ゴールデンクロスとは|意味・売買シグナル・注意点などを詳しく解説
ゴールデンクロスは、短期移動平均線が中・長期移動平均線を下から上へ突き抜けることです。
一般的に上昇トレンドが始まるサインとされ、買いシグナルとして利用されます。
ただし、ゴールデンクロスは必ず機能するわけではなく、サイン通りにならないダマシのパターンもあるため注意が必要です。
本記事では、ゴールデンクロスの意味や使用方法・注意点を解説していきます。
目次
- 1.ゴールデンクロスとは
- 2.ゴールデンクロスの具体例
- 3.ゴールデンクロスとデッドクロスの違い
- 4.ゴールデンクロスのシグナル
- 5.ゴールデンクロスを使用する際の注意点
- 6.ゴールデンクロスに関するQ&A
- 7.【まとめ】ゴールデンクロスとは|意味・売買シグナル・注意点などを詳しく解説
ゴールデンクロスとは
ゴールデンクロスの意味や一般的な組み合わせ、計算式について解説します。
- ・一般的な意味
- ・一般的な組み合わせ
- ・一般的な計算式
一般的な意味
ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が中・長期移動平均線の下から上へ突き抜けることを言います。
一般的に上昇トレンドが始まるサインとされ、買いシグナルとして利用されます。
一般的な組み合わせ
FX取引や株式投資の場合、日足では「25日線・75日線」が広く用いられ、より短期の値動きを測る場合には「5日線・20日線」を用いるケースも見られます。
週足の場合「13週線・26週線」が四半期と半期に該当するため、好んで用いられる傾向があります。
FX取引の場合、短期線・中期線・長期線を、以下のように大別するのが一般的です。
ただし、組み合わせに絶対的な正解はないので、自分の取引スタイルや好みに合わせて設定するのが良いでしょう。
短期線 | 中期線 | 長期線 | |
---|---|---|---|
日足 | 5日 | 25日 | 75日・100日・200日 |
週足 | 9週 | 13週 | 26週・52週 |
月足 | 12か月 | 24か月 | 60か月・120か月 |
これらのうち、短期線が「中期線」を突き抜けるパターンを「ミニゴールデンクロス・ミニデッドクロス」と呼ぶことがあります。
一般的な計算式
ゴールデンクロスは、チャートツール上で線がクロスするビジュアルから判断できますが、その線のもととなる値の変化で考えると理解が深まります。
日足チャートで2本の線がクロスするということは、次の条件を満たします。
- ・①:当日終値の短期移動平均値>当日終値の中・長期移動平均値
- ・②:前日の短期移動平均値<前日の中・長期移動平均値
①は「当日終値の短期線が中・長期線の上にある」、②は「前日は、短期線が中・長期線の下にあった」という意味です。
①と②で、短期線と中・長期線の位置関係が逆(線がクロス)になったことを表します。
これらの計算式(条件)を満たしている直近の日付が、ゴールデンクロス達成日ということになります。
ゴールデンクロスの具体例
ゴールデンクロスの具体例を、実際のチャートとともに解説します。
下のチャートはゴールデンクロスが発生した例で、赤ラインが25日移動平均線で緑ラインが75日移動平均線を表します。
出典:TradingView
短期線(赤ライン)が中・長期線(緑ライン)を上抜けるゴールデンクロスをきっかけとし、下降トレンドから上昇トレンドに転じていることが分かります。
ゴールデンクロスとデッドクロスの違い
デッドクロスとは、ゴールデンクロスとは逆に短期移動平均線が中・長期移動平均線を上から下に突き抜ける動きのことです。
一般的にデッドクロスが発生すると相場が下降する傾向があるため、売りシグナルとして利用されます。
出典:TradingView(オレンジライン:25日移動平均線 緑ライン:75日移動平均線)
上のチャートでは、デッドクロスが出現した後に下降トレンドに転じていることが分かります。
ゴールデンクロスのシグナル
ゴールデンクロスのシグナルとして、主に以下の3つが挙げられます。
- ・買いシグナル①
- ・買いシグナル②
- ・買い継続
それぞれのシグナルを図で示していきます。
買いシグナル①
出典:TradingView
このパターンでは、横ばい、もしくは上昇し始めている長期線(緑ライン)を、短期線(オレンジライン)が、下から上に突き抜けています。
そして、2本の移動平均線の上に、ローソク足が位置しています。
このようなパターンは典型的な買いシグナルです。
買いシグナル②
出典:TradingView
このパターンでは、短期線(オレンジライン)が長期線(緑ライン)を下回る状態が続きながら、ジワジワと接近しつつありました。
そして、その時点でローソク足は2本の移動平均線の上に位置しています。
このような相場では、近いタイミングでゴールデンクロスが発生し、上昇トレンドに転じる可能性があります。(実際に、クロスした後、安定的な上昇トレンドが発生しています)
このようなパターンは、「買いシグナル①」の発生を先読みした買いシグナルです。
買い継続
出典:TradingView
このパターンでは、上から順に「ローソク足>短期線(オレンジライン)>長期線(緑ライン)」の順に並んでおり、いずれも上昇トレンドを示しています。
このような形は「パーフェクトオーダー」または「順パターン」などと呼ばれ、買い継続のシグナルとされます。
ゴールデンクロスを使用する際の注意点
ゴールデンクロスを使用する際の注意点は、以下の通りです。
- ・ダマシに気をつける
- ・遅行性に気をつける
- ・レンジ相場に気をつける
ダマシに気をつける
ゴールデンクロスが発生したからといって、必ず相場が上昇トレンドになるわけではないため注意が必要です。
ダマシと呼ばれ、売買シグナルと逆の方向へ相場が動いてしまう場合もあります。特にミニ・ゴールデンクロスのような短い時間軸ではダマシが多くなりやすい傾向があります。
出典:TradingView
上のチャートでは、ゴールデンクロスが発生しているにもかかわらず、相場は下落しています。
