FX初心者の方

ファンダメンタルズ分析とは|具体的な分析方法や注意すべきポイントなどを詳しく解説


ファンダメンタルズ分析とは、経済の基礎的条件のデータを用いて相場を分析する手法です。

経済の基礎的条件とは、国や企業などの経済状況を示す指標のことで、経済成長率や消費者物価指数、雇用統計などの経済指標や、中央銀行による金融政策、政治や地政学など、幅広い情報を基に分析を行います。

本記事では、ファンダメンタルズ分析の意味やポイント、よくある質問について詳しく解説します。

ファンダメンタルズ分析とは

ファンダメンタルズ分析の意味やテクニカル分析との違いを解説します。

  • ・意味
  • ・テクニカル分析との違い

意味

ファンダメンタルズ分析とは

FXにおけるファンダメンタルズ分析とは、経済や政治に関する様々な要素を基に相場の動向を分析する手法です。

具体的には以下のような要素を基に分析します。

  • ・金融政策
  • ・経済指標
  • ・要人発言
  • ・政治情勢

主に金融政策や経済指標が注目されますが、その時々で政治や地政学などのテーマが注目される場合もあります。

特に米国の金融政策や経済指標は、基軸通貨であるドルの相場に大きな影響を与え、それが他通貨にも波及することから、注目を集めます。

テクニカル分析との違い

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違いは、分析対象です。

ファンダメンタルズ分析は、金融政策や経済指標などが分析対象で、テクニカル分析は価格データ(チャート情報)が分析対象です。

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の違い

テクニカル分析とは、値動きのパターンやテクニカル指標(インジケーター)を用いてチャートを分析し、未来の値動きを予想します。

ファンダメンタルズの主な4つの指標

ファンダメンタルズ分析の重要な4つの要因について解説します。

  • ・【ファンダメンタルズ指標①】金融政策
  • ・【ファンダメンタルズ指標②】経済指標
  • ・【ファンダメンタルズ指標③】要人の発言
  • ・【ファンダメンタルズ指標④】地政学リスク

【ファンダメンタルズ指標①】金融政策

金融政策について以下の内容を解説します。

  • ・金融政策とは
  • ・財政政策とは
  • ・大きな政府
  • ・小さな政府

金融政策とは

金融政策とは、物価や経済の安定のために、中央銀行が金融面から行う政策です。

具体的には金利やマネタリーベースの調節などを行います。

金利に関しては、政策金利の利上げ・利下げが特に注目されます。

また、マネタリーベース(市場に供給するお金の量)を調整する量的緩和(QE)や量的引き締め(QT)などもあります。

金融政策は、大別すると引き締め政策=利上げ(タカ派)と緩和政策=利下げ(ハト派)とに分けることができます。

金融政策の変更は、為替市場に大きな影響を及ぼします。

金融政策 政策内容 マーケットへの影響
引き締め政策 ・政策金利の引き上げ
・量的引き締め(QT)
通貨高・株安になりやすい傾向がある
緩和政策 ・政策金利の引き下げ
・量的緩和(QE)
通貨安・株高になりやすい傾向がある

