スプレッドとは|FX取引における意味・計算方法などをわかりやすく解説
スプレッドとは、為替レートの売値(Bid)と買値(Ask)の差を意味します。
投資家にとって実質的な取引コストになるため、スプレッドの狭さはトレード成績に影響します。
本記事では、スプレッドの意味や計算方法、各社で数値が異なる理由などを解説していきます。
目次
- 1.スプレッドとは
- 2.スプレッドの単位
- 3.スプレッドの計算方法
- 4.スプレッドと通貨ペアの関係
- 5.スプレッドがFX会社ごとに異なる理由
- 6.スプレッドが変動する3つの要因
- 7.FX会社を選ぶ際のスプレッド以外のポイント
- 8.OANDA証券のスプレッド
- 9.スプレッドに関するQ&A
- 10.【まとめ】スプレッドとは|FX取引における意味・計算方法などをわかりやすく解説
スプレッドとは
この章では、スプレッドの意味や具体例、特徴と注意点を解説します。
- ・意味
- ・具体例
- ・特徴と注意点
意味
FXでは「買うとき」と「売るとき」の価格が異なり(2wayプライス)、その売値(Bid)と買値(Ask)の価格差がスプレッドです。
「売値は買値よりも安く」「買値は売値よりも高く」提示され、投資家はポジションを保有した瞬間にスプレッドを負担することになる仕組みです。日本のFX会社の多くは、取引手数料を無料にしていますが、スプレッドが実質的な手数料として取引毎にかかります。
なお、スプレッドはFX会社が独自に決定するもので、投資家によるFX会社選びの1つの要素となります。
具体例
FX取引のレート(2wayプライス)の表示は、売値が左側、買値が右側に表示されるのが一般的です。
上図のように、米ドル/円の売値が140.141円、買値が140.144円だった場合、その価格差の「0.003円(0.3銭)」がスプレッドです。
コスト負担という面だけで考えると、スプレッドが狭い方が投資家にとって有利、広い方が投資家にとっては不利だといえます。
ただし、FX取引は表示上のレートやスプレッドで取引できるとは限らないことに注意が必要です(詳しくは後述)。
特徴と注意点
スプレッドはFX会社によって異なり、同一のFX会社においては通貨ペアごとに異なります。
一般的に、メジャー通貨のスプレッドは狭く、マイナー通貨のスプレッドは広い傾向があります。
また、経済指標の発表前後や、市場の急変時、市場の流動性が低下する時間(早朝、主要国の祝日、年末年始など)はスプレッドが広がる傾向があります。
なお、ここ数年で「スプレッド0円(0銭)」というサービス(キャンペーン)を行うFX会社も出現しています。
しかし、取引コストはスプレッドだけではなく、後述する約定力やスリッページも関連する点を理解しておくことが大切です。
スプレッドの単位
スプレッドの単位は「銭」と「pips」の2種類があります。
日本円を含む通貨ペアでは「銭」が使われ、外貨同士の通貨ペアでは「pips」で表すのが一般的です。
- ・銭
- ・pips
銭
銭(せん)とは、1円未満の金額を示す日本円の単位で、1円は100銭(0.01円=1銭)に相当します。
米ドル/円やユーロ/円など、日本円が含まれる通貨ペアのスプレッドを表す際に使われます。
pips
pips(ピップス)とは、FXで広く使われている共通の単位です。ユーロ/米ドルやポンド/米ドルなど、外貨同士の通貨ペアのスプレッドを表す際に使われます。
また、円が含まれる通貨ペア(クロス円)では、一般的に1pips=1銭(0.01円)を意味します(ただし、FX会社によっては基準が異なる場合もあるため注意が必要です)。
- ・1pips=1銭(0.01円)
- ・10pips=10銭(0.1円)
- ・100pips=100銭(1円)
スプレッドの計算方法
スプレッドによる取引コストは、以下の計算方法で算出します。
- 取引コスト=スプレッド×取引数量
例えば、スプレッドが0.1銭(0.001円)のときに、1,000通貨の取引数量の場合、両者を掛け算した1円が取引コストになります(同様の計算で、10,000通貨の場合は10円)。
このようにスプレッドと取引数量を掛け合わせるだけの単純な計算方法のため、簡単に取引コストを算出できます。
スプレッドが一定だと仮定した場合、取引数量が増えるほど、取引回数が増えるほど、取引コストは大きくなります。
スプレッドと通貨ペアの関係
ここでは、スプレッドと通貨ペアの関係について解説します。
- ・ドルストレートとクロス通貨のスプレッド
- ・FXのスプレッドは狭い方が低コストになる
ドルストレートとクロス通貨のスプレッド
FX取引の通貨ペアは、以下の2種類に分かれます。種類 | 意味 | 通貨ペアの例 |
---|---|---|
ドルストレート | 米ドルを含む通貨ペア | 米ドル/円・ユーロ/米ドル・ポンド/米ドルなど |
