MACDとは?基本的な売買サインの見方やMT4での設定方法を解説
MACD(マックディー)とは、移動平均線から派生した人気のインジケーターです。
正式名称は「Moving Average Convergence and Divergence(移動平均収束拡散)」といい、頭文字をとってMACDと呼ばれています。
主にトレンドの転換点を予測し、売買のタイミングを判断するために使われます。
売買サインがわかりやすいため、初心者でも使いやすいインジケーターのひとつです。
この記事では、MACDの売買サインの見方や取引に用いる際の注意点と、TradingView(トレーディングビュー)とMT4におけるMACDの表示方法を紹介します。
1.MACDとは?
冒頭でもお伝えしましたが、MACDはトレンドの転換点を予測し、売買のタイミングを判断するためのインジケーターで、以下の2つの線から構成されています。
- ・MACD線:「短期の指数平滑移動平均線ー長期の指数平滑移動平均線」を表した線
- ・シグナル線:MACD線の指数平滑移動平均線
この2つの線を見て売買のタイミングを判断するのが、MACDの一般的な使い方です。
MACDは「買い」や「売り」のタイミングを早く予測できるという特徴があります。
移動平均線と言えば、一般的には「単純移動平均線」を指しますが、「MACD線」の算出には「単純移動平均線」よりも価格の値動きに早く反応する「指数平滑移動平均線」が使われているためです。
MACDは相場の変動も早く知れるうえに、2本の線を見るだけで売買サインがわかることからFX初心者でも使いやすいため、多くのトレーダーに活用されています。
2.MACDの売買サインの見方・使い方
ここからは、MACDを使った売買サインの見方を4つ紹介します。
【サインの見方1】
ゴールデンクロス(買いサイン)とデッドクロス(売りサイン)を見る
まず押さえておきたいのは、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」という売買サインの見方です。
これらの売買サインは、MACDを構成する2本の線である「MACD線」と「シグナル線」の交差で表されます。
- ▼ゴールデンクロス(買いサイン)
MACD線がシグナル線を「下から上」に抜けたポイント - ▼デッドクロス(売りサイン)
MACD線がシグナル線を「上から下」に抜けたポイント
実際に以下の画像を見ると、ゴールデンクロス後に価格が上昇し、デッドクロス後に価格が下落していることがわかります。
このように、MACD線とシグナル線の交差からトレンドを予測し、売買タイミングを判断するのが、MACDの基本的な見方です。
【サインの見方2】
ヒストグラムで売買サインを確認する
MACDを構成する要素として、「ヒストグラム」という棒グラフもあります。
ヒストグラムはMACD線とシグナル線の差分を表した棒グラフで、以下の式で算出されます。
- ヒストグラム=MACD線ーシグナル線
【サインの見方1】で解説したゴールデンクロス・デッドクロスは、MACD線とシグナル線が重なり差分がゼロになるため、ヒストグラムの値もゼロとなります。
よって、ヒストグラムがゼロラインの上から下に(下から上に)転換するポイントが売買サインと言えます。
- ▼買いサイン(=ゴールデンクロス)
ヒストグラムがゼロラインの下から上に転換したポイント(棒グラフが赤色から緑色に変わった境目) - ▼売りサイン(=デッドクロス)
ヒストグラムがゼロラインの上から下に転換したポイント(棒グラフが緑色から赤色に変わった境目)
以下の画像を見ると、ヒストグラムの買いサイン後に価格が上昇し、売りサイン後に価格が下落していることがわかります。
なお、上で説明した通り、ヒストグラムはMACD線とシグナル線の差分を表すため、両者の差分がゼロに近づくと、ヒストグラムの値もゼロに近づきます。
ヒストグラムの値がゼロに近づいているかを見ることで、トレンドの転換を読みやすくなります。
【サインの見方3】
MACD線とシグナル線の位置と傾きからトレンドの傾向を把握する
MACD線とシグナル線の場所や傾きから、トレンドの傾向や強さを把握する見方もあります。
- ▼上昇トレンドが発生
「MACD線」と「シグナル線」の位置:ゼロラインよりも「上」のプラス領域にある
「MACD線」と「シグナル線」の傾き:上向き - ▼下降トレンドが発生
「MACD線」と「シグナル線」の位置:ゼロラインよりも「下」のプラス領域にある
「MACD線」と「シグナル線」の傾き:下向き - ※ゼロライン:MACDのチャートの中心線
たとえば以下の場合、相場に強い上昇トレンドが発生していると判断できます。
また、2本の線の傾きの角度が急になればなるほど、強いトレンドが発生していることがわかります。
逆に、傾きの角度が緩やかになれば、そのトレンドは弱まっていると予測できます。
【サインの見方4】
ダイバージェンスの発生からトレンドを予測する
「ダイバージェンス」とは、価格の値動きとインジケーターの動きが逆行する現象です。