※マーケットは金融政策以外の影響も受けるため、必ず上記の通り動くものではありません。

財政政策とは

財政政策とは、政府が一国の経済活動を調節する政策のことを指します。

歳入と歳出を通じて実行され、代表例として増税や減税が挙げられます。

一般的に、増税は経済活動にブレーキをかけ、減税は経済活動を押し上げるとされています。

大きな政府

大きな政府とは、経済活動に積極的に介入する政府を指します。

公共事業の規模が大きく、医療保険や年金等が手厚い一方で、税率は高い傾向があるとされます。

大きな政府のメリットは、社会の福祉が手厚くなり、格差が小さくなりやすいことです。

逆にデメリットとなるのは、政府の業務が増えると社会が非効率になりやすいことと、課税が経済活動の抑制に繋がる恐れがあることなどです。

小さな政府

小さな政府とは、自由な経済(市場原理による自由競争)を重視する政府を指します。

公共事業の規模が小さく、医療保険や年金等は大きな政府ほど手厚くない一方で、税率は低い傾向があるとされます。

小さな政府のメリットは、経済活動を活発に行うことで豊かになりやすいことです。

逆にデメリットとなるのは老後や大きな病気・災害などに対して、自ら備えをする必要があることです。

大きな政府 小さな政府
税率 高い 低い
公共事業 多い 少ない
国営企業 多い 少ない(官から民へ)
医療保険・年金 手厚い 手薄
公共サービス 多い 少ない

【ファンダメンタルズ指標②】経済指標

経済指標の概要や主な例、発表予定のカレンダーをまとめます。

  • ・経済指標とは
  • ・主な経済指標の例
  • ・経済指標カレンダー

経済指標とは

経済指標とは、国や公的機関、民間が発表する経済データです。

中央銀行は、経済指標の結果を判断材料として、金融政策を決定します。

このことからマーケット参加者は、経済指標の結果を受けて金融政策の動向を予測し投資行動を起こすため、市場が大きく動くことがあります。

経済指標発表時は相場の変動が大きくなる場合があり、FX取引におけるスプレッドが広がりやすいことが知られています。

主な経済指標の例

主な経済指標の例を、カテゴリ別で一覧にすると以下の通りです。

雇用に関する指標 雇用統計、失業率、求人件数、新規失業保険申請件数など
物価に関する指標 消費者物価指数(CPI)生産者物価指数(PPI)PCEデフレーター、企業物価指数など
経済に関する指標 GDP、製造業・非製造業PMI、ISM製造業景況指数、消費者信頼感指数、景気動向指数、日銀短観など
その他 外国為替平衡操作(介入実績)など

経済指標カレンダー

2024年12月9日時点で、発表日が決まっている主要な経済指標をまとめると、以下の通りです。

日付 国・地域 指標
12/09(月) 日本 7-9月期四半期実質国内総生産(GDP)
12/10(火) 豪州 政策金利
12/11(水) 米国 11月消費者物価指数(CPI)
カナダ 政策金利
ブラジル 政策金利
12/12(木) スイス 政策金利
ユーロ 政策金利
ユーロ ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、定例記者会見
12/13(金) 日本 10-12月期日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
英国 10月月次国内総生産(GDP)
ロシア 7-9月期実質国内総生産(GDP)

より詳しい最新の情報は「経済指標 予測カレンダー」のページでご覧いただけます。

【ファンダメンタルズ指標③】要人の発言

要人発言とは、国の経済政策や金融政策を担う重要人物や、その関係者などの発言のことです。

経済政策については政府高官や高級官僚などの発言が、金融政策については中央銀行の総裁や財務大臣などの発言が注目されます。

これらの要人の発言によって、各国における景気の現状や見通しがある程度明らかになります。

この影響で為替相場が大きく変動することもあるため、要人発言はFX取引の世界で重要視されています。

要人発言は、経済指標を発表する際などに併せて行われるケースもあります。

このため、経済指標の予定を事前に把握しておくと、相場の変動に対応しやすくなります。

要人発言は、決まったスケジュールの中だけでなく、唐突に行われることもあります。

このような予想外のタイミングで要人発言が行われると、投資家が動揺して相場が大きく変動する可能性もあるため、注意が必要です。

【ファンダメンタルズ指標④】地政学リスク

市場に影響を及ぼす要因の1つに地政学リスクがあります。

ここでは地政学リスクについて解説します。

  • ・地政学リスクとは
  • ・政治的リスク
  • ・その他のリスク

地政学リスクとは

地政学リスクとは、地理的な位置関係による政治・軍事・社会面での緊張の高まりが、その地域や世界全体の経済の先行きを不透明にするリスクのことです。

具体的には戦争や紛争、特定の国同士の関係の悪化などが、特に地政学リスクを高めます。

地政学リスクは突発的に起こることがあり、金融政策や財政政策と比べて事前に予測することが難しい面があります。

そのため、地政学リスクが顕在化した場合には急落・急騰など大きな値動きに繋がる可能性があります。

政治的リスク

政治的リスクとは、政権や政策に関するリスクのことを指します。

例えば、政権交代が起きた場合、国の財政政策が一変する可能性があるため金融市場にも大きな影響を与えます。

また、政府と議会でねじれが起きた場合には、政策を決めることが難しくなり、政治的混乱を招くことがあります。

大国の政治情勢ほど為替市場に与える影響も大きいため、特に米国の議会選挙や大統領選挙は注目されます。

その他のリスク

その他のリスクとは、地理的・政治的リスク以外で市場に影響を与える要因(リスク)のことを指します。

例えば、世界的に流行した新型コロナウイルスによるパンデミックは、地理的要因や政治的要因で起こったわけではないため、その他のリスクに分類されます。

世界的金融危機として知られるリーマンショックも、私企業であるリーマン・ブラザーズの倒産から始まっており、地理的要因・政治的要因によるものではないため、その他のリスクに該当します。

地政学リスク」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ファンダメンタルズ分析のポイント

2024年下半期に注目されるであろう、ファンダメンタルズのポイントを紹介します。

  • ・今後の中央銀行による金融政策動向を確認する
  • ・選挙の動向を確認する

今後の中央銀行による金融政策動向を確認する

2021年ごろから始まった世界的物価高を抑制するため、各国の中央銀行は利上げ(引き締め政策)を実施してきました。

2023年後半には少しづつ物価高も落ち着きをみせ、2024年に入り各国の中央銀行は利下げ(緩和政策)に舵を切り始めています。

2024年中ごろから、一部の中央銀行は利下げを実施しています。

この後、2024年下半期から2025年にかけて、各国の中央銀行は利下げを実施するのではないかと予想されています。

選挙の動向を確認する

2024年は選挙イヤーで、各国の選挙に注目が集まっています。

既に欧州議会選挙やフランス議会選挙が実施されており、極右政党が躍進するなどしています。

この後、2024年下半期には日本の自民党総裁選や、米国の大統領選挙などが予定されています。

米国の大統領選挙の結果は金融市場だけではなく、世界的な政治や経済に大きな影響を与えるため、世界中が注目しています。

ファンダメンタルズ分析に活用できる取引ツール

ファンダメンタルズ分析に加えて、相場分析の幅を広げるために活用できる取引ツールを紹介します。

  • ・OANDAオーダーブック
  • ・オートチャーティスト

OANDAオーダーブック

世界中にいるOANDAの顧客が発注している未約定注文(未約定の指値注文逆指値注文)をグラフ化したものです。

この情報を見ると相場のサポートラインレジスタンスラインの水準を推測することができます。

グラフは、横軸(左右)で売り注文と買い注文に分けられます。

縦軸(上下)に価格を取り、中心(現在価格)の上下で現在の価格よりも高い価格か安い価格かを示しています。

オーダーブック

操作方法については「OANDAオーダーブックの使い方」の記事をご覧ください。

オートチャーティスト

オートチャーティストは、チャートパターンの発生を自動で検出できるツールです。

うまく活用することで、チャートの分析時間を大幅に短縮できます。

オートチャーティスト

オートチャーティストは、68通貨ペアのチャートで、18種類のパターン等の発生を、自動で判別できます。

チャートパターンの発生を感知するだけでなく、キーレベル・フィボナッチなどの水準も自動で算出できます。

また、ターゲット価格や予想レンジの表示も可能です。

検出できる18種類のパターン等は、以下の通りです。

  1. ・Ascending Triangle(アセンディング・トライアングル)
  2. ・Channel Down(チャネル・ダウン)
  3. ・Channel Up(チャネル・アップ)
  4. ・Descending Triangle(ディセンディング・トライアングル)
  5. ・Double Bottom(ダブル・ボトム)
  6. ・Double Top(ダブル・トップ)
  7. ・Falling Wedge(フォーリング・ウェッジ)
  8. ・Flag(フラッグ)
  9. ・Head and Shoulders(ヘッド&ショルダー)
  10. ・Inverse Head and Shoulders(逆ヘッド&ショルダー)
  11. ・Pennant(ペナント)
  12. ・Rectangle(レクタングル)
  13. ・Rising Wedge(ライジング・ウェッジ)
  14. ・Triangle(トライアングル)
  15. ・キーレベル
  16. ・フィボナッチパターン
  17. ・連続ローソク足
  18. ・大きな動き

また「高的中率トレード機会」のタブを選択することで、過去の検証における的中率の高いパターンのみに絞り込んで、データを表示することもできます。

「最小確率」を設定することで、その確率以上のパターンのみに絞り込むことも可能です。

オートチャーティストをより詳しく以下の記事でまとめています。

ファンダメンタルズ分析に関するQ&A

ファンダメンタルズ分析に関するよくある質問について解説します。

  • ・ファンダメンタルズ分析は意味がないのですか?
  • ・ファンダメンタルズ分析はどのように勉強すればよいですか?

ファンダメンタルズ分析は意味がないのですか?

ファンダメンタルズ分析は、一般的には、短期的な相場動向よりも中長期的な相場動向を把握するのに適しているとされます。

このことから、短期的にはファンダメンタルズ分析が期待通りに機能しない可能性があります。

短期的な相場動向の把握に適している「テクニカル分析」と組み合わせることで、相場を総合的に分析することができ、より優位性の高い取引を行える可能性があります。

ファンダメンタルズ分析はどのように勉強すればよいですか?

OANDA証券では、初心者の方がファンダメンタルズ分析を行う上で役立つ「マーケットレポート」の提供を行っています。

経済指標の結果や中央銀行関係者のコメントなどの情報を、リアルタイムで配信しています。

●OANDA証券では投資判断に役立つ最新ニュースやマーケット情報などを、適切なタイミングで毎日配信する「マーケットニュース」の提供を開始

マーケットニュース

毎朝配信される「マーケットニュース」では、外国為替や世界の株価指数、商品市場に関するマーケット分析を行っています。

豊富な経験を持つエキスパートが多数在籍する「DZH Financial Research」社によるコンテンツも追加され、無料で公開しています。

以下より「マーケットニュース」をご覧いただけるので、ブックマークをしてご活用ください。

>マーケットニュースはこちら

また、OANDA証券では、X(旧Twitter)を活用し経済指標の結果速報や要人発言などをリアルタイムで提供しております。

>OANDA証券のX(旧Twitter)はこちら

【まとめ】ファンダメンタルズ分析とは|具体的な分析方法や注意すべきポイントなどを詳しく解説

FXにおけるファンダメンタルズ分析とは、経済の基礎的条件、金融政策、政治、地政学など、様々な要素を基に相場の動向を分析する手法です。

特に米国の経済指標や金融政策は、基軸通貨であるドルの相場に大きな影響を与え、それが他通貨にも波及することから、注目を集めます。

ファンダメンタルズ分析は、中長期の相場動向を把握するのに適している分析方法であり、短期的な分析には不向きな場合もあります。

短期的な相場動向の把握に適している「テクニカル分析」と組み合わせることで相場を総合的に分析することが可能となり、より優位性の高い取引を行えるようになります。

OANDA証券では、今回紹介してきた「OANDAオーダーブック・オートチャーティスト・マーケットニュース」の他にも、独自開発のインジケーターなど、様々なツールやコンテンツを提供しています。

OANDA証券での取引に興味をお持ちいただけた方は、以下のボタンから口座開設をご検討ください。

口座開設ボタン


本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。

この記事をシェアする

ホーム » FX/CFD初心者の方 » ファンダメンタルズ分析とは|具体的な分析方法や注意すべきポイントなどを詳しく解説