スイングトレードとは|方法・メリット・デメリットを紹介
FXの代表的な取引スタイルの1つに、スイングトレードがあります。
スイングトレードとは、数日から数週間の期間で売買を行う取引スタイルのことです。
スキャルピングやデイトレードのように相場に張り付く必要がなく、1回の取引で大きな値幅(利益)を狙います。
しかし、大きな値幅を狙う分、相対的に損切り幅が大きくなってしまうリスクも存在します。
そのため、スイングトレードを行う際には、損切りルールを設定しておくことや低レバレッジでの取引を心がけることが重要です。
また、スイングトレードで利益を狙うには、トレンドの予測や経済指標の動きを把握しておくことが求められます。
本記事では、スイングトレードの概要と合わせ、適した時間足や通貨ペア、損切りの目安などを解説していきます。
目次
- ・1.スイングトレードとは?
- ・2.スイングトレードの方法・やり方
- ・3.スイングトレードのメリット
- ・4.スイングトレードのデメリット
- ・5.スイングトレードのコツ
- ・6.スイングトレードの注意点
- ・7.スイングトレードに関するQ&A
- ・8.【まとめ】スイングトレードとは|方法・メリット・デメリットを紹介
スイングトレードとは?
まずはスイングトレードの意味・内容と、他の取引スタイルとの違いを説明します。
意味
スイングトレードとは、ポジションを数日から数週間保有し、大きな値幅を狙う取引スタイルです。
一般的には、月足や週足など長期足のトレンドを分析し、その方向へ順張り取引を行います。
長期時間足を見て取引を行うので、取引機会はそれほど多くありません。
他の取引スタイルと比較して、チャート分析のために時間を拘束されることはなく、ゆったりとした取引が可能です。
ただし1回の取引で大きな利益を狙うため、相対的にリスクも大きくなりがちな取引スタイルといえます。
他の取引スタイルとの違い
FXはスイングトレード以外にも、スキャルピングやデイトレードなどの取引スタイルがあります。
ここではそれぞれの違いを、以下の表でまとめました。
取引スタイル | スキャルピング | デイトレード | スイングトレード | ポジショントレード |
使用するチャート | 1分足~15分足 | 5分足〜日足 | 1時間足~週足 | 日足~月足 |
メリット | ・1回のトレードリスクが少ない ・資金効率が良い ・翌日にポジションを持ち越さない |
・1回のトレードリスクが少ない ・資金効率が良い ・翌日にポジションを持ち越さない |
・一度に狙える利益はデイトレより大きい ・相場に張り付く必要がない ・ポジショントレードより取引機会が多い |
・一度に大きな利益を狙うことができる ・相場に張り付く必要がない |
デメリット | ・取引回数が増えるためスプレッド分のコストが嵩む ・一度に大きな利益は期待できない ・トレード中は相場に張り付く必要がある |
・一度に大きな利益は期待できない ・相場を頻繁にチェックする必要がある |
・1回のトレードリスクが大きい ・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい ・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある |
・1回のトレードリスクが大きい ・トレードチャンスは少ない ・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい ・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある |
スイングトレードの方法・やり方
スイングトレードで取引を行う際には、それに適した時間足や通貨ペアなどを選ぶ必要があります。
スイングトレードで見るべき時間足
スイングトレードでは、長期の時間足を分析して大きなトレンドを狙います。そのため月足、週足、日足で中長期のトレンド方向を分析するのが重要です。
そして、中長期足のトレンド方向を把握したら、それよりも下位の4時間足や1時間足で、より値幅が稼げそうであったり、優位性の高そうなエントリータイミングを探ります。
出典:TradingView
中長期の大きなトレンドの中で、押し目や戻りになるタイミングや、ブレイクアウトになるタイミングを下位時間軸で探していくのが一般的です。
通貨ペア
スイングトレードはさまざまな通貨ペアで行うことができますが、初心者は米ドル/円での取引が推奨されます。
