テクニカル分析解説

指数平滑移動平均線の計算方法や他の移動平均線との違いを紹介


直近のデータに比重を置き、全てのデータを計算に用いる指数平滑移動平均線(Exponential Moving Average:EMA)


移動平均線にはさまざまな計算方法があり、単純移動平均線(Simple Moving Average:SMA)や加重移動平均線(Weighted Moving Average:WMA)は、n期間を計算対象にして求めます。これらは、計算期間を過ぎれば外れていくデータがあることを意味し、それが弱点だと指摘されることもあります。

その弱点を補うために開発されたのが指数平滑移動平均線です。指数平滑移動平均線は全てのデータを計算対象とするもので、古いデータが計算から外れることなく、常に新しいデータを加えながら計算するのが特徴です。また、直近のデータを2倍にして計算することから、広義には加重移動平均線の仲間だといえます。

指数平滑移動平均線の最初の値は、単純移動平均と同じ計算、つまりn日間の終値の合計をnで割って求めます。そして2日目以降は、前日EMA+平滑化定数α×(当日終値-前日EMA)で求めます。なお、平滑化定数α=2÷(n+1)です。この平滑化定数を用いた計算により、ウェイトの減衰が指数関数的になります。

下表は、期間5のSMA(5SMA)、EMA(5EMA)を求める際に、計算対象とするレートを示したものです。赤、青、緑で囲った数値の平均は、それぞれの色のSMA、EMAの数値に対応します。

SMAとEMAの計算対象の違い

計算式をより単純化すると、前日EMAにn-1を掛けた値と、当日の終値を2倍にした値を合計し、それをn+1で割るということです。つまり、前日EMAと当日の終値のデータにより計算できます。

なお、EMAを使用する上で注意したいのは、全てのデータを計算に利用するという性質上、自分の見ているEMAと他者が計算したEMAとで値が異なる可能性があるということです。計算(データ)の基点が異なれば、EMAの形にも影響が及んでしまうのです。


SMA、WMA、EMAの見た目の差異


限定された期間のデータで直線的なウェイトの減衰をかける加重移動平均線と比較すると、全てのデータで指数関数的なウェイトの減衰をかける指数平滑移動平均線の方が、滑らかな推移を示します。画像1でも明らかなように、トレンドへの追従性や感応度は、WMA(緑)>EMA(赤)>SMA(青)の順です。

画像1/3種類の移動平均線の比較

3種類の移動平均線の比較

SMA(青) EMA(赤) WMA(緑) ※全て期間20


EMAは他の派生テクニカルで採用される


移動平均線はさまざまなテクニカル指標に派生しています。EMAが用いられている中で、最も代表的なのはMACDです。これは英語表記「Moving Average Convergence Divergence」の略字で、日本語では移動平均収束拡散法と訳され、短期と長期のEMAの価格差が伸縮する動きを数値化したテクニカルです。開発者のジェラルド・アペルは、12日EMAと26日EMAを採用(その差がMACD)し、さらにMACDの9日EMAをシグナルとしました。

画像2/ 2本のEMAの価格差を表すのがMACD

 2本のEMAの価格差を表すのがMACD

12EMA(青) 26EMA(赤)

画像2のように、MT4/MT5ではサブウインドウに1本のライン(赤・シグナル)と、ヒストグラム(灰・MACD)が描かれます(別のチャートソフトなどでは、2本のラインで描かれる場合もあります)。MACDはEMA同士の差を表し、チャートで両者が交差する箇所は、サブウインドウのヒストグラムが0(ゼロ)になっていることが分かります。

そのMACDを期間9のEMAにしたのがシグナルです。MACDをトレードに利用する場合は、MACDとシグナルの交差(ゴールデンクロス(GC)/デッドクロス(DC))を、売買シグナルと考えるのが一般的な使い方です。

監修:山中康司氏

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