こうしたダマシを見抜く方法の1つとして、クロスの角度を見ることが有効です。
クロスの角度が深いということは、短期のトレンドが強力であることを表すためです。
下図のように長期移動平均線と短期移動平均線の角度がどちらも上方向に伸びており、クロスの角度が深ければ信頼性が高いと考えられます。
一方で、クロスの角度が浅ければダマシの可能性に注意が必要です。
また、ダマシを見抜くには他のテクニカル指標を組み合わせることも有効です。
遅行性に気をつける
ゴールデンクロスは遅行する性質があり、ローソク足が示すトレンドよりも遅れてサインを発します。
クロスが発生した時点で、トレンドはすでに終わっているという可能性もあるため、注意が必要です。
特に長期の移動平均線では遅行する傾向があります。
出典:TradingView
上のチャートでは、上昇トレンド発生後に遅れてゴールデンクロスが発生していることが分かります。
このような場面では、別のテクニカル指標を併用して、クロスを先読みするなど応用を効かせることが有効です。
レンジ相場に気をつける
レンジ相場ではゴールデンクロスが発生した場合もダマシになる可能性が高いため注意が必要です。
レンジ相場とは、一定の範囲で上下を繰り返す相場です。トレンドがはっきりしないためゴールデンクロスなどのトレンド系の指標はダマシが多くなり、取引に向いていません。
出典:TradingView
上のチャートでは、レンジ相場でゴールデンクロスが発生しているのにもかかわらず、相場は上昇トレンドに転じていません。
レンジ相場で活用しやすいインジケーターについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
「レンジ相場とは|相場の見分け方や活用しやすいインジケーターについて解説」
ゴールデンクロスに関するQ&A
ゴールデンクロスに関して、よく見られる疑問点は以下のようなものです。
- ・ゴールデンクロスは意味がないって本当ですか?
- ・ゴールデンクロスと相性の良い指標は何ですか?
- ・移動平均線は何日のものを使いますか?
- ・クロスオーバーとの違いは何ですか
ゴールデンクロスは意味がないって本当ですか?
ゴールデンクロスにはいくつかの弱点や、苦手な相場環境があります。
それらの影響が大きい場面では、クロスがダマシに終わってしまう可能性は十分にあります。
一方、相場が停滞している状態からトレンドが始まるのを見つけたり、トレンドが終わろうとしている状態を見つけるのは得意です。
どんな場面でゴールデンクロスが発生し、どんな意味を示唆するのかを判断できるようになると、分析の精度が高まるでしょう。
ゴールデンクロスと相性の良い指標は何ですか?
ゴールデンクロスはレンジ相場を苦手とするため、レンジ相場を見抜けるRSIやボリンジャーバンドなどと組み合わせることでダマシを減らせる可能性があります。
また、移動平均線よりも先にクロスが出やすいMACDを先行指標にすることで、相場の転換をより早く判断できることもあります。
移動平均線は何日のものを使いますか?
日足の移動平均線としては、25日線と75日線を用いるのが王道とされます。
より短期的な値動きを測りたい場合には、5日線と20日線を用いることもあります。
出典:TradingView
上の画像は2024年1月19日〜2月9日の米ドル/円相場(1時間足)で、25日線(オレンジライン)と75日線(緑ライン)を表示したチャートです。
そして、青い+がゴールデンクロス・デッドクロスの発生した部分です。
チャートが表す21日間に7回(3日に1回)のペースで、クロスが発生したことが分かります。
一方、全く同じ相場で、短期を5日線(オレンジライン)、長期を20日線(緑ライン)に設定すると、下図のようになります。
出典:TradingView
この画像で見ると、同じ21日間でも23回のゴールデンクロス・デッドクロスが発生しています。
1日に平均1回以上のペースでクロスが発生したことになり、短期的な売買のチャンスを、より見つけやすくなることが分かります。
後者のように、移動平均線の計算期間が短い場合、通常のクロスと区別して「ミニゴールデンクロス・ミニデッドクロス」と呼ぶこともあります。
「ミニ」と通常のクロスの分類については、主に以下の2パターンが見られます。
通常 | ミニ |
---|---|
パターン①「短期」線が「長期」線を抜ける | 「短期」線が「中期」線を抜ける |
パターン②「中期」線が「長期」線を抜ける |
通常のクロスについては、長期線とペアになる線が「短期線・中期線」の2通りに分かれます。
クロスオーバーとの違いは何ですか
クロスオーバーとは、ゴールデンクロスとデッドクロスを合わせた総称です。
ゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売りという戦略やルールを「クロスオーバー戦略」「クロスオーバールール」と呼びます。
また、一般的なクロスオーバーは2本の移動平均線を用いますが、3本の線を用いる場合には「トリプルクロスオーバー」と呼ぶこともあります。
クロスオーバーは、DMI(方向性指数)やMACD(移動平均線収束拡散法)など、さまざまな指標でも発生します。
【まとめ】ゴールデンクロスとは|意味・売買シグナル・注意点などを詳しく解説
ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が中・長期移動平均線を下から上へ突き抜けることです。
一般的に上昇トレンドが始まるサインとされ、買いシグナルとして利用されます。
また、ゴールデンクロスの反対に短期移動平均線が中・長期移動平均線を上から下へ突き抜けることをデッドクロスと言います。
ゴールデンクロスやデッドクロスは必ず機能するわけではなく、レンジ相場などではダマシになる可能性もあるので注意が必要です。
クロスの角度に注目したり、RSIやボリンジャーバンドなど他のテクニカル指標と組み合わせたりすることで、より分析の精度を高められます。
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