用語解説

FX取引の両建てとは|メリット・デメリットとやり方を解説(りょうだて)


FX取引におけるポジションの保有方法の1つに「両建て」があります。

両建てとは、同一通貨ペアの買いポジションと売りポジションの両方を建てる(保有する)ことです。

メリットもあればデメリットもあるので、それぞれの内容を理解した上で、両建てを活用するか判断する必要があります。

本記事では、両建てのメリットやデメリット、仕組みや取引方法について詳しく解説していきます。

FX取引の両建てとは

FXの両建ての図解

両建てとは、同一通貨ペアの売りポジションと買いポジションを同時に保有することを指します。

相反するポジションを(同じ数量)持つということは、価格が上がっても下がっても利益と損失が相殺され、それ以降は損益が変動しません。

ただし、スプレッドが二重にかかることや、マイナススワップ発生の可能性、資金が拘束されてしまうなど、経済的合理性を欠く取引といえます。

FX取引で両建てするメリット・デメリット

ここでは、両建てを行うメリットとデメリットを解説します。

メリット

FX取引における両建てのメリットは、以下の通りです。

  • ・一時的な損失拡大を防げる
  • ・つなぎ売り(売買)ができる

一時的な損失拡大を防げる理由は、両建てを行うと「損益がその時点で固定される(それ以降は相殺される)」ためです。

重要なイベントがあったり、相場が急変しそうな場合には、両建てすることでリスクヘッジができます。

スプレッドやマイナススワップによるコストは発生しますが、どんなに激しい値動きがあっても、為替変動による損益は発生しません。

つなぎ売り(売買)については「長期的に買い・短期的には売り」という場面で役立ちます。

つなぎ売りの図解

上図では、「長期的には買い」と判断して、①の買いポジションを保有し続けています。

その一方で、緑の部分は「短期的に売り」と判断して、②と③で売りポジションを建て、④と⑤で決済をしています。

そして、最終的に①の買いポジションは、⑥で決済しています。

このように、時間軸の異なるトレードを組み合わせることで、両建てが有利になる場合があります。

デメリット

両建てのデメリットは、以下の通りです。

  • ・スプレッドの負担が二重になる
  • ・スワップポイントがマイナスになることがある
  • ・証拠金が2倍必要になる
スプレッドはポジションを建てる度に発生するコストです。

両建てではポジションを二重に建てるため、スプレッドも二重にかかります。

スワップポイントについては、売りと買いの片方がプラスであれば、もう片方は原則としてマイナスになります。

そのマイナスの方のスワップが大きければ、トータルではマイナススワップとなり、両建てを維持しているだけでも、支払い(損失)が膨らんでいきます。

なお、証拠金については、両建てポジションの「片方だけ必要」になるFX会社もあれば、「両方必要」になるFX会社もあります。

FX取引での両建ての方法・取引手法

ここでは、両建ての方法や、取引手法をチャート画面を用いて紹介します。

チャート上での両建ての図解

出典:TradingView

上図では、①で買いポジションを建て、上昇を予想しています。しかし、②で短期的な下落を予想し、売りポジションを建てて両建てにしました。

その後、③で下落の底打ちが予想されたため、売りポジションを決済して両建てを解消。

再度上昇した④で買いポジションを決済しました。

このように、相場の状況に応じて両建てを利用することで、うまく利益を狙うこともできます。

ただし、必ずしも狙い通りに相場が回復するとは限らず、②の後に下落を続ける可能性があることも、理解しておきましょう。

FX取引で両建てが推奨されない理由

FX取引で両建てが推奨されないのは、経済的合理性を欠くからです。

前述の通り、スプレッドは二重にかかり、マイナススワップになる可能性もあります。

金融庁は、投資家保護のためのルールとして、金融商品取引業者が両建てを勧誘することは禁止しています。

ただし、取引状況によっては一定の経済的合理性を有することから、投資家の意思に基づく両建てを全面的に禁止することは適切ではないとしています。

上記の金融庁による見解は、同庁公式サイトにおける以下のページで述べられています。

外国為替証拠金取引について|金融庁

このような理由から、一般的に国内のFX会社は両建てを禁止しているわけではないものの、推奨はしないスタンスを取っています。

FX取引の両建てに関するQ&A

FX取引の両建てに関して、以下の疑問が多く見られました。

  • ・両建ては意味がないんですか?
  • ・両建ては絶対負けない必勝法ですか?

両建ては意味がないんですか?

両建ては、状況によっては経済的合理性を有しますが、基本的には経済的合理性を欠くことから推奨されません。

両建てをしたい場合は、相場急変へのリスクヘッジや、つなぎ売りなど、メリットを上手く享受できるタイミングで活用することが重要です。

両建ては絶対負けない必勝法ですか?

両建てを「絶対負けない必勝法」とする考えは誤りです。

ここまで説明してきた通り、為替変動による損を固定できたとしても、二重のスプレッドやマイナススワップなどによって、損失が生じる可能性があります。

両建てに限らず、FX取引で「必ず利益を出せる」という必勝法は存在しません。

【まとめ】FX取引の両建てとは|メリット・デメリットとやり方を解説

FX取引の両建ては、上手く活用すれば損益の固定、つなぎ売りなどのメリットを享受できる手法です。

しかし、実際には二重スプレッドやマイナススワップのリスクなどデメリットが大きく、一部のケースを除いて推奨される手法ではありません。

それでも両建てを実行する場合は、利用方法や見通しが正しいかをしっかり考える必要があります。


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » 用語解説登録 » FX取引の両建てとは|メリット・デメリットとやり方を解説