スワップポイントとは|失敗しないポイントや運用する際の注意点などを解説
スワップポイントとは、2か国間の金利差によって発生する損益です。
FX取引では通常の売買益とは別に、このスワップポイントの蓄積による利益も獲得できます。
本記事では、スワップポイントの意味や計算方法、活用する上で失敗しないためのポイントを解説していきます。
目次
- 1.スワップポイントとは
- 2.スワップポイントで運用するメリット・デメリット
- 3.スワップポイントで失敗しないポイント
- 4.OANDA証券が提供するスワップポイントツール
- 5.スワップポイントで運用する際の注意点
- 6.【まとめ】スワップポイントとは|失敗しないポイントや運用する際の注意点などを解説
スワップポイントとは
ここでは、スワップポイントの意味と計算方法を解説します。
意味
スワップポイントは「金利差調整分」とも呼ばれ、2か国間の金利差によって発生する利益のことです。
下図の通り「金利の高い通貨」と「金利の低い通貨」の金利差が、スワップポイント(利益)になります。
ただし、スワップポイントは必ずしも利益になるとは限らず、損失になる「マイナススワップ」も存在します。
「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」場合はプラスになりますが、逆に「高金利通貨を売って、低金利通貨を買う」場合はマイナスとなります。
なお、金利情勢によってはスワップポイントのプラス(受け取り)・マイナス(支払い)関係が逆転したり、売り・買い両方ともマイナスとなる可能性もあります。
計算方法
スワップポイントは、FX会社によって異なります。
一般的には、短期金利市場の金利、為替レートを参照して算出されます(政策金利を参照する訳ではなく、日々変動するのが特徴です)。
- スワップポイント(円)=数量×金利(%)÷365(日)× 円評価レート
日数の部分は、365日が主流ですが、360日とする場合もあります。
こうして1日当たりのスワップポイントを計算したら、その金額を円換算するために「×円評価レート」の計算を行います。
世界のほとんどの通貨は日本円より高金利であるため、スワップポイントは外貨で受け取ることになります。
そのため、その外貨の金額を最後に円換算する必要があるわけです。
スワップポイントの付与のルールは、FX会社によって異なります。
下図は、一般的なルールの一例です。
外国為替市場では、基本的に取引した2営業日後に外貨の受け渡しが行われます(スポット取引)。
FX取引においても同様ですが、外貨の受け渡しがあると投資家が困ってしまうので、FX会社によって自動的にロールオーバー(保有ポジションを決済し、新規ポジションを建て、受け渡し日を繰り延べる)が行われます。
この仕組みにより投資家は、受け渡し期限を気にせずに、ポジションを保有し続けることができます。
一般的に、ロールオーバーはNYクローズ後の時間に行われ、その際に繰り延べられた日数分のスワップポイントが発生・付与されます。
スワップポイントで運用するメリット・デメリット
ここでは、買いポジションでスワップポイントを狙って運用する(売買益でなくスワップによる利益をメインとする)メリットとデメリットを解説します。
メリット
スワップポイントを狙って運用するメリットは、通常のキャピタルゲイン(売買益)に加えて、インカムゲイン(資産の保有中に得られる利益)を獲得できることです。
下の図の通り、スワップポイントは保有日数に応じて積み上がっていきます。
そのため、スワップポイントの利益は、毎日着実に増加を期待できます。
ただし、相場の変動によって、スワップポイントの利益を上回る売買損失が発生する恐れもあります。
一方、売買益も獲得できれば、スワップポイントと合わせて2つの利益を狙えます。
特に中長期での売買益を狙う場合は、スワップポイントも大きくなるため、このメリットが大きくなります。
デメリット
スワップポイントを狙って運用するデメリットは、通貨ペアによっては「マイナススワップ」になる場合があることです。
この場合、通常のスワップポイントとは逆に、金利差を支払う必要があります。
「高金利通貨を買い、低金利通貨を売る」という組み合わせなら、スワップポイントはプラスになります。
しかし「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」という逆の組み合わせの場合、スワップポイントはマイナスになります。
例えば、2024年12月時点での政策金利は、メキシコが10.25%、米国が4.75%です。
仮にメキシコペソと米ドルのスワップポイントを政策金利で計算すると、下図の左側(米国国旗の側)のように、「メキシコペソ買い、米ドル売り」は5.50%、「米ドル買い、メキシコペソ売り」は-5.50%となります。
図の右側は、メキシコペソと日本円の場合で、こちらも計算の原理は同じです。
このように、通貨ペアの買いと売りの組み合わせによっては、マイナススワップとなって金利差を支払う必要が生じます。
これが主要なデメリットとなります。
その他のデメリットとしては「高金利通貨は値動きが不安定になる場合がある」「スワップポイントは課税対象である」などの点が挙げられます。
これらの点については「スワップポイントで運用する際の注意点」の段落で、詳しく解説します。
スワップポイントで失敗しないポイント
スワップポイントを狙った運用をするにあたって、失敗しないためのポイントを2つ解説します。
通貨ペアを考える
通貨ペアを考える際には以下に注目します。
- ・スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ
- ・金利差を考える
スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ
スプレッドとは「売値と買値の差」であり、FX取引における実質の手数料です。
直接手数料として徴収される訳ではありませんが、売買のたびに発生するコストであるため、事実上の手数料といえます。
このスプレッドによるコストを抑えれば、スワップポイントによる利益をより多く受け取れます。
そのため、スプレッドが狭い(小さい)通貨ペアを選ぶことが、スワップポイントで利益を得るポイントの1つとなります。
スプレッドについては、こちらの記事で詳しく解説しています。以下は、OANDA証券が提供する各通貨ペアのスワップポイントとスプレッドです。
●OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントとスプレッド一覧
通貨ペア | スプレッド | スワップポイント | |
売りSwap | 買いSwap | ||
USD/JPY (米ドル/日本円) |
0.3銭 | -250.20円 | 125.70円 |
EUR/USD (ユーロ/米ドル) |
0.5〜0.7pips | 0.26ドル | -0.55ドル |
EUR/JPY (ユーロ/日本円) |
0.4〜1.4銭 | -167.10円 | 107.40円 |
AUD/JPY (豪ドル/日本円) |
0.6〜1.5銭 | -126.20円 | 109.20円 |
GBP/USD (英ポンド/ 米ドル) |
0.8〜1pips | -0.07ドル | -0.03ドル |
GBP/JPY (英ポンド/日本円) |
0.9〜2.4銭 | -260.40円 | 225.20円 |
AUD/ USD (豪ドル/ 米ドル) |
0.9pips | -0.04ドル | -0.14ドル |
ZAR/JPY (南アフリカランド/日本円) |
1〜1.1銭 | -32.50円 | 3.40円 |
●スワップポイントについて
※提示しているスワップポイントは、2024年12月11日時点のものです。
※ 0.1Lot(10,000通貨)単位のスワップポイントを表示しています。
※ 対円以外の通貨ペアのスワップポイントは、2nd currency建てで表示しています。
※ 東京サーバーコースは追加オプションコースです。口座をお持ちのお客様は、Myページよりいつでも作成可能です。
OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントは、こちらの記事から確認しましょう。
●スプレッドについて
※提示しているスプレッドは、2024年12月02日から2024年12月06日までの日本時間AM9:00~翌日AM4:00(以下「表示期間」といいます。)において配信したスプレッドの提示率です。(2024年12月10日当社調べ)
※スプレッドは急な価格変動によって拡大する恐れがあり、必ずしも上記スプレッドと合致しない場合があります。
OANDA証券の各通貨ペアのスプレッドは、こちらの記事から確認しましょう。
金利差を考える
スワップポイントは、2国間の金利差によって発生するため、通貨(国)ペアごとの金利差が重要となります。
スワップポイントを受け取るためには、高い金利の通貨を買って、低い金利の通貨を売るのが基本です。
この金利差が大きければ大きいほど、受け取るスワップポイントの額が大きくなります。
また、金利差が小さいとプラススワップとマイナススワップが逆転して、スワップポイントを支払わなければならない場合もあります。
そのため、事前に取引する通貨の金利を調査した上で、通貨ペアを選ぶことが推奨されます。
※スワップポイントはFX会社が独自に設定するものであり、上記の基本パターンとは異なる場合もあります。
リスクを考える
スワップポイントを狙う運用をする際のリスクについて以下の項目で解説します。
- ・低いレバレッジで取引を行う
- ・分散投資を行う
- ・証拠金維持率の確認を行う
低いレバレッジで取引を行う
FX取引のレバレッジは、スワップポイントによる利益にも影響します。例えば実効レバレッジ10倍で運用すれば、レバレッジ1倍と比較して売買の利益だけでなくスワップポイントも10倍となります。
スワップポイントは「長期間保有するほど利益が増えていく」仕組みです。
そのため、相場が大きく変動しても問題なく保有を続けられるような低レバレッジに抑えるべきといえます。
もともとスワップポイントで利益を得やすい高金利通貨は、ボラティリティが大きい(値動きが激しい)傾向があります。
レバレッジなしでも大きな利益を狙いやすく、逆に大きな損失も出やすいため、高金利通貨は低レバレッジで取引する方が安全といえます。
分散投資を行う
高金利通貨は急激な価格変動が起きやすい傾向があるため、1つの通貨ペアに資金を集中させることにはリスクがあります。
低レバレッジで運用していたとしても、1回の急激な変動によってスワップポイントの利益以上に為替差損が生じることも考えられます。
そのようなリスクを避けるためには、複数の通貨ペアに分散して投資することも、1つの選択肢といえます。
相関性が比較的低い通貨ペアであれば、1つのペアが下落した場合にも、他のペアは下落しない、もしくは上昇することもあります。
分散させるため、1つの通貨ペアで大きなスワップポイントを得ることは難しくなりますが、複数のペアで長期的に、コツコツとスワップポイントを蓄積しやすくなります。
証拠金維持率の確認を行う
スワップポイントは、ポジションを決済しない限り毎日発生します。
しかし、自ら決済しなくとも強制的に決済される「ロスカット」を受ければ、ポジションが解消されその後のスワップポイントは発生しません。
