FX初心者の方

FX確定申告のやり方|必要書類や書き方、記入例などを紹介

FXの確定申告が必要なお客様(個人)

確定申告は必要?

通常、年間の収入が2,000万円以下の給与所得者の場合は、勤務先が「年末調整」という作業を行い、所得税を精算する仕組みが作られているため、確定申告をする必要はありません。

しかし、FXで利益が得られたことなどによって、給与所得や退職所得以外の所得の年間合計が20万円を超えると、年間収入2,000万円以下の給与所得者も確定申告をする必要があります。

損失の繰越(最大3年間)

また、FX取引の損失は翌年以降(最大3年間)に繰り越しできますので、損失を繰り越ししたい場合は、確定申告をしておくことが必要です。

【確定申告の必要性チェックシート】

確定申告の手続きの方法

確定申告とは

確定申告とは毎年1月1日から12月31日までに得たすべての所得を計算し、申告書を税務署へ提出後、納付すべき所得税額を確定することをいいます。

確定申告の申告期限

確定申告の時期は、原則2月16日から3月15日と定められています。

確定申告の方法

確定申告の方法を大きく分けると、下記の3パターンです。

①税務署に行って確定申告書類を提出する

作成した書類を税務署へ持参、もしくは税務署で書類を完成させて提出します。

税務署の開庁時間は、基本は平日の8:30~17:00です。

なお、税務署によっては、確定申告の期間中だけ日曜や祝日でも開庁していることがあります。

「平日昼間は仕事をしていて、税務署が開いている時間に持参できない!」という場合には、税務署の前に設置されている「時間外収受箱」に書類を投函するという手もあります。17時以降に投函した書類は、翌朝に税務署員が回収します。

②税務署に確定申告書類を郵送する

郵送する場合は、郵便ポストに投函するか、郵便局の窓口に提出します。

当日消印有効なので、消印の日付が期限内である必要があります。

③e-Taxを利用してネットで申告する

e-tax(国税電子申告・納税システム)を使えば、自宅からインターネットで確定申告することができます。

日中や平日忙しくて税務署まで行けない方にとってとても便利なシステムですが、利用にあたっては、マイナンバーカードとマイナンバーカード読み取り対応のスマートフォンまたはICカードリーダーが必要となりますので、事前に準備が必要となります。

FXの確定申告で必要な書類

確定申告の必要書類

確定申告をする際に必要な書類は、次の申告書類と添付書面です。

以下、申告書類と添付書面に分けてご説明いたします。

申告書類

FXに関する所得に関して、税務署に申告するために作成する書類です。税務署指定の書式で作成します。

FXの確定申告で必要な申告書類は次の3点(損失の繰越を行う場合は4点)です。

書類の名称 内容
申告書
(第一表・第二表)
所得の種類に関わらず、誰でも利用できる申告書です。
先物取引に係る雑所得等の
金額の計算明細書
FXから得られた所得について記載する申告書です。
申告書第三表
(分離課税用)
「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」で記載した内容を転記します。
所得税の確定申告書付表
(先物取引に係る繰越損失用)
FXで損失がある場合のみ作成し、繰越控除を申告します。

添付書類

FXの申告書を提出する際に必要な添付書類は2点です。

書類の名称 内容
年間損益報告書 FXトレーダーが利用しているFX口座の利益を計算し、纏めてくれている書類です。
給与所得の源泉徴収票 会社員であれば、勤務先の会社から受け取っている書類です。

FXの確定申告の書類の記入例

確定申告の記入方法

FXの確定申告書の作成方法をご案内いたします。FXをしている架空の会社員「FX太郎さん」の収入をもとに、確定申告書を作成していきます。

FX太郎さんの基本情報

名前  :FX太郎
職業  :会社員(年収500万円、源泉徴収税額14万円)
家族構成:専業主婦の妻、子供なし
経費  :FXセミナー代2万円、書籍代1万円
その他 :FX年間損益は110万円(スワップポイント含む)、社会保険料控除分60万円

記入の手順は、ここでは給与などの収入(申告書第一表)から始めていますが、FX取引の収支(計算明細書)から始めてもかまいません。

必要書類の記載の順番は基本的には以下のとおりです。

必要書類の記載の順番

確定申告書 第一表(左欄)
確定申告書 第二表
先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
確定申告書 第三表(分離課税用)
確定申告書 第一表(右欄)

それでは、各必要書類の具体的な記入方法を、FX太郎さんの基本情報をもとに記入の際のポイントを含めて見ていきましょう。

確定申告書 第一表(左欄)

A. 収入金額等

1年間の収入金額を記載します。FX太郎さんの場合は給与所得のみなので、源泉徴収票の「支払金額」からオに転記します。

B. 所得金額等

1年間の所得金額を記載します。FX太郎さんの場合は給与所得のみなので、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から6及び12に転記します。

C. 所得から差し引かれる金額

給与所得控除額を記入します。

源泉徴収票の「社会保険料の金額」から13に転記します。

FX太郎さんの場合、配偶者控除額(38万円)を21~22、基礎控除額(48万円)を24に記入します。その他、生命保険料等の控除できるものがある場合は該当する箇所に記入します。

