テクニカル分析解説

移動平均線を用いるさまざまな分析方法はどんな場面の判断に使える?


代表的な分析方法の特徴をまとめ


一口に移動平均線(Moving Average:MA)による分析といっても、複数本を組み合わせたり、単純移動平均線(Simple Moving Average:SMA)を改良して作られたテクニカル指標を用いたりと、さまざまな方法があります。“移動平均線系”の分析に万能なものはなく、それぞれに一長一短があるわけですが、それではどの分析方法がどんな場面の判断に使えるのでしょうか?

代表的な分析方法や、移動平均線から派生したテクニカル指標について、「もみ合いの判断」「もみ合いでの売買」「トレンドの発生」「トレンドの継続」「トレンドの転換」のどれを得意とするか、その特徴をまとめます。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 
分析方法 もみ合いの判断 もみ合いでの売買 トレンドの発生 トレンドの継続 トレンドの転換
1本の移動平均線
2本の移動平均線(長期+短期)
2本の移動平均線(始値+終値)
2本の移動平均線(高値+安値)
3本以上の移動平均線
複合型移動平均線(GMMA)
アリゲータ
HiLoアクティベータ
ハル移動平均線
エンベロープ
ボリンジャーバンド
MACD
TRIX

表に挙げた移動平均線以外の分析方法は、下記の特徴を持ちます。

                                                                                                           
インジケーター 意味
複合型移動平均線12本の移動平均線を組み合わせ
アリゲータ3本の先行移動平均線を用いる手法
HiLoアクティベータ高値移動平均線と安値移動平均線を合成したテクニカル指標
ハル移動平均線多重移動平均線の一種
エンベロープ移動平均線から一定幅のバンドを示すテクニカル指標
ボリンジャーバンド移動平均線の上下に標準偏差のバンドを示すテクニカル指標
MACD移動平均線同士の乖離を示すテクニカル指標
TRIX多重移動平均線の一種

移動平均線系分析の大まかな傾向


上表が示す通り、移動平均線を用いる分析方法は、もみ合いでの売買判断に向きません。3本以上を組み合わせた場合は、もみ合いの判断ができるようになるものの、それでも売買判断まではできないのです。一方、移動平均線から発展したエンベロープやボリンジャーバンドは、もみ合いでの売買判断が可能です。特にボリンジャーバンドは、あらゆる場面で分析できる特徴を持ちます。

ちなみに、もみ合いでの売買判断が得意なのは、相場の買われ過ぎ・売られ過ぎを表すオシレーター系指標です。これらと組み合わせて分析することで、移動平均線系分析の弱点を補うことができます。画像1は、2本の移動平均線と、オシレーター系指標のRSIを組み合わせた例です。チャート中央のレンジ相場では、移動平均線が横ばいに推移して機能していませんが、RSIでは逆張りの売買シグナル(買われ過ぎゾーン・売られ過ぎゾーンからの反転)が発せられています。

画像1/移動平均線とRSIの組み合わせ

移動平均線とRSIの組み合わせ

なお、一般的にトレンド系指標は順張り、オシレーター系指標は逆張りに向いていると言われますが、そうした先入観を持たない方が良いでしょう。どちらのテクニカル指標も少し見方を変えるだけで、逆の判断が可能になることもあるからです。

監修:山中康司氏

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