クロス通貨 | 米ドルを含まない通貨ペア | ユーロ/円・ポンド/円・豪ドル/円など |
下図のように基軸通貨となる米ドルを含む場合を、ドルストレートと呼びます。
一方、「ユーロ/円」などの通貨ペアは、「ユーロ/米ドルと米ドル/円の価格を掛け合わせる」形で価格を算出します(下図参照)。
上図の通り、「米ドル/円のレート」と「ユーロ/米ドルのレート」を掛け算しています。
ドルストレートとクロス通貨のスプレッドを比較すると、ドルストレートの方が狭く、クロス通貨の方が広くなる傾向があります。
この理由は「ドルストレートの方がメジャーな通貨ペアであり、流動性が高い傾向」にあるためです。
スプレッドは流動性が高い通貨ペアほど狭くなり、流動性の低いマイナーな通貨ペアほど広くなる傾向にあります。FXのスプレッドは狭い方が低コストになる
前述の通り、スプレッドはFX会社や通貨ペアによって狭さが異なります。
スプレッドだけで考えた場合、スプレッドが狭いFX会社で取引をした方が、投資家にとって低コストの取引が可能です。
例えば、以下の条件で比較してみます。
売値(Bid) | 買値(Ask) | スプレッド | 10万通貨取引コスト | |
---|---|---|---|---|
A社 | 100.000円 | 100.001円 | 0.1銭 | 100円 |
B社 | 100.000円 | 100.030円 | 3銭 | 3,000円 |
仮に、10万通貨の取引をする場合、A社の取引コストは100円、一方のB社のコストは3,000円となります。
このように、スプレッドだけの数値を見た場合には気づきにくくなりますが、実際の取引コストを算出するとその影響が大きいことがわかります。
スプレッドがFX会社ごとに異なる理由
スプレッドがFX会社によって異なる理由として、主に以下の事柄があります。
- ・【理由1】FX会社ごとの手数料設定
- ・【理由2】リクイディティ・プロバイダーごとに配信レートが違う
- ・【理由3】原則固定について
【理由1】FX会社ごとの手数料設定
FX会社は、投資家の取引コストが主な収益源です。
投資家の取引コストには、スプレッド、スワップポイントなどがあり、それぞれをどのように設定するかは、FX会社の経営方針によって差があります。
「米ドル/円のスプレッドが狭い」「マイナー通貨のスプレッドが狭い」「特定通貨ペアのスワップポイントが高い」など、FX会社は独自性を打ち出して投資家の多様なニーズに応えています。
FX会社によって注力するポイントが異なり、それがスプレッドの差に現れます。
【理由2】リクイディティ・プロバイダーごとに配信レートが違う
リクイディティ・プロバイダー(LP)とは、FX会社に流動性を提供する金融機関です。
「FX会社に売買注文を供給する金融機関」とイメージされます。
各FX会社が提携するリクイディティ・プロバイダー提供の価格にもスプレッドがあり、調達元のスプレッドの狭さによってFX会社のスプレッドに格差が生じます。
なお、ここではリクイディティ・プロバイダーのスプレッドと表現しましたが、調達の時点で目に見えるのは「1ドル140.48円」などの配信レートであり、これはスプレッドと実質的に同じ意味です。
【理由3】原則固定について
多くのFX会社では、スプレッドは「原則固定」で提供されています。
スプレッドの原則固定とは、相場変動に関わらず一定のスプレッドが提供されるという意味です。
ただし、「原則的に固定」なだけでスプレッドが広がる場合があり、「いつ」「どれくらい」広がるかはFX会社によって異なります。
スプレッドが変動する3つの要因
多くのFX会社は原則固定のスプレッドを提供していますが、特定の状況下ではスプレッドが変動します。
その主な3つの要因として、以下が挙げられます。
- ・【変動要因1】市場の流動性が低い時間帯
- ・【変動要因2】重要な経済指標が発表される前後の時間帯
- ・【変動要因3】突発的なリスクが発生した場合
【変動要因1】市場の流動性が低い時間帯
市場の流動性(取引量)が低い時間帯および日にちは、スプレッドが拡大する傾向にあります。
- ・日本時間の早朝(5時~8時の時間帯)
- ・クリスマス
- ・年末年始
市場の流動性が低いと、スプレッドが拡大するだけではなく、急な価格変動が発生するリスクもあるので、無理に取引を行わないのが賢明であると考えられます。
「FXの取引時間」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
【変動要因2】重要な経済指標が発表される前後の時間帯
重要な経済指標が発表される前後の時間帯は、スプレッドが拡大する傾向にあります。FXの重要な経済指標はいくつかあり、特に世界経済の中心である米国の雇用統計、CPIなどには注意が必要です。