OANDA証券の場合、証拠金維持率が100%を下回ると、ロスカットが執行されます。
たとえ相場が逆行したとしても、ロスカットが執行されなければ、長期的にスワップポイントを積み重ねられる可能性があります。
しかし、ロスカットを受ければ、そのような可能性はなくなってしまいます。
このため、ロスカットを受けないよう、証拠金維持率を小まめに確認する必要があります。
OANDA証券が提供するスワップポイントツール
OANDA証券では、スワップポイントを狙った運用を手助けするツールを提供しています。
ここでは以下のツールについて解説します。
スワップポイントカレンダー
スワップポイントはFX会社によって異なり、一般的には短期金利市場の金利や為替レートを参照して算出されます。
また、スワップポイントの付与のルールもFX会社によって異なります。
OANDA証券では、スワップポイントカレンダーを提供しており、通貨ペアごとに日々のスワップポイントが記録されています。
スワップポイントカレンダーで「いつ」「どのくらい」スワップポイントが付与されたのか、確認することで運用計画が立てやすくなります。
以下は、米ドル/円のスワップポイントカレンダーです。(2024年12月10日現在)
スワップポイントカレンダーを確認すると、12月03日の火曜日に買いスワップで136.30円付与され、12月04日の水曜日に買いスワップで373.20円付与されていることが確認できます(10,000通貨単位のスワップポイント)。
付与日数を先に確認することもできるので、スワップポイントを狙ったFX取引の計画に使用すると良いでしょう。
スワップポイント・シミュレーター
OANDA証券では、スワップポイントを狙った運用をした場合のシミュレーターを提供しています。
ここでは、日本でも人気の高い高金利通貨を例に、シミュレーターの紹介をします。
高金利通貨の代表格はトルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドなどで、低金利通貨の代表格は日本円です。
以下は、トルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドと日本円の金利差を比較した表です。
通貨ペア | 政策金利 | 金利差 | トルコリラ/日本円 | トルコリラ:50.00% 日本円:0.25% |
49.75% |
---|---|---|
メキシコペソ/日本円 | メキシコペソ:10.25% 日本円:0.25% |
10.00% |
南アフリカランド/日本円 | 南アフリカランド:7.75% 日本円:0.25% |
7.50% |
(2024年12月06日時点)
スワップポイントで運用する際の注意点
スワップポイントで運用する際の注意点は、以下の通りです。
スワップポイントはマイナスとなる可能性がある
「デメリット」の段落で解説した通り、スワップポイントはマイナスになるケースもあります。
基本的には「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」というポジションを持つことで、スワップポイントがマイナスになります。
マイナスとなった場合は、毎日マイナススワップを支払う必要があり、保有しているだけでも損失が蓄積されます。
もちろん、損失を上回る売買益を相場の変動によって得られるのであれば、問題はありません。
利益の見込みがない場合には、マイナススワップの発生は極力回避すべきといえます。
スワップポイントが高い高金利通貨は値動きが不安定な傾向にある
スワップポイントが高い高金利通貨とは、国が設定する「政策金利」が高い通貨です。
政策金利が高い通貨は、「高い金利を設定しないと保有してもらえない通貨」と考えることができます。
そのような通貨は、経済が不安定なことが多く、為替の値動きも激しくなる傾向があります。
例えば、2024年12月時点でトルコは政策金利が50%と非常に高い水準で、スワップポイントも高水準に設定されています。
しかし、2021年の1年間で、対ドルでの価値は半分以下に下落しました。
(1月の1ドル=7リラ台から、12月に一時1ドル=18リラ台まで下落)
このように、スワップポイントの蓄積よりも大きな為替差損が発生する場合があることに注意が必要です。
スワップポイントの利益は課税対象である
FX取引では、ポジションを「保有しているだけ」なら課税対象になりません。
含み益が出ていても、その利益を確定しない限りは課税されない仕組みです。
一方、スワップポイントが口座に反映された場合、その確定した利益は課税対象となります(FX会社によってはポジションを決済することで、スワップポイントが口座に反映される場合もあります)。
スワップポイントの利益がいくらになると納税や確定申告の義務が生じるかは、その人の他の所得などの諸条件によってルールが異なります。
詳しくは以下の記事を確認しましょう。
【まとめ】スワップポイントとは|失敗しないポイントや運用する際の注意点などを解説
スワップポイントとは、取引を行う通貨間の金利差のことです。
プラスのスワップポイントは毎日利益として受け取れますが、マイナスの場合は逆にその分を毎日支払う必要があります。
スワップポイントを狙った運用では中長期の投資が適していますが、FX取引で中長期の投資を行うためには、基本的な専門用語や相場分析の方法などを、一通り理解しておく必要があります。
OANDA証券では、そのようなFX初心者の方が学ぶべき知識をわかりやすく説明したコンテンツを、豊富に提供しています。
OANDA証券での口座開設は、以下のボタンより行えます。
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