MACDにおけるダイバージェンスは、MACDの動きと価格の動きが逆行する状態を指します。
この「ダイバージェンス」が発生すると、トレンドが転換する傾向にあるため、トレンドの転換点を予測するサインとして使われます。
以下は、価格は上昇しているがMACDは下落するというダイバージェンスが発生したときの画像です。
ダイバージェンス発生後、トレンドが転換し価格が下落しています。
逆に、価格は下落しているがMACDは上昇している場合も、その後トレンドが転換する可能性があります。
トレード時には、MACDと価格の動きが合っているかを随時確認しましょう。
そしてダイバージェンスを確認したら、その後にトレンドが反転することを見越して、売買を検討しましょう。
3.MACDを活用する際の注意点
ここまで紹介したMACDの売買サインは、トレンドの転換点や売買のタイミングを知るために役立ちます。
しかし、MACDの売買サインは100%信用できるとは限りません。
売買サインと逆の方向に価格が動く「だまし」が発生することがあるからです。
たとえば以下のように、ゴールデンクロス(買いサイン)後に下降トレンドになるケースもあります。
通常であればゴールデンクロスで上昇トレンドに買いエントリーしますが、上の画像のようなチャートの動きになった場合、損失が発生してしまいます。
このように「だまし」が発生することがあるため、過度に売買サインを信用しないようにしましょう。/
ここでは、「だまし」のリスクを回避するための2つの方法を紹介します。
- 1.レンジ相場ではMACDを使わない
- 2.長期のトレンドを把握する
【注意点1】
レンジ相場ではMACDを使わない
MACDは価格の値動きに対して素早く反応する特徴があり、トレンド相場においては売買サインが機能しやすいインジケーターです。
一方、レンジ相場(価格がある一定の幅で上下する相場)では売買サインが機能しないことが多々あります。
レンジ相場は、価格が一定の値幅を上下するため、ゴールデンクロスが出た直後にデッドクロスが出たり、また直後にゴールデンクロスが出たりと、売買サインが頻繁に出てしまいます。
そのため、MACDの売買サインの信用性が落ちるのです。
よって、基本的にレンジ相場ではMACDを使って売買を判断しない方がよいでしょう。
【注意点2】
長期のトレンドを把握する
MACDはトレンドを見極めやすいインジケーターですが、短期のトレンドのみを把握してトレードすると、予想とは違う値動きをして損失が発生することがあります。
価格は長期のトレンドに沿って推移する傾向があります。
そのため、5分足や15分足といった短期のトレンドだけではなく、日足や週足、月足といった長期足でのトレンドも把握しながら売買を判断しましょう。
4.MACDの各種ツールの設定方法
ここからは多くのFXトレーダーに支持されているTradingView(トレーディングビュー)、およびMT4とMT5でMACDを表示する方法を解説します。
TradingView(トレーディングビュー)でMACDを表示する方法
まず、TradingViewにMACDを表示するための手順を紹介します。
【手順1】「インジケーター」を選択する
TradingViewを開き、画面上部の「インジケーター」を選択します。
【手順2】検索窓に「MACD」と入力し、「Moving Average Convergence Divergence」を選択する
表示されたポップアップの検索窓に「MACD」と入力し、「Moving Average Convergence Divergence」を選択します。
以上の2つの手順が済むと、以下のように画面下部にMACDが表示されます。
MT4(MetaTrader 4)でMACDを表示する方法
続いて、MT4にMACDを表示する手順を紹介します。
【手順1】ツールバーで「MACD」を選択する
MT4の画面を開き、画面上部のツールバーを「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「MACD」の順番で選択します。
【手順2】:パラメーター設定のポップアップ画面で「OK」を選択する
表示されたポップアップ画面にて「OK」を選択します。
パラメーターの数値は基本的にはデフォルトのままで問題ありません。
もし数値を変更する場合は、数値の変更後に「OK」を選択してください。
以下のようにMACDが表示されれば、設定は完了です。
MT5(MetaTrader 5)でMACDを表示する方法
最後にMT5でMACDを表示する手順を紹介します。
表示画面が少し異なりますが、手順はMT4と同じです。
【手順1】ツールバーで「MACD」を選択する
MT5の画面を開き、画面上部のツールバーを「挿入」→「インディケータ」→「オシレーター」→「MACD」の順番で選択します。
【手順2】:パラメーター設定のポップアップ画面で「OK」を選択する
表示されたポップアップ画面にて「OK」を選択します。
パラメーターの数値は基本的にはデフォルトのままで問題ありません。
もし数値を変更する場合は、数値の変更後に「OK」を選択してください。