最後に13~24の合計を25、25~28の合計を29に記入します。

確定申告書B 第二表

D. 所得の内訳

所得の内訳を記入します。

源泉徴収票の「支払金額」と「源泉徴収額」から転記します。

源泉徴収額の合計額を48に記入します。

E.保険料控除に関する事項

所得控除について記入します。FX太郎さんの場合は、13に源泉徴収票の社会保険料等の金額から転記します。保険料の種類は源泉徴収票の通りと記載します。その他、生命保険等の控除できるものがある場合は該当箇所に記入します。

F.住民税・事業税に関する事項

住民税の納付方法を選択します。「特別徴収」または「自分で納付」のいずれかを選択し、〇をします。なお、「特別徴収」とは勤務先の給与から天引きされることをいいます。

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

G.取引の内容

取引の内容を記入します。「種類」には「外国為替取引」と記入します。

同じ口座で何度も取引をしている場合、「決済年月日」、「数量」は空欄で構いません。

「決済の方法」には「仕切」(決済のこと)と記入します。

H.総収入金額

総収入金額を記入します。FX会社から入手する「年間損益報告書」をもとに記入します。

1に為替損益、3にスワップポイントの損益を記入します。

4に1と3の合計額を記入します。

I.必要経費等

必要経費等を記載します。差し引ける経費がある場合は「その他経費」欄に記入します。

FX太郎さんの場合はセミナー代2万円と書籍代1万円を経費として申告します。

J.所得金額

最後に所得金額を記入します。

4から11を引いた金額を12に記入します。

確定申告書 第三表(分離課税用)

K.収入金額

「先物取引」の部分にFX取引による収入金額、及び所得金額を記入します。

「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の「総収入金額④」の合計欄からトに転記します。

 

L.所得金額

「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の「総収入金額⑫」の合計欄から74に転記します。

M.税金の計算

FX取引と給与、それぞれに課税される所得金額を計算します。

第一表の「所得金額」の「合計⑫」から12に転記します。

>第一表の「所得から差し引かれる金額」の「合計㉙」から、29に転記します。

12から29を引いた金額を77に記入します。

74の金額を82に転記します。

N.税金の計算

FX取引と給与などにかかる税額を計算・合算します。

給与などにかかる税額を計算し、85に記入します。

210万円 × 10% – 9万7,500円 = 11万2,500円

FX取引にかかる税額を計算し、90に記入します。

107万円 × 15% = 16万500円

2つの合計額27万3,000円を93に記入します。

確定申告書 第一表(右欄)

O.税金の計算

全体の税額を記入します。

31に第三表の税額の合計額を記入します。

配当控除や住宅ローン控除などに該当する税額控除がある場合は、記入して、31の税額から差し引きます。

44に復興特別所得税を記入します。

復興特別所得税(27万3,000円〔43の金額〕 × 2.1% = 5,733 円)を44に記入、43と44の合計額を45に記入します。

第二表の「源泉徴収税額の合計額48」から転記します。

最終的に納める税額を記入します。45から48を引いた金額を49に記載します。49がプラスの数値であれば、51に記入します。

P.その他

公的年金等以外の合計所得金額を記入します。その他、青色申告控除や未納付の源泉徴収額がある場合はここに記入します。

これで記入は完了です。完成した書類は次の通りです。

FX太郎さんの確定申告書類の記載例(完成版)

【確定申告書 第一表】

確定申告書 第一表

【確定申告書 第二表】

確定申告書 第二表

【確定申告書 第三表】

確定申告書 第三表

【先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書】

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

チェックしておきたいポイント

①FXで損失がある場合は繰越控除を活用

FXで損失が出ている場合、確定申告を行うことで、その損失を繰り越すことができます。

例えばある年にFXで100万円の損をして、確定申告をしたとします。

そして翌年に30万円の利益が出ると本来なら課税されますが、損失を繰り越していれば、前年の100万円の損失と相殺(損益通算)され課税所得がなくなるのです。

繰り越した損失は、3年間以内であれば毎年活用できます。そのため、損失が生じた場合は、確定申告で繰り越すことをお勧めします。

②必要経費の計上

FX取引を行うためにかかった経費は、利益から差し引くことができます。

例えば、金融専門誌などの書籍代、FX取引の知識を得るために参加したセミナー代金、セミナーへの交通費、FX取引を行うための電話代やインターネットプロバイダ料金などが考えられます。それらを集計し、ノートやエクセルに記載しておきます。

領収書なども整理して保管しておく必要があります。なお、領収書は確定申告時に提出する必要はありません。

経費になるかどうかのポイントは、その費用が、FX取引にかかわりがあるかどうかです。経費になるか否か判断に迷う場合は、税務署に事前に相談してみましょう。

監修:フォーカス会計事務所 公認会計士・税理士 内海 真樹氏 / 公認会計士・税理士 藤木 陽太氏

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>OANDA証券で各種帳票をダウンロードする方法

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