また重要指標の発表後は、大きな値動きが発生する可能性もあります。
その値動きを狙って取引するときは、乱高下する場合もあることを認識しておく必要があります。
重要な経済指標がいつ発表されるのかは、OANDA証券が提供している「経済指標 予測カレンダー」で確認できます。
【変動要因3】突発的なリスクが発生した場合
金融危機や災害・テロなど、世界経済に影響を与える突発的なリスクが発生した場合は、スプレッドが拡大する傾向にあります。
例えば、2020年の「コロナショック」では多くの金融市場が乱高下し、FX市場にも動揺が見られ、スプレッドが広がるケースも多く見受けられました。
FX会社を選ぶ際のスプレッド以外のポイント
FX会社を選ぶ際のポイントとして、以下が考えられます。
- ・約定力
- ・スリッページ
- ・通貨ペアの数
約定力
約定とは、投資家の発注した注文(取引)が成立することを意味します。関連用語の「約定力」は、注文した価格の通りに約定するかの度合いを表します。
スプレッドが狭くても、スリッページ(注文した価格からズレて約定すること)が発生するようだと、取引コストが大きくなってしまう可能性があります。
為替レートは、0.001秒単位のスピードで目まぐるしく変動しており、投資家の注文がFX会社のサーバーに届いて初めて約定します。
約定力が弱いFX会社の場合、約定までに時間がかかってしまい、スリッページが発生する恐れがあります。
なお、OANDA証券ではスプレッドの配信率(提示率)を公表しています。
スリッページ
前述の通り、スリッページとは、注文発注から約定するまでに生じる価格のズレです。
例えば、米ドル/円の価格が140.100円のときに買い注文を発注しても、FX会社のサーバーに到達するまでの一瞬で140.110円に変わってしまい、約定時の注文金額が違う場合もあります。
この1銭(0.01円)の価格のズレが、スリッページです。
スリッページの発生状況は、約定力に大きく影響されます。
取引コストを抑えるためには、スプレッドの狭さだけではなく、約定力の強いFX会社を選ぶ必要があります。
通貨ペアの数
取引できる通貨ペアの数(種類)が多いFX会社ほど、トレードの選択肢が増え、チャンスを掴みやすくなります。
特定の通貨ペアで売買のチャンスがないときに、他の通貨ペアでチャンスが発生しているというケースは、少なくありません。
また、通貨ペア数が多いほど、スワップポイントで利益を上げやすいペアも見つかりやすくなります。
スワップポイントは、高金利通貨を含むペアほど大きくなる傾向があります。
OANDA証券のスプレッド
OANDA証券の「サーバー別・プラン別・通貨ペア別」のスプレッドは、以下の通りです。
(データは2025年6月10日時点のもの)
通貨ペア |
東京サーバー | NYサーバー | |||
---|---|---|---|---|---|
裁量プラン |
スタンダード |
スタンダード |
ベーシック |
プロ |
|
USD/JPY | 0.3銭 | 0.3〜1銭 | 0.3〜1銭 | 0.4銭 | 0.8銭 |
EUR/USD | 0.5〜0.8pips | 0.5〜0.7pips | 0.5〜0.7pips | 0.5pips | 0.8pips |
EUR/JPY | 0.4〜1.7銭 | 0.4〜1.6銭 | 0.4〜1.6銭 | 0.7銭 | 1.3~2.2銭 |
AUD/JPY | 0.6〜1.5銭 | 0.6〜1.5銭 | 0.6〜1.5銭 | 1銭 | 1.6銭 |
GBP/USD | 0.8〜1.2pips | 0.8〜1.2pips | 0.8〜1.2pips | 1.1pips | 1.3pips |
GBP/JPY | 0.9〜2.5銭 | 0.9〜2.5銭 | 0.9〜2.5銭 | 1.4銭 | 2.8~3.4銭 |
AUD/USD | 0.9pips | 0.9pips | 0.9pips | 1.1pips | 1.4pips |
ZAR/JPY | 1銭 | 1銭 | 1銭 | 1.3銭 | 1.3銭 |
東京サーバーはNYサーバーよりもスプレッドが狭い場面がある一方、NYサーバーは取引可能通貨ペア数が多い点がメリットです。
(東京サーバーは37〜40ペア、NYサーバーは68ペア)
スプレッドは日々変動するため、最新の数値は「スプレッド比較」のページでご確認ください。
また、OANDA証券の取引環境については、以下でご確認いただけます。
- ・約定スピード:「OANDA 東京サーバー インフラデータ」
- ・スリッページ発生状況:「OANDA 東京サーバー インフラデータ」
- ・通貨ペア一覧:「OANDA証券の取扱通貨ペア一覧」
スプレッドに関するQ&A
FXのスプレッドに関するよくある質問は、以下の通りです。
- ・スプレッド0円のFX会社はありますか?
