アクティブ運用とは｜インデックス運用との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
アクティブ運用とは、株価指数などの市場指標（ベンチマーク）を上回る運用成果を目指す投資手法のことです。
市場平均を超えるリターンを積極的に狙いたい投資家に広く活用されます。
本記事では、アクティブ運用の特徴やメリット・デメリット、インデックス運用との違いなどをわかりやすく解説します。
目次
- １．アクティブ運用とは
- ２．アクティブ運用の分析手法
- ３．アクティブ運用の主な特徴
- ４．アクティブ運用のメリット・デメリット
- ５．アクティブ運用に関するQ&A
- ６．【まとめ】アクティブ運用とは｜インデックス運用との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
アクティブ運用とは
ここではアクティブ運用とは何か、インデックス運用との違いについて解説します。
- ・アクティブ運用の意味
- ・アクティブ運用とインデックス運用の違い
アクティブ運用の意味
アクティブ運用とは、特定の市場指標（ベンチマーク）を上回る運用成果を目指す投資手法です。
投資の専門家である運用担当者（ファンドマネージャー）が市場や企業の分析を行い、有望と判断した銘柄に積極的に投資します。
例えば、日経平均株価やTOPIXといった国内株指数のほか、NYダウ、ナスダック、S&P500などの米国株指数をベンチマークとし、それらを上回るリターンを狙って運用方針が組まれます。
市場平均に連動することを目指すインデックス運用（パッシブ運用）とは異なり、リスクを取りながらもより高いリターンを追求する点が特徴です。
アクティブ運用とインデックス運用の違い
アクティブ運用とは対照的に、インデックス運用は「ベンチマークに連動した成果を目指す投資手法」を指します。
アクティブ運用とインデックス運用の主な違いは、次の通りです。
| 項目 | アクティブ運用 | インデックス運用 |
|---|---|---|
| 運用の目的 | ベンチマークを上回る成果を目指す | ベンチマークに連動した成果を目指す |
| 運用方法 | 分析や調査を通じて有望な銘柄を厳選して投資する | 市場全体の動きを再現するように銘柄を組み入れる |
| リスクとリターン | 比較的ハイリスク・ハイリターン | 比較的ローリスク・ローリターン |
| 手数料（信託報酬など） | 一般的に高い傾向 | 一般的に低い傾向 |
| 向いている投資家タイプ | 積極的に高いリターンを狙いたい投資家 | 安定した長期運用を重視する投資家 |
両手法にはそれぞれ特徴や狙いがあり、優劣はありません。
自分の投資目的やリスク許容度に応じて、最適な運用方法を選ぶことが重要です。
アクティブ運用の分析手法
アクティブ運用には、投資対象の選定に用いる代表的な分析手法として、次の2つがあります。
- ・トップダウンアプローチ
- ・ボトムアップアプローチ
トップダウンアプローチ
トップダウンアプローチは、経済全体の動向から投資先を段階的に絞り込む分析手法です。
経済や市場の動きを重視し、マクロ環境を基に投資する国や業種を選ぶ点が特徴です。
まず、世界経済の動向や見通しなどのマクロ環境を分析し、有望と判断した国・地域や業種ごとの投資比率（配分）を決めます。
その後、選定した分野から投資対象として適切な個別銘柄を選びます。
主なプロセスは次の通りです。
①マクロ経済分析景気動向、金利、為替、インフレ率、金融政策など、世界各国のマクロ経済環境を分析します。
②資産配分の決定（アセットアロケーション）分析結果を基に、株式・債券・コモディティ・不動産などの資産ごとの比率を決定します。
また、国別や地域別の配分（カントリーアロケーション）もここで設定します。
③業種別配分の決定（セクターアロケーション）株式に投資する場合、どの業種（IT、金融、ヘルスケアなど）に重点を置くかを決めます。
④個別銘柄の選定最終ステップとして、上記で決めた分析方針に沿って投資対象となる銘柄を選びます。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチは、個別企業の分析を起点に投資先を選び、ポートフォリオを構築する手法です。
経済全体よりも企業そのものの価値や成長性を重視する点が特徴です。
まず企業のビジネスモデルや成長性を分析して有望銘柄を絞り込み、財務・株価の割安性や業種・市場環境を評価します。
最後に、選んだ銘柄を組み合わせてポートフォリオを構築し、必要に応じてマクロ経済も考慮してリスク・リターンのバランスを調整します。
主なプロセスは次の通りです。
①個別銘柄の選定企業のビジネスモデル、競争優位性、成長性、経営陣の質などを分析し、有望な銘柄を絞り込みます。
②財務・バリュエーション分析貸借対照表や損益計算書などを基に、収益性・安全性・成長性を評価し、株価が企業の本来価値に対して割安かどうかを判断します。
③業種・市場の分析選定候補の企業が属する業種や市場の特徴、競争状況、成長性などを調べ、投資する銘柄を決める際の判断材料とします。
