フォーメーション分析とは? | FX初心者のためのテクニカル分析講座
フォーメーション分析とは?
フォーメーション分析とはヘッドアンドショルダーなどに代表される過去に幾度と登場した値動きのパターンに当てはめて分析する方法です。
パターンを覚えておくと、今後、チャートが同じような形となった際に、その後の値動きを予想する際に役立ちます。
また、ただパターンの形を覚えるだけではなく、相場参加者の心理を考えながら、なぜ、そのような動きになるかに注目すると、値動きの本質を理解できるようになり、様々な相場に応用することができるようになります。
ヘッドアンドショルダー、逆ヘッドアンドショルダー
ヘッドアンドショルダーは高値圏で登場するパターンです。
日本語では「三尊天井(さんぞんてんじょう)」と呼ばれることもあります。
高値圏で、このヘッドアンドショルダーが発生すると、上昇トレンドが終了し、トレンド転換の可能性が高まります。
ヘッドアンドショルダーは下の図のように真ん中が一番大きい3つの山を形成した後、2つの谷を結んだライン(ネックライン)を割り込むと下落が勢い付くというパターンです。
チャートの形が頭と2つの肩のように見えるため、ヘッドアンドショルダーと呼ばれています。
【ヘッドアンドショルダーのイメージ】
なぜ、このパターンの後に下落基調が強まるかを市場参加者の立場になって考えると、理解が深まると思います。
ここでは、このパターンが形成されるまでの動きを辿りながら、市場参加者の心理を考えてみましょう。
①上昇トレンド中
最初は高値圏で高値を更新する順調な動きです。
この時点では、上昇トレンド中ということで、まだ上昇する可能性があり、下がったところでは買いが入りやすい状況が続いていると言えます。
ただし、高値圏ということで、市場では買っている参加者が多い状況で、彼らは利益確定のタイミングを探っている人もいるという状況です。
【上昇トレンド中の状態】
②高値更新に失敗
ここで上昇トレンドに少し変化が生じます。
順調に続いていた上昇トレンドですが、上値が詰まり、高値更新に失敗します。
現時点では、もみ合いに転じたり、再度高値を追う動きが再開するという可能性も残っていますが、利益確定のタイミングを探していたトレーダーの中には、「利益確定をそろそろ行なった方が良いのでは?」と考える人も出てくるかもしれません。
上昇トレンドの雲行きが怪しくなってきたという状況です。
上昇のピークを狙って売りたいと考えているトレーダーはそろそろ準備をはじめ、崩れるのを待っているような状況です。
【高値更新に失敗した状態】
③ネックラインを割り込む
そして、下値を探る動きが強まり、ネックラインを割り込むような動きとなります。
このような状況になると、買いポジションを持っているトレーダーの動きが騒がしくなります。
ヘッドアンドショルダーの3つの山の上部を形成中に買いポジションを構築した人のほとんどが含み損を抱えている状態となり、苦しい状況に追い込まれています。
高値更新に失敗するような動きとなった後に、安値を切り下げるような動きとなっており、近々、再度高値を切り上げるという可能性は低下していると考えられます。
このため、含み損が発生している買いポジションの保有者は、できるだけロスの少ない状態で逃げたいと考えているほか、利益が出ている買いポジションの保有者は早く利益を確定しないと利益が縮小、または損失に変わってしまうという状況であるため、できるだけ早く売り抜けたいと考えるトレーダーが増えてきます。
また、高値圏からの反転を狙って売りで入ることを考えていたトレーダーにとっては、チャンス到来となり、新規の売りが入りやすくなります。
【ネックラインを割り込む動きとなった状態】
このようにして、ヘッド&ショルダーが完成すると上昇基調が終焉となり、下落基調に転じる可能性が高くなります。
苦しくなった買いポジション保有者の損切り、急いだ利益確定の売りが下落の原動力となり、下落基調に転じるきっかけとなっているのが確認できると思います。
実際のチャートでの出現例
次のドル円のチャートは実際にヘッド&ショルダーを形成した例です。
ネックラインを割り込んだ後に下落基調に転じる動きとなっているのが確認できると思います。
【ドル円の1時間足チャートでの出現例】
ヘッド&ショルダーの形になると下落基調が続く可能性が高いと言えますが、失敗に終わることももちろんあります。
失敗に終わった場合は、それだけ強い買い圧力が加わったということもあり、その後、次のチャートのように逆方向への動きが強まる可能性もあるため、失敗に終わった場合は、意地にならず、次の動きに備える必要があります。
【ユーロドルの日足チャートでのヘッド&ショルダーの失敗例】
安値圏で逆の形を形成すると逆ヘッド&ショルダー
逆ヘッド&ショルダーは理屈は同じで安値圏で3つの谷を形成するようなパターンを言います。
ネックラインを上抜けるような動きとなると上昇基調が強まるというパターンです。
【逆ヘッド&ショルダーのイメージ】
ダブルトップ・ダブルボトム
ダブルトップ、ダブルボトムもヘッド&ショルダーと近い考え方のパターンです。
ダブルトップ
ダブルトップは高値圏で出現するパターンです。 上昇基調が続き、高値圏で同水準がレジスタンスとなり、上値が詰まるような動きとなり、2つの山を形成するような動きとなった後に、真ん中の谷の水準を割り込むような動きとなると、下落基調が強まるというパターンです。
ヘッド&ショルダー同様に市場参加者の心理を考えるとそのような状態になる理由が見えてきます。
上昇基調中に高値を更新できなかったため、上昇基調中に溜まった買いポジション保有者の利益確定が入りやすい状況となります。
さらに、直近の安値を割り込む動きとなると、損切りをしなくてはならない市場参加者も増え、また、早く利益を確定しないと利益が減ってしまったり、損失に変わってしまう人が増え、売りが殺到し、下値を探る動きが活発化するというパターンになります。
ここでもヘッド&ショルダー同様に、苦しくなってきた買いポジション保有者の決済売りが下落の原動力となっています。
ちなみに同じ高さの山が2つの場合はダブルトップ、3つの場合はトリプルトップとなります。
【ダブルトップの例】
ダブルボトム
ダブルボトムは安値圏で出現する形でタブルトップの逆の形です。
直近の安値と同水準で安値を更新できず、反発に転じ、直近の高値を上抜けるような動きとなった後、上昇基調に転じる動きとなるパターンです。
ダブルトップの逆のパターンで売りポジションの決済の買いが上昇を後押しする原動力となります。
また、谷が3つの場合はトリプルボトムとなります。
【ダブルボトムの例】
トライアングル
トライアングルは日本語で三角保ち合いなどと呼ばれるパターンです。
値動きが収縮するような動きとなり、均衡が崩れた方に価格が勢いづくパターンです。
トレンドの途中で出現し、元のトレンドの方向へ向かって動く傾向があります。
【上昇トレンド中に発生したトライアングル】
【下降トレンド中に発生したトライアングル】
トライアングルの状態が発生しているということは、次の図のように、上昇したところでは売り、下がったところでは買いが入り、売り勢力と買い勢力が均衡している状態です。
この均衡が崩れると、破れた方のポジションの損切り、均衡が崩れるのを待っていた参加者の注文が崩れた方向に集中し、価格が勢いづくという流れです。。
【トライアングルのイメージ】
フラッグ
フラッグもトライアングル同様にトレンドの途中に出現するパターンで、一時的な反動となり、その後、元のトレンド方向への動きが続くことが多いパターンです。
調整の勢いが弱まり、再度トレンド方向への動きが強まったところで、トレンド方向への注文が増えることにより、方向感が出てきます。
【上昇トレンド中に発生したフラッグ】
【下降トレンド中に発生したフラッグ】
実際のチャートでもトレンド中に発生し、その後、トレンド方向に向かって動いて行く動きになっているのが確認できると思います。
【実際のチャートでのフラッグの発生例】
ウェッジ
ウェッジは徐々に先細りになるパターンです。上昇ウェッジは上方向に先細りになるタイプのウェッジです。
上昇トレンド中に上昇ウェッジ」出現する場合は上昇の勢いが弱まっている可能性があり、その後、下落に転じる可能性が出てきているということを示しています。
【上昇ウェッジ(上昇中に出現した場合)の例】
下落後の反発局面で出現した場合も反発の動きが徐々に弱まっており、再度下値を探る動きが強まる可能性が出てきている状況を示しています。
【上昇ウェッジ(下落後の反発中に出現した場合)の例】
下落中に「下降ウェッジ」が発生した場合は下落の勢いが徐々に弱まっていることを示しており、その後反発に転じる可能性が出てきていることを示しています。
【下降ウェッジの例(下落中に出現した場合)の例】
上昇中に出現した場合は下押し圧力が徐々に弱まっていることを示しており、その後、再度高値を追う動きが強まる可能性を示しています。
【下降ウェッジの例(上昇中に出現した場合)の例】
フォーメーション分析まとめ
フォーメーション分析は前述のパターンに該当するような動きとなった場合に過去にどのような動きとなったことが多いかで値動きを予想していく分析方法です。
ただし、単にパターンを覚えるのではなく、市場参加者がどのような状況でなぜ価格がその方向に動く傾向があるのかということを考えながら覚えて行くと、市場の値動きの本質のようなものを見ることができ、今後、異なる形の場合にも応用することができると思います。
また、パターンに合致するパターンであっても、必ずそのような動きとならず、ダマシに終わることもあるということは理解しておく必要があります。
ダマシが発生した場合はムキにならず、次の機会を探りましょう。
これらのパターンを自動で検出してくれるツール
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このオートチャーティストでは、現在パターンが完成したものから、形成中のものまでを検索することができ、効率的にパターンを形成した通貨ペアのチャートを見つけることができます。
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