以下のようにMACDが表示されれば、設定は完了です。
ちなみに、MACDの見た目はTradingViewの画面とMT4、MT5の画面では異なります。
TradingViewで表示されるMACDは、MACD線とシグナル線の交差ポイントがわかりやすい一方、MT4やMT5に表示されるMACDは交差ポイントが見づらいという欠点があります。
OANDAでは、MT4、MT5でも使いやすいオリジナルのインジケーター「OANDA MACD」を無料で提供しています。
続いて、この「OANDA MACD」について紹介しましょう。
5.MT4、MT5で使いやすいOANDA MACDの特長
「OANDA MACD」は、MT4とMT5で使える、OANDA証券オリジナルのインジケーターです。
MT4にデフォルトで表示されるMACDよりも使いやすいと定評があります。
ここまで解説してきたように、TradingViewなどのツールでは通常、MACDは2本の線と棒グラフで表されます。
しかし、MT4とMT5にデフォルトで表示されるMACDは、以下のように「MACD」が棒グラフで、「シグナル」が線で表示されます。
「MACD」と「シグナル」の交差ポイントを見るには、棒グラフと線が交差した箇所を見る必要があり、どこで交差しているのかを正確に把握するのが困難です。
また、通常のMACDでは表示されている「MACD線ーシグナル線」の値を示したヒストグラムも表示されません。
これに対して、「OANDA MACD」は通常のMACDと同様に、MT4、MT5上でも2本の線と棒グラフ(ヒストグラム)が表示されます。
そのため、線の交差ポイントがわかりやすく、トレンドの転換点も容易に把握できます。
また、ヒストグラムの色の変化でもトレンドの転換点を把握できます。
「OANDA MACD」のヒストグラムは、以下のように棒グラフの色が分かれています。
- ▼ゼロラインよりも上(MACD線がシグナル線の上を通っている)
数値が上がる:濃い緑色
数値が下がる:薄い緑色 - ▼ゼロラインよりも下(MACD線がシグナル線の下を通っている)
数値が上がる:ピンク色
数値が下がる:赤色
本記事の【サインの見方2】で説明したように、ヒストグラムは「MACD線ーシグナル線」の値を示します。
以下の図のように、ヒストグラムが濃い緑色から薄い緑色に変化しているとき、MACD線とシグナル線の差分が小さくなっているため、その後トレンドの転換を予測できるのです。
この「OANDA MACD」は、OANDA証券の口座をお持ちの方であれば、MT4、MT5のインストール後に無料でご利用いただけます。
OANDA証券の口座をお持ちでない方は、以下のボタンから口座開設が可能です。
OANDA証券の口座を開設後、OANDA証券の会員ページにログインし、MT4、MT5専用のサブアカウントを開設します。
サブアカウントを開設したら、MT4、MT5をインストールします。
MT4、MT5のインストール方法については、以下の記事を参考にしてください。
参考記事:MT5(メタトレーダー5)の初期設定
また、MT4、MT5で「OANDA MACD」を表示する手順については、以下の記事の「OANDA MACDの設定方法」の項目で詳しく解説しています。
参考記事:デフォルトのMT5、MT4にはなかったヒストグラム付きMACDを紹介
【まとめ】MACDを活用してトレンド予測の精度を高めよう
最後に、本記事のポイントをまとめます。
- 1.MACDは移動平均線から派生した、トレンドの把握に使われるインジケーター
- 2.「MACD線」と「シグナル線」のゴールデンクロス・デッドクロスで売買を判断できる
- 3.「MACD線」と「シグナル線」のほか、ヒストグラムやダイバージェンスの発生も見ることで、より精度高くトレンドを予測できる
- 4.MACDの売買サインは100%信用できるわけではなく、レンジ相場ではMACDを使わないといった注意が必要
- 5.取引ツール「MT4」に標準装備されたMACDは、通常のデザインと異なり使いづらいというデメリットがある
- 6.OANDA証券のオリジナルインジケーター「OANDA MACD」なら、MT4でも通常のデザインのMACDを利用できる
ぜひMACDを使いこなして、トレードの精度を高めてください。
なお、弊社では本記事以外にも、MACDに関する解説ページや動画を公開しています。
MACDについてより詳しく知りたい方は、以下から各コンテンツをご覧ください。
MACDついてもっと学びたい方へのオススメコンテンツ

長く為替トレーディングの第一線で活躍されてきた山中康司(やまなかやすじ)氏監修のもと、MACDの基本的な知識や使い方、トレーディングアイデアなどをご紹介します。またOANDAでは、MACDに関するオリジナルインジケーターを多数提供しています。このオリジナルインジケーターは、OANDAの口座をお持ちのお客様だけがお使いいただけます。
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