テクニカル分析解説

2本の移動平均線の使い方や売買シグナル、相場分析方法を紹介


2本の移動平均線(Moving Average:MA)が示唆する売買シグナル


1本の移動平均線で分析する場合は、その傾きや、ローソク足との位置関係に着目して、トレンドを判断するのが一般的な考え方です。これにもう1本の移動平均線を加えると、また別の見方ができるようになります。一般的には、期間が異なる2本の移動平均線(短期線と中・長期線の組み合わせなど)を表示して、その交差や位置関係から売買シグナルを見ます。ここでは画像1を用いて、短期線(5日)と長期線(21日)を組み合わせた場合の、典型的な分析方法を紹介します。

<長期線の傾き>

トレンドの判断は、長期線で行うのが一般的です。画像1の長期線(赤)は、横ばい→上昇→横ばいの推移をしていることが分かります。

<交差(クロス)>

移動平均線の交差は、売買シグナルと解釈できます。短期線(青)が長期線(赤)を下から上へ交差するのはゴールデンクロス(GC)で買いシグナル、上から下へ交差するのはデッドクロス(DC)で売りシグナルです。画像1の交差は、ゴールデンクロスで買いシグナルを意味します。

<接近から乖離(タッチ&ゴー)>

移動平均線が接近するものの交差せずに乖離していく動きはタッチ&ゴーと呼ばれ、トレンドの加速を示唆します。画像1では上昇トレンドの半ばで、その動きが確認できます。

<乖離>

移動平均線同士が乖離しすぎた場合は、買われすぎ・売られ過ぎの状態であると考えられます。やがて両者が接近する値動きに転じることが予想され、逆張りの目線を持つことができます。とはいえ、どの程度の乖離が逆張りにふさわしいかは、判断が難しいところです。その他のテクニカル指標と複合的に考えることが重要です。

画像1/短期線、長期線の関係に注目

短期線、長期線の関係に注目

5日移動平均線(青) 21日移動平均線(赤)


ゴールデンクロス、デッドクロスのダマシを減らすアイデア


ゴールデンクロス、デッドクロスは、売買のタイミングを見極める有用な手法ですが、ダマシが発生するため工夫が必要です。そのダマシを減らすために、長期線の傾きに沿ったクロスに限ってトレードするという手法があります。画像2のA、Bは、長期線が横ばいの中で発生したゴールデンクロスのダマシです。

一方のCは、ちょうど右肩上がりになり始めた中でのゴールデンクロスで、それからしっかりと上昇につながっていることが分かります。また別の考え方として、クロスが発生したらその方向に長期線の傾きが一致するまで待つ、という手法もあります。

画像2/ゴールデンクロスの成功と失敗

ゴールデンクロスの成功と失敗


タッチ&ゴーはチャートパターンとの複合型に注意


タッチ&ゴーの動きとしては、画像1で説明した移動平均線同士が接近して乖離するパターンと、長期移動平均線が方向性を伴わない段階でクロスしてまたすぐに戻す(ダマシが発生する)パターンがあります。前者は分かりやすい売買シグナルとして迷わないものの、後者は判断が難しいところです。

判断のポイントとしては、画像3のようにフラッグなどのチャートパターンを伴っているかどうかを確認することです。その場合は、チャートパターンの法則(トレンドの継続など)に従う目線を持つことが重要です。このように、ローソク足の形状やそれ以前のトレンドにも注視することで、タッチ&ゴーの判断を補強することができます。

画像3/長期線が横ばいの場合のタッチ&ゴー

長期線が横ばいの場合のタッチ&ゴー

監修:山中康司氏

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