米ドル/円は取引量が多く、値動きも安定しやすい傾向があるので、価格が急騰・急落しにくいといえます。
また米国の通貨なので、ファンダメンタルズなどの情報が取得しやすく、大きなトレンドを把握しやすくなります。
FXの通貨ペアの選び方を解説している記事もあるので、詳しく知りたい人は、この記事と一緒に読んでみましょう。損切りの目安
スイングトレードは、計画的に損切り幅や取引数量を決定しないと、大きな損失になってしまうリスクがあります。
そのため、トレードの際には資金管理をして、損切りの許容金額を決めることが推奨されます。
損失許容額が決まったら、その金額に収まるよう損切り幅と取引数量を調整します。
「損切り幅×取引数量=損失許容額」です。
損切り幅を大きくしたい場合は取引数量を少なめに、取引数量を多くしたい場合は損切り幅が狭めになります。
レバレッジ
スイングトレードを行う際は、低レバレッジでの運用を心がけましょう。
スイングトレードで大きなトレンドを狙う場合は、相応の逆行(押し目や戻り)が考えられます。その逆行中に損切りすることにならないよう、証拠金に対してポジションを持ちすぎないようにする必要があります。
国内FXでは最大25倍(個人の場合)までレバレッジをかけられますが、スイングトレードでは5~10倍程度を目安に低レバレッジでの運用を心がけましょう。
スイングトレードのメリット
スイングトレードのメリットは、以下の通りです。
- ・チャートへ張り付く必要がない
- ・成功した場合の獲得利益が大きくなる
チャートへ張り付く必要がない
スイングトレードはポジションを数日~数週間程度保有するので、その他の取引スタイルと比較してチャートへ張り付く必要がないのがメリットです。
仕事や家事などで忙しく、なかなか相場に向き合えない人でも、取引しやすいスタイルといえます。
成功した場合の獲得利益が大きくなる
スイングトレードでは大きな値幅を狙うため、トレードに成功した場合の獲得利益が大きくなることが期待できます。
FXは大局で発生したトレンドが継続しやすいので、そのような機会を狙うことで損失を抑えながら大きな利益を追求する「損小利大」のトレードができます。
また、取引頻度が少ないため、スプレッドの影響が小さいのもメリットです。
スイングトレードのデメリット
スイングトレードのデメリットは、以下の通りです。
- ・大きな値幅を獲得するまでに時間がかかる
- ・突発的な価格変動に直面するリスクがある
大きな値幅を獲得するまでに時間がかかる
スイングトレードは、大きな値幅を獲得するまでに時間がかかります。
その中の短期的な局面だけで見れば、逆行トレンドが発生する場合もあります。
出典:TradingView
上の画像は「2023年10月20日〜11月1日」の米ドル/円相場における、1時間足のチャートです。
①の10月20日に買いエントリーした場合、②の31日に急落して含み損が発生します。
しかし、翌日の11月1日には、③のように急騰しています。
もし31日の急落時やその手前で損切りをしていたら、その後の大きな利益を逃していたわけです。
スイングトレードではこのように一時的な逆行が起こり得るため、長期目線でトレードしていることを、常に意識する必要があります。
突発的な価格変動に直面するリスクがある
スイングトレードではポジションを長期間保有するため、突発的な価格変動に直面するリスクがあります。
急騰、急落はいつ起こるか分からないため、損切りを入れて対策しておくと良いでしょう。
損切りについては「逆指値注文」を入れておけば、設定した価格まで変動した時点で自動的に損切りが実行されます。
逆指値注文についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
スイングトレードのコツ
スイングトレードで大きな利益を狙うには、以下のポイントを押さえると良いでしょう。
- ・順張りでトレードする
- ・ファンダメンタルズをしっかり確認する
- ・取引ルールを守る
順張りでトレードする
スイングトレードは「順張り」でトレンド方向にポジションを持つのが基本です。
「上昇トレンドなら買い」「下降トレンドなら売り」のトレードが有効です。
順張りで取引を行う目安としては、押し目買い・戻り売りがあります。
上昇トレンドが小休止していったん安くなったところを狙うのが押し目買いで、これにより利幅を大きくすることができます。戻り売りは、これを反転させた考え方です。
また、ブレイクアウトという手法もあります。直近高値を上回るポイントや、直近安値を下回るポイントを狙います。トレンド方向へ勢いづく流れをとらえようという考え方です。
ファンダメンタルズをしっかり確認する
ファンダメンタルズとは、国の経済状況などを表す要因のことです。
スイングトレードは、デイトレードなどと比較すると、ファンダメンタルズの影響が強くなります。
重要な経済指標発表や、政変などのイベントが起こった場合は、トレンドが変化する可能性があります。
ファンダメンタルズに気づかずに損失を出すことがないよう、しっかり確認しておきましょう。
ファンダメンタルズ分析の方法はこちらの記事で解説しているので、詳しく知りたい人はこの記事と一緒に読んでみましょう。取引ルールを守る
FXで長期的に利益を得るためには、取引ルールを必ず守りながらトレードする必要があります。
FXの世界において、勝率100%を実現することは非常に困難で、プロトレーダーでも一定の割合で損失を出すといわれています。
そのような先の分からない相場で長期的に利益を出すには、ルールを作り機械的に取引をすることが必要です。
まずはエントリー・決済・ストップロス(損切り)の3つに関して取引ルールを確立し、必ず守りながらトレードしましょう。
スイングトレードの注意点
スイングトレードを行う上で、以下の2点に気をつけなければなりません。
- ・損小利大を意識する
- ・重要な経済指標の日程を把握
損小利大を意識する
大きな利益を狙う一方で、損失を小さく限定するよう意識することが大事です。
損小利大のトレードを継続することにより、たとえ勝率が低くても、トータル収支はプラスになることを期待できます。
損失を小さくするには、トレード前にしっかりと売買シナリオを作ることが大切です。
「どうなったら利益確定するのか」「どうなったら損切りするのか」をあらかじめ決めておくことで、損小利大のトレードができるようになります。
重要な経済指標の日程を把握
経済指標の発表によって相場が乱高下したり、トレンドが変わったりする可能性があります。
特に、中央銀行による政策金利に関わるイベント(FOMCなど)や、米国経済の先行きを読み取る上で重視される指標(雇用統計やCPIなど)には、注意する必要があります。
そうした指標が直近に予定されている場合は、エントリーを控えます。あるいは、ポジション保有中に指標が近づいたなら事前に決済するというのも有効です。
OANDA証券では重要な経済指標の日程をまとめた「経済指標 予測カレンダー」を提供しています。
取引をする前に、今後の重要な経済指標の日程は確認しておきましょう。
スイングトレードに関するQ&A
ここでは、スイングトレードに関してよくある疑問点をピックアップして解説します。
- ・スイングトレードでは何分足を使用するべきですか?
- ・スイングトレードは勝てないって本当ですか?
スイングトレードでは何分足を使用するべきですか?
スイングトレードでは、「月足・週足・日足」で中長期のトレンドを分析し、「4時間足・1時間足」でエントリーのタイミングを探ると良いでしょう。
これらより短い時間足を使ってしまうと、中長期のトレンドとは関係のないダマシの動きが、判断の妨げになる可能性があります。
スイングトレードは勝てないって本当ですか?
スキャルピング、デイトレード、スイングトレード、ポジショントレードといった取引スタイルに優劣があるわけではありません。どんなスタイルであっても勝てるか勝てないかはトレーダー次第です。
明確なトレードシナリオを作り、それを守るメンタルが備わり、資金管理でリスクを抑えるといったことが重要です。
スイングトレードでは、トレンドの分析ができていることや、経済指標のスケジュールを把握していることも重要な要素となります。
【まとめ】スイングトレードとは|方法・メリット・デメリットを紹介
スイングトレードは、数日~数週間のスパンで売買を行う取引スタイルのことです。
スキャルピングやデイトレードと比較すると、相場に縛られることなく、大きな利益を狙いやすいのが特徴です。
ただし、ポジションの保有時間が長くなるため、突発的なリスクに巻き込まれることや、ファンダメンタルズの影響を受けるなど、注意すべきことがあります。
しっかりとしたトレードのシナリオを作らなければ、損失が大きくなってしまいます。特に損切りのルールについては、なるべく小さく抑えるよう考える必要があります。
損小利大のトレードを心がけることが、スイングトレードを成功させるポイントになります。
本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。