④ポートフォリオの構築①～③で調べた情報を基に、最終的に投資する銘柄を選び、複数の銘柄を組み合わせてポートフォリオを構築します。
アクティブ運用の主な特徴
アクティブ運用には、主に次の2つの特徴があります。
- ・ファンドマネージャーの裁量が大きい
- ・インデックス運用と比較して手数料が高い
ファンドマネージャーの裁量が大きい
アクティブ運用では、ファンドマネージャーが投資判断の中心となります。
市場や個別銘柄の分析に基づき、買い・売りのタイミングや投資比率を自由に決定できるため、ベンチマークを上回る成果を狙いやすくなります。
また、柔軟な判断により、市場環境の変化や突発的なニュースにも迅速に対応できる点が特徴です。
インデックス運用と比較して手数料が高い
アクティブ運用では、ファンドマネージャーによる綿密な銘柄分析や調査が必要になるため、信託報酬や販売手数料などのコストはインデックス運用より高くなる傾向があります。
また、運用成績がベンチマークを上回った場合に発生する成功報酬（パフォーマンスフィー）を設定している商品も一部あり、これもコストが高くなる一因です。
長期運用では、こうしたコストがリターンを圧迫するリスクがあります。
アクティブ運用のメリット・デメリット
アクティブ運用には、メリットとデメリットの両面があります。
- ・アクティブ運用のメリット
- ・アクティブ運用のデメリット
アクティブ運用のメリット
アクティブ運用のメリットは、ファンドマネージャーが市場や個別銘柄を分析し、有望な投資先を積極的に選定できる点にあります。
ベンチマークの構成銘柄にとらわれず、景気や市場の変動に応じて銘柄や売買タイミングを調整し、市場平均を上回るリターンを狙いやすくなります。
また、成長株への集中投資やテーマ投資など幅広い戦略を採用できるため、投資方針やリスク許容度に合わせた柔軟な運用が可能です。
アクティブ運用のデメリット
アクティブ運用では、投資先の選定や売買判断がファンドマネージャーの裁量に依存するため、運用成績が個々のマネージャーの能力や判断に左右されやすい点がデメリットです。
また、高いリターンを狙える一方で、運用成績が市場平均に届かない場合もあり、個別銘柄の選択や運用戦略が裏目に出ると損失が大きくなるリスクがあります。
さらに、アクティブ運用は手数料がやや高めで、戦略や銘柄選定が複雑になりやすく、投資初心者には運用内容が理解しづらい場合があります。
アクティブ運用に関するQ&A
アクティブ運用に関してよくある質問は、以下の通りです。
- ・アクティブ運用とインデックス運用の違いは？
- ・アクティブ運用の手数料が高いのはなぜですか？
- ・NISAではアクティブ運用とインデックス運用のどちらが初心者向けですか？
アクティブ運用とインデックス運用の違いは？
簡単に言うと、アクティブ運用は「高リターンを狙う運用」、インデックス運用は「平均的な成果を目指す運用」です。
アクティブ運用では、ファンドマネージャーが市場や個別銘柄を分析して有望な投資先を選べるため、ベンチマークを上回る成果が狙いやすい一方、裁量によって成績が左右され、結果が安定しにくい傾向があります。
一方、インデックス運用はベンチマークに連動して市場全体の動きを再現するため、比較的安定しており、コストも低く、長期投資に向いています。
アクティブ運用の手数料が高いのはなぜですか？
アクティブ運用は、ファンドマネージャーの裁量によりベンチマーク以上の成果を目指す運用方法です。
そのため、銘柄分析や市場調査、運用管理に必要な人件費などがインデックス運用よりも多くかかります。
これらの費用は、信託報酬や売買手数料に反映されるため、一般的に手数料が高めになります。
NISAではアクティブ運用とインデックス運用のどちらが初心者向けですか？
NISA
で投資を始める初心者には、インデックス運用の方が取り組みやすい傾向があります。インデックス運用は、ベンチマークに連動する形で複数の銘柄に分散投資され、低コストで比較的安定した運用が可能なため、長期的な資産形成に適している点が特徴です。
一方、アクティブ運用は市場平均を上回るリターンを狙えるものの、手数料や信託報酬などのコストが高めで、運用成績も変動しやすいため、投資経験の少ない初心者には少し難易度が高いと言えます。
【まとめ】アクティブ運用とは｜インデックス運用との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
アクティブ運用とは、特定の市場指標（ベンチマーク）を上回る運用成果を目指す投資手法です。
ファンドマネージャーが市場分析や企業調査を行い、銘柄選定や売買のタイミングを判断して機動的に運用します。
高いリターンを狙える一方で、運用コストが比較的高く、成果が市場環境や運用者の判断に左右されやすい点が特徴です。
こうした特性から、リスク許容度が高く、柔軟な運用を望む投資家に向いています。
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