最終更新日:2022年5月25日 11時05分
【初心者向け】FXのレバレッジとは?計算方法とリスクの抑え方を解説
「レバレッジ(leverage)」は直訳すると「てこの作用」で、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
その意味から、FXにおける「レバレッジ」とは、元手となる資金以上の金額で取引できる仕組みを指します。
レバレッジを使う一番のメリットは、少ない資金で大きな取引ができ、資金効率よく運用できることです。
一方で、大きな損失を被るリスクもあります。
そこで本記事では、レバレッジの仕組みをわかりやすく解説します。
FXをこれから始めたいと考えている方や、FXを始めて間もない方は、ぜひ参考にしてみてください。
また、レバレッジとあわせて知っておきたい「ロスカット」の仕組みや、リスクを抑えて取引するポイントも記事の後半で紹介します。
1.FXのレバレッジとは?
FXの「レバレッジ」とは、FX会社に預けた資金(証拠金)を担保とし、預けた資金以上の金額で取引できる仕組みのことです。
たとえば、外貨預金では、10万円を資金とする場合は10万円分しか投資できません。
しかしFXでレバレッジを活用すると、10万円の資金があれば、以下のように10万円以上の取引ができます。
- ▼10万円の資金(証拠金)で取引できる金額の例
- レバレッジ3倍の場合:10万円×3倍=30万円
- レバレッジ10倍の場合:10万円×10倍=100万円
- レバレッジ25倍の場合:10万円×25倍=250万円
※「証拠金」とは、FX取引をするために、トレーダーがFX会社に預ける資金(口座にある資産)を指します。
※証拠金の最大25倍の金額まで取引できます。
このように、レバレッジを使って取引することを、一般的に「(3倍の)レバレッジをかける」「(3倍の)レバレッジを効かせる」と表現します。
なお、ここで1点押さえておきたいのは、レバレッジ倍率は、トレーダーが自ら設定するわけではないということです。
トレードする「取引数量」と「証拠金」の金額を変えることで、調整します。
レバレッジ倍率の算出方法や調整方法については、のちほど「2.レバレッジ倍率の計算方法」で解説します。
FXの最大レバレッジ倍率は「25倍」
個人口座の場合、最大のレバレッジ倍率は「25倍」と金融庁によって定められています。
高いレバレッジで取引するメリットは、預けた証拠金(口座資金)の何倍もの金額で取引でき、少ない資金でも大きな利益を得られることです。
一方で、高すぎるレバレッジでの取引は、大きな損失が出るリスクも高まります。
FX会社に預けている証拠金では補えない損失が出た場合、トレーダーはその分を追加で支払わなければならず、場合によっては投資した金額以上の損失が発生する可能性があります。
リスクを抑えるためにも、FX取引に慣れないうちは低いレバレッジ倍率で取引する方が安心です。
詳しくは本記事の「5.レバレッジのリスクを抑えて取引するための4つのポイント」で紹介します。
それでは、続いてどのようにレバレッジ倍率が算出されるのかについて解説します。
2.レバレッジ倍率の計算方法
レバレッジ倍率は、「取引数量」、「為替レート」、「証拠金(口座資金)」の3つから算出されます。
(「取引数量」は、取引する通貨量のことです)
具体的には、以下の計算式で求められます。
このうち、「為替レート」は操作できないため、実際の取引では「取引数量」と「証拠金」でレバレッジ倍率をコントロールします。
たとえば、1ドル100円の相場で取引する場合に、取引数量や証拠金を変えると、それぞれ以下のようにレバレッジ倍率も変わります。
【例1】取引数量が異なる場合(証拠金が100,000円の場合)
取引数量が5,000ドルの場合はレバレッジ倍率は「5倍」となり、10,000ドルに増やすと「10倍」に変わります。
【例2】証拠金が異なる場合(取引数量が5,000ドルの場合)
証拠金が100,000円の場合はレバレッジ倍率は「5倍」となり、200,000円の証拠金で取引する場合は「2.5倍」となります。
このように、「取引数量」と「証拠金」を変えることで、レバレッジ倍率を調整できます。
ただし、一度調整したら、その後も同じレバレッジ倍率で取引ができるわけではありません。
実際の取引では、注文後に為替レートの変動によって倍率が変動します。
そのため、注文後もレバレッジ倍率が高くなり過ぎていないか、適宜確認が必要です。
OANDA証券では、必要項目を入力すると自動でレバレッジ倍率を計算できるシミュレーションツールを提供しています。
ぜひFX取引にお役立てください。
全取引におけるレバレッジ倍率を表す「実効レバレッジ倍率」
FX取引では、同時に複数の取引をおこなうことが多いです。
複数の取引で確認しておきたいのは、「全取引金額におけるレバレッジ倍率がどうなっているか」です。
この「全取引金額におけるレバレッジ倍率」を「実効レバレッジ倍率」といいます。
複数の取引をおこなう場合は、1回だけの取引と比べて、「実効レバレッジ倍率」が高くなります。
たとえば、口座資金(証拠金)10万円を使って取引する場合を考えましょう。
1ドル100円で5,000通貨(50万円分)のドルを買った場合、全取引金額は「50万円」のため、実効レバレッジ倍率は「5倍」です。
しかし、「50万円分のドルを買う」という取引を同時に2回おこなうと、口座全体では「100万円」の取引がおこなわれます。
トータルの取引金額「100万円」に対して証拠金は10万円のため、実行レバレッジ倍率は「10倍」となります。
つまり、1回の取引のレバレッジ倍率が低くても、複数の取引をおこなうと、トータルで見たレバレッジ倍率(実効レバレッジ倍率)は高くなるのです。
多くのFX会社では、取引ツールに「実効レバレッジ倍率」を表示していますが、一部のFX会社では「1回の取引でのレバレッジ倍率」を表示しています。
いつの間にかハイレバレッジになっていることを避けるためにも、1回の取引におけるレバレッジ倍率ではなく、実効レバレッジ倍率を確認しましょう。
ここまで、レバレッジの仕組みや計算方法など、基礎知識を解説してきました。
続いて、このレバレッジ取引のメリットを紹介します。
3.レバレッジを使う2つのメリット
レバレッジをかけてFX取引をおこなう場合、主に2つのメリットがあります。
- 1.少額の元手で取引できる
- 2.資金効率を高められる
【メリット1】
少額の資金で取引できる
記事前半で、レバレッジをかけると証拠金の最大25倍の金額で取引できるとお伝えしました。
これは言い換えると、取引額の「25分の1」の資金(証拠金)があれば取引可能ということです。
たとえば、100万円分の取引をする場合、最低限必要な資金は25分の1の40,000円で可能です。
●レバレッジ25倍の場合に必要な最低資金
売買する量 | 最低限必要な資金(必要証拠金) |
---|---|
100万円分のドル | 40,000円 |
50万円分のドル | 20,000円 |
10万円分のドル | 4,000円 |
この1回の取引で最低限必要な資金を「必要証拠金」といいます。
口座資金が必要証拠金を下回ると、全取引が強制決済(ロスカット)されたり、不足文の証拠金(追加証拠金)の支払いを求められたりします。
これらのリスクについては、後ほど詳しく解説します。
【メリット2】
資金効率を高められる
レバレッジを使った取引の最大のメリットは、取引に成功すれば少ない元手で大きな利益を出せるため、資金効率がよいことです。
たとえば、資金(証拠金)1万円で、1ドル100円のレートでドルを買い、1ドル110円のレートでドルを売るとしましょう。
10万円のドルを売買する場合(レバレッジ倍率10倍)と、20万円のドルを売買する場合(レバレッジ倍率20倍)では、後者のほうが得られる利益は大きくなります。
レバレッジ倍率が高く、取引金額が大きい分、同じ資金から得られる利益も大きくなっています。
一方、少ない元手で大きな利益を得られるということは、損失が出た場合は、損失額も大きくなりやすいことを意味します。
続いて、レバレッジを使った取引のデメリットについて解説します。
4.レバレッジを使う3つのデメリット
レバレッジを使った取引の主なデメリットは、次の3つです。
- 1.損失が大きくなる
- 2.ロスカットが発動し、意図せぬタイミングで決済される
- 3.追加証拠金が発生する
【デメリット1】
損失が大きくなる
少ない元手で大きな取引ができる分、取引のタイミングを見誤った場合は大きな損失が出ます。
とくに高いレバレッジでの取引ほど、取引できる金額が大きいため、少しの為替レートの変動でも、損失が大きくなりやすいです。
なお、大きな損失が出た結果、口座資金の残高が必要証拠金を下回ると、全取引が強制的に決済(ロスカット)されたり、「追加証拠金」の支払いを求められるというリスクもあります。
まずは、「ロスカット」のリスクについて説明します。
【デメリット2】
ロスカットが発動し、意図せぬタイミングで決済される
「ロスカット」とは、取引による損失が発生し、証拠金が一定水準以下となったタイミングで、全取引を強制決済する仕組みです。
トレーダーがFX会社に預けた資金以上の損失を出さないために取り入れられています。
一方、予告なく全取引が強制決済されるため、意図しないタイミングで損失や利益が確定するというリスクがあります。
ロスカットはトレーダーの損失を抑えるための仕組みではあるものの、急激なレート変動が発生した場合、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性もあります。
ロスカットについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
FX取引を始める前に、どんなタイミングでロスカットが発生するのか、仕組みを把握しておきましょう。
参考記事:ロスカットとは?計算方法や回避する対策、メリット・デメリットを紹介
【デメリット3】
追加証拠金が発生する
口座資金の残高が必要証拠金を下回った場合、FX会社によってはロスカットではなく「追加証拠金」の支払いを求める場合もあります。
たとえば、取引金額が100万円の場合、最低4万円の必要証拠金が必要です。
もし4万円の口座資金で取引し、為替レートの変動により1万円の損失が出たとします。
この場合、口座資金の残高は「4万円ー1万円=3万円」となり、必要証拠金の額を1万円下回ります。
取引を続けるためには、トレーダーは必要証拠金の不足分1万円を口座に追加する必要があります。
このとき追加するお金を「追加証拠金」といいます。
トレーダーは追加証拠金を口座に入金すれば取引を続けられますが、FX会社が求める期日内に支払わなければ、全取引が強制的に決済されてしまいます。
上記の例では数万円の追加証拠金の支払いにとどまっていますが、急激な為替レートの変動などにより、数十万~数百万円の追加証拠金の支払いが発生する場合もあるのです。
FX取引には上記のようなリスクがありますが、4つのポイントを押さえて運用すれば、このようなリスクが起こる可能性を下げられます。
続いて、そのポイントについて解説します。
5.レバレッジのリスクを抑えて取引するための4つのポイント
大前提として、FX取引は、余剰資金、つまり生活に影響の出ないお金でおこないましょう。
そのうえで、FX取引のリスクを抑えるための、4つのポイントを紹介します。
- 1.低いレバレッジ倍率で取引をする
- 2.証拠金に余裕を持つ
- 3.取引数量を多くしすぎない
- 4.「損切り(ストップロス)」を適切なタイミングでおこなう
【ポイント1】
低いレバレッジ倍率で取引をする
取引に慣れていない間は、まずは低いレバレッジ倍率で取引しましょう。
最初から高いレバレッジで取引を始めると、