約定(やくじょう)とは|仕組み・取引成立までの注意点を解説
約定(やくじょう)とは、FXの取引が成立することをいいます。
約定は注文方法によってタイミングが異なり、FX会社ごとにルールが異なる部分もあるため、基本的な仕組みをよく理解しておくことが必要です。
本記事では、約定の仕組みや意味、注文方法ごとに異なるタイミングについて解説します。
約定(やくじょう)とは
ここでは、約定の意味や「注文」との違い、「未約定」との違いなどを解説します。
FX投資での意味
FX投資での約定の意味は「FX会社との取引が成立すること」です。
国内のFX取引のほとんどは「FX会社と顧客」が、一対一で取引を行っています。
そのため、FXで約定するということは「他の顧客との間」ではなく「FX会社との間」で売買が成立する、ということです。
FX投資などで用いられるこの取引スタイルは、相対取引(あいたいとりひき)と呼ばれます。
取引所取引(株式)での意味
株式投資などで主に行われる「取引所取引」の場合、約定の意味は「自分の条件に合致する売り手・買い手との間で取引が成立すること」です。
「取引の成立」自体は、FX投資などの相対取引と同じです。
FX投資では「FX会社」が相手ですが、取引所取引では「他の売り手・買い手」が相手となります。
イメージは下図の通りです。
売り手・買い手ともに「140円」で一致する相手方が見つかったため、約定しています。
価格を指定しない「成行注文」が入った場合は、その人が優先的に約定します。
注文との違い
注文と約定の違いは「自分一人か、相手がいるか」という点です。
注文は自分一人で、買い注文や売り注文を一方的に出せば、それで完了します。
しかし「注文を出しただけ」であり、その注文に応えてくれる売り手や買い手(FX取引ならFX会社)が見つかったわけではありません。
一方、約定は注文に応えてくれる相手が見つかり、取引が成立した状態です。
このように「相手方がいるかいないか」が、注文と約定の違いです。
約定(やくじょう)と未約定(みやくじょう)
約定と未約定の違いは「取引が成立したか、していないか」です。
取引が成立した注文は全て「約定」、成立していない注文は全て「未約定」となります。
成行注文の場合、未約定になることはほとんどなく、例外的なケースを除いて約定します。
指値注文と逆指値注文の場合、現在価格からある程度離れた価格を指定することが多いため、一定時間未約定になるのが一般的です。
注文方法ごとに異なる約定(やくじょう)のタイミング
約定のタイミングは注文方法ごとに異なります。
ここでは、以下の3つの注文方法について、それぞれの約定のタイミングを解説します。
- ・成行注文
- ・指値注文
- ・逆指値注文
成行注文での約定
FX取引(相対取引)での成行注文の約定のタイミングは、基本的に「FX会社のサーバーに到達して処理された時」です。
取引所取引での成行注文の約定のタイミングも、基本的に「取引所のサーバーに到達して処理された時点」です。
取引所取引の場合、下図のような「注文板」を基に売買を行います。
この図の場合、例えば「買いの成行注文」を500株発注したら「500円:200株、501円:100株、502円:200株」で約定します。
逆に「売りの成行注文」で500株発注したら「499円:100株、498円:400株」で約定します。
取引所取引の約定の価格は、上のような理由でバラツキが生じることがあります。
指値注文での約定
FX取引の指値注文で約定するタイミングは、「指定した価格に到達し、注文がFX会社のサーバーで処理された時」です。
売りの指値注文なら「○○円まで上がり、注文がサーバーで処理された時」、買いの指値注文なら「○○円まで下がり、注文がサーバーで処理された時」がタイミングとなります。
取引所取引の場合は、「自分の指値と一致する売買相手が見つかった時」です。
自分が500円で100株売りに出していたら、「100株の成行注文」か「100株の500円買い指値」の相手が見つかれば、約定します。
いずれも「同じ条件で先に注文を出していた人」が優先されるため、相手が見つかるのは「自分の順番が回ってきた時」です。
このように「成行または同じ価格の指値」で売買相手が見つかった時が、取引所取引の指値注文での約定タイミングです。
逆指値注文での約定
FX取引の逆指値注文で約定するタイミングは、指値注文と同じく「指定した価格に到達し、注文がFX会社のサーバーで処理された時」です。
指値注文とは反対に、売りの逆指値注文は「○○円まで下がり、注文がサーバーに処理された時」、買いの逆指値注文は「○○円まで上がり、注文がサーバーに処理された時」となります。
取引所取引での逆指値注文の約定のタイミングは、指値注文の場合とは異なり、FX取引と同様「指定した価格に到達した時」です。
下図をご覧ください。
①の図では、500円の「逆指値売り」を入れています。
この時点で、すでに同じ価格の相手方(500円の買い指値)は、存在しています。
しかし、現在の価格が逆指値にまだ到達していないため、約定はしません。
そして、②のように現在の価格が逆指値に到達したら、すでに存在している買い指値の相手と約定します。
(ここで価格が下がった理由は、売りの成行注文が入り、500円の買い指値注文と約定したためと考えてください)
約定(やくじょう)に関する注意点
約定に関する注意点は、以下の通りです。
- ・FX会社によって約定のルールが異なることがある
- ・スリッページが起きる可能性がある
FX会社によって約定のルールが異なることがある
約定のルールは、FX会社によって異なることがあります。
基本的な約定のルールは共通していますが、例えば「一定数量を超えた注文をどのように約定させるか」などのルールは、FX会社によって異なることがあります。
各社の公式サイトで強調されていることが多いルールの1つは「月曜オープン時・メンテナンス明け」の指値注文・逆指値注文の約定に関するルールです。
このルールに関しては、多くのFX会社が「オープン時点の価格で条件を満たしていれば、その価格で約定する」というルールを定めています。
つまり、指定した価格と異なる価格で約定する「スリッページ」が起きる可能性があります。
これらのルール以外にも、利用するFX会社が個別に約定のルールを定めていることがあります。
そのため、取引を始める前にルールを確認することが重要です。
スリッページが起きる可能性がある
成行注文・指値注文・逆指値注文のいずれでも、スリッページが起きる可能性があります。
スリッページとは「想定とはずれた価格で約定する」ことです。
スリッページが起きる原因として、「注文の到達時間」「システム内での約定までの時間」などが挙げられます。
トレーダーのスマホやPCから出した注文は、FX会社のサーバーに届き、システム内で約定するまでわずかなタイムラグがあります。
時間にして「0.01秒〜数秒」ですが、このわずかな時間にも価格が変動することがあります。
価格が有利な方向にずれる現象は「ポジティブスリッページ」と呼び、不利な方向にずれる現象は「ネガティブスリッページ」と呼びます。
約定(やくじょう)とは|仕組み・取引成立までの注意点を解説
約定とは、注文が成立することをいいます。
今回解説した通り、注文方法によって約定のタイミングは異なり、いずれも価格がずれる「スリッページ」が起こり得るなどの点に注意する必要があります。
FX取引を行う前に、約定の意味や注意点をよく理解してから取引をするようにしましょう。