段と難しくする可能性が警戒されている。
来週は英財政不安を背景とした英国売りを警戒しつつも、翌週の16日に5-7月雇用・賃金データ、17日に8月消費者物価指数(CPI)、18日にイングランド銀行(英中銀、BOE)の政策金利発表など注目イベントを控え、ポンドは様子見ムードが広がりそうだ。インフレがBOEの予想以上に強く、市場では年末までに利下げを見送るとの見方が高まりつつある。
来週、カナダ国内で予定されているのは7月建設許可件数程度と、加ドルの動意につながりそうな指標やイベントは見当たらない。翌週にカナダ中銀(BOC)の政策金利発表を控え思惑的な動きに注意したい。その同じ週には日米でも政策金利の発表が予定されており、大きな方向感は出ず様子見ムードが広がりそうだ。
BOCの7月会合では3会合連続で政策金利を2.75%に据え置くことが決定された。この会合では「米国の関税によって経済の勢いが弱まり、物価圧力が抑制されている場合は利下げが可能だ」との見解が示された。一方、一部の委員からは「政策金利をいわゆる中立金利レンジの中心まで引き下げたことで、既に景気を支えるためにできることはやり尽くした」との考えも明らかになった。トランプ関税の影響が依然として不透明で、9月会合で政策金利の据え置きと利下げに見方が分かれているが、7月会合後に発表された7月の雇用統計・CPIは予想を下回り、5日発表の8月雇用データが弱い結果となれば、9月会合で利下げに踏み切る可能性が高まりそうだ。
9月1日週の回顧
ポンドは上値の重い動き。英財政赤字への懸念が再燃し、ポンドドルは一時1.33ドル前半まで急落したが、ポンド円はドル円の底堅い動きを支えに198円前半で下げ渋った。加ドルは今週も値動きが鈍く、ドル/加ドルは1.38加ドルを挟んでの狭いレンジ内で上下した。加ドル円は小動きながら約1カ月ぶりの108円台を回復するなど下値の堅い動きとなった。(了)
(執筆:9月5日、9:00)
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DZH Finacial Research
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