- ・スプレッドが計上されるタイミングはいつですか?
- ・スプレッド負けとは何ですか?
- ・スプレッドと手数料の違いは何ですか?
- ・スプレッドは決済時にも引かれるのですか?
スプレッド0円のFX会社はありますか?
スプレッドが、常時0円(0銭)というFX会社は、存在しません。
ただし、いくつかのFX会社では、キャンペーン等で対象通貨ペア、期間、取引数量、時間帯などの条件を設けて、スプレッド0円で提供しているケースも見られます。
注意したいのは、表示上のスプレッドが0円だからといって、不利なスリッページが発生しやすい場合は、投資家にとって有利な環境ではないと考えられることです。
スプレッドが計上されるタイミングはいつですか?
スプレッドが未実現損失として計上されるタイミングは、注文を発注して約定した後です。
以下の画像で、新規注文時(エントリー)の流れを解説しています。
出典:MT4
新規の成行注文が約定後、スプレッドが未実現損失として計上されていることがわかります。
約定した直後はマイナス収支からスタートするため、スプレッド分を上回る値幅を取得しなければ、利益を得ることはできません。
スプレッド負けとは何ですか?
スプレッド負けとは「取引の利益をスプレッドが上回ってしまう状態」のことです。
スプレッドは売買をする度に発生するので、売買回数が多いスキャルピングは、スプレッド負けが起こりやすい傾向があります。
スプレッド負けを防ぐためには、以下のような対策が必要です。
- ①:スプレッドが狭いFX会社を選ぶ
- ②:スプレッドが狭い時間帯に取引をする
- ③:スプレッドが広がるイベント時の取引を避ける
- ④:売買回数を抑える
売買回数については、スイングトレードやポジショントレードなどのトレードスタイルであれば、回数を少なく抑えやすくなります。
スプレッドと手数料の違いは何ですか?
スプレッドとは、売値と買値の価格差です。
一方、手数料という場合は、株式の取引手数料のように、取引に対してかかるコストを指します。
日本のFX会社では、後者の手数料を無料とするのが主流です。
「FX取引の手数料」に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
スプレッドは決済時にも引かれるのですか?
スプレッドは新規注文が約定した後に、未実現損失として計上され、決済時に引かれることはありません。
1回の取引につき1回しかスプレッドは計上されません。
【まとめ】スプレッドとは|FX取引における意味・計算方法などをわかりやすく解説
スプレッドとは、売値と買値の価格差であり、実質的な取引コストです。
FX会社によってスプレッドの狭さは異なり、基本的に狭い方が投資家に有利と考えられます。
ただし、約定力も加味すると、表面上のスプレッドだけで有利不利を判断してしまうのは問題があると考えられます。
FXの取引コストを抑えたい場合は、スプレッド、約定力、スリッページに注目する必要があります。OANDA証券では前述の通り、高い約定スピードによってスリッページの発生を最小限に抑えることを追求しています。
実際のスリッページの発生状況も「東京サーバー インフラデータ」のページで毎週更新しています。
スプレッドやスリッページなどの用語も含め、FX初心者の方が知ることで役立つ基礎知識は、以下のコンテンツでわかりやすく解説しています。
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