用語解説

FX取引のデイトレード手法とは|他の手法との違いやメリット・デメリットを解説


FX取引の代表的な取引手法の1つに「デイトレード」があります。

デイトレードには「少額資金でも効率よく運用できる」などのメリットがあります。

ただし、「スプレッドの負担が増える」などのデメリットもあるため、特徴をよく理解することが大切です。

本記事では、デイトレードの意味、メリット・デメリット、リスク対策などについて詳しく解説します。

FX取引のデイトレードとは

まずは、デイトレードの意味や、他の取引手法との違いを解説します。

  • ・意味
  • ・他の取引手法との違い

意味

デイトレード(デイトレ)とは、数時間から1日までの短期間で取引を完了させる取引スタイルのことです。

日本語で「日計り(ひばかり)」と呼ばれることもあります。

活動している1日のうちに取引を完了させるため、就寝中の相場急変によるリスクを防げます。

他の取引手法との違い

スキャルピングスイングトレードなどの他の取引スタイルと、デイトレードの違いをまとめると以下の通りです。

取引手法の比較

取引スタイル スキャルピング デイトレード スイングトレード ポジショントレード
使用するチャート 1分足~15分足 5分足~日足 1時間足~週足 日足~月足
メリット ・1回のトレードリスクが少ない
・資金効率が良い
・翌日にポジションを持ち越さない
・1回のトレードリスクが少ない
・資金効率が良い
・翌日にポジションを持ち越さない
・一度に狙える利益はデイトレより大きい
・相場に張り付く必要がない
・ポジショントレードより取引機会が多い
・一度に大きな利益を狙うことができる
・相場に張り付く必要がない
デメリット ・取引回数が増えるためスプレッド分のコストがかさむ
・一度に大きな利益は期待できない
・トレード中は相場に張り付く必要がある
・一度に大きな利益は期待できない
・相場を頻繁にチェックする必要がある
・1回のトレードリスクが大きい
・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい
・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある
・1回のトレードリスクが大きい
・トレードチャンスは少ない
・ポジションを翌日に持ち越すためストレスが大きい
・週を跨いでポジションを持つと週末リスクがある

FX取引でデイトレードをするメリット

FX取引でデイトレードをするメリット

デイトレードのメリットは、以下の通りです。

  • ・資金効率が良い
  • ・マイナスのスワップポイントが発生しない

資金効率が良い

デイトレードでは取引チャンスがあるたびに、1日に何度も取引を行います。

その取引次第で、短期間に利益を積み重ねることが可能です。

FXにはレバレッジの仕組みがあるため、少額の自己資金でも効率よく運用することができます。

マイナスのスワップポイントが発生しない

通貨ペアによっては、スワップポイントがマイナスとなることがあります。

例えば「OANDA Japan・東京サーバー」の場合、2024年1月8日の米ドル/円における売りスワップは「-270.10円」でした(10,000通貨の場合)。

このポジションをオーバーナイト(翌日に持ち越す)すると約270円の損失が発生しますが、翌日に持ち越さないデイトレードでは、この損失は発生しません。

FX取引でデイトレードをするデメリット

デイトレードのデメリットは、以下の通りです。

  • ・手数料がかさむ
  • ・相場を頻繁にチェックする必要がある

手数料がかさむ

デイトレードは1日の取引回数が多くなる傾向があるため、その分手数料がかさみます。

国内のFX会社では「取引手数料無料」が主流ですが、事実上の手数料となる「スプレッド」があります。

スプレッド

取引の回数が増えればスプレッドの総額も増えてしまいます。

FX取引の手数料については、こちらの記事で詳しく解説しています。

相場を頻繁にチェックする必要がある

デイトレードはチャンスがあれば何度も取引するスタイルであるため、相場を頻繁にチェックする必要があります。

仕事や家事などが忙しく、チャートを長時間見ることができない人には、不向きな取引スタイルといえます。

また、チャートを見続けることは、身体的にも精神的にも負担がかかります。

FX取引でデイトレードする際のポイント

FX取引でデイトレードする際のポイント

FX取引でデイトレードを行う際のポイントは、以下の通りです。

  • ・通貨ペアのボラティリティを確認する
  • ・通貨ペアの流動性を確認する
  • ・重要な指標発表時などの取引は慎重に行う
  • ・売買の決済判断タイミングを見極める

通貨ペアのボラティリティを確認する

ボラティリティとは「価格の変動の激しさ」のことです。

FX取引は通貨ペアの価格変動から利益を出すため、一定のボラティリティは必要です。

しかし、あまりにボラティリティが大きすぎる場合は、FX初心者が売買をするにはリスクが高くなります。

自分が狙っている利益、取るリスクに合わせて、ボラティリティを考えることが重要です。

また、そのボラティリティに合わせて、取引量を調整する必要もあります。

OANDA証券では、通貨ペアごと・期間ごとのボラティリティを直感的に確認できる「ボラティリティ グラフチャート」を提供しています。

通貨ペアや期間を選ぶだけで誰でも簡単に利用できるため、ボラティリティの確認に活用しましょう。

通貨ペアの流動性を確認する

流動性とは「売買の成立のしやすさ」のことで、取引量が多い通貨ペアは基本的に流動性も高くなります。

流動性が高いということは、「希望の価格で売買が成立しやすい」ということです。

流動性の高い通貨ペアはスプレッドが狭い傾向があり、取引コストを抑えやすくなります。

取引量の多い通貨ペアを円グラフでまとめると、下図のようになります。

通貨ペア別シェア

 国内と海外の通貨ペア別のシェアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

重要な指標発表時などの取引は慎重に行う

重要な経済指標の発表時は、相場が大きく変動する可能性があります。

大きな利益を出すチャンスでもありますが、大きな損失を出すリスクもあるため、取引は慎重に行うことが重要です。

取引を行う場合は「指標の発表時間」などの基本的な情報をリサーチし、「何の指標なのか」「予想値はいくつなのか」「予想値に対してどういう結果だったらどう動く可能性が高いか」を考える必要があります。

このような事前の準備を行っていれば、実際に発表による相場変動が起きた時、対処しやすくなります。

なお、発表直後に取引が一方向に殺到した場合、取引が成立しにくくなることがあります。

こうなると希望の価格で約定せず、価格がズレる「スリッページ」が発生する可能性も高くなります。

売買の決済判断タイミングを見極める

FX取引の決済は「利益確定・損切り」の2種類に分かれます。

利益確定なら「できる限り相場が好条件なタイミング」、損切りなら「できる限り損失が膨らむ前のタイミング」で行うことが重要です。

また、利益確定に関しては、欲を出してタイミングを逃し、利益を減らすもしくは得られないケースも少なくないため「欲を出さない」という点もポイントの1つです。

このようなタイミングを見極めるためには「利益確定・損切りのラインをあらかじめ決めておく」ことや、「トレンドラインなどのテクニカル指標を活用する」ことが重要といえます。

初心者がリスクを抑えてデイトレードをする方法

初心者がリスクを抑えてデイトレードをする方法

初心者がリスクを抑えてデイトレードを行う方法は、以下の通りです。

  • ・少額で取引を始める
  • ・根拠のある取引を行う
  • ・損切りする

少額で取引を始める

取引金額が少額であれば、リスクを小さく抑えられます。

FX取引に慣れるまでは、できるだけ小さい金額で取引を行うようにしましょう。

少額資金を低レバレッジで運用し、リスクを一定のレベルに抑える方法を身につけ、徐々に取引金額を大きくしていくと良いでしょう。

根拠のある取引を行う

トレードは、根拠に基づいて行うべきです。

相場を分析した上での取引であれば、成功からも失敗からも学び、レベルアップしていくことができます。

まずはテクニカル分析ファンダメンタルズ分析をしっかりと勉強しましょう。

テクニカル分析では「チャートの値動き」を、ファンダメンタルズ分析では「各国の政治・経済など」を分析します。

双方の分析を合わせて行うことで、より強い根拠を持った取引を行えます。

損切りする

損切りは、大きな損失を抑えるための、リスク管理の基本です。

とはいえ、実際に損切りが必要な場面に遭遇すると、決断するのが難しい場合があります。

損切りを計画通りに実行するためには、逆指値注文(ストップ注文)を活用することが有効です。

逆指値注文

逆指値注文を設定すると、設定した金額まで相場が逆行した時点で、自動的に決済されます。

チャートに張り付く必要がない点もメリットといえます。

FX取引のデイトレードに関するQ&A

FX取引のデイトレードに関するQ&A

FX取引のデイトレードに関して、以下の疑問がよく見られます。

  • ・ローソク足チャートの時間足はどれを使いますか?
  • ・日付を跨いでしまったらデイトレードといいませんか?
  • ・デイトレードは初心者向きですか?
  • ・デイトレードが向いている人はどんな人ですか?

ローソク足チャートの時間足はどれを使いますか?

デイトレードで用いるローソク足チャートの時間足は、主に以下の種類です。

  • ・5分足
  • ・15分足
  • ・30分足
  • ・1時間足
  • ・4時間足
  • ・日足

あくまでこれらは目安であり、個々のトレーダーのスタイルによっては、他の時間足を用いるケースもあります。

上位時間足で大きな流れを把握し、下位時間足でトレードのタイミングを探るのが、王道とされています。

日付を跨いでしまったらデイトレードといいませんか?

明確な定義はないものの、日付を跨いでポジションを保有することはデイトレードと呼ばないのが一般的です。

ポジションを翌日に持ち越した場合は、「スイングトレード」に分類して良いでしょう。

デイトレードは初心者向きですか?

デイトレードには、初心者向きの部分とそうでない部分があります。

「少額の資金を効率よく運用できる」「オーバーナイトリスクがない(1日で取引が完結する)」という点は、初心者にとって有利といえます。

しかし「相場を頻繁にチェックする必要がある」「ある程度のテクニカル分析が必要」という点では、初心者にとってやや難しいといえます。

FX初心者の方がデイトレードを実践するのであれば、最初は負担にならない程度に相場を見る時間を抑えつつ、テクニカル分析の勉強を並行して行うのが良いでしょう。

テクニカル分析については、こちらの記事で詳しく解説しています。

デイトレードが向いている人はどんな人ですか?

デイトレードは「取引を行う時間が十分にある」「感情をコントロールできる」「判断力がある」人が向いている傾向があります。

デイトレードでは、一定時間チャートを見る必要があるため、時間の余裕が必要です。

また、相場の変動に対して感情をコントロールできることも重要です。

そして、限られたチャンスを逃さず売買を行うためには、判断力(決断力と注意力)も要求されます。

【まとめ】FX取引のデイトレード手法とは|他の手法との違いやメリット・デメリットを解説

数時間から1日で取引を完了させるデイトレードは、少額の資金でも効率よくトレードを繰り返しやすい取引手法です。

ポジションを翌日に持ち越さないため、就寝中の為替変動リスクはなく、マイナススワップが発生することもありません。

ただし、スプレッドによるコストがかさんだり、相場をチェックする時間が長くなるなどのデメリットもあります。

メリットやデメリットをよく理解し、他の取引手法と比較した上で、自身に適した取引のスタイルを探してみましょう。


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » 用語解説登録 » FX取引のデイトレード手法とは|他の手法との違いやメリット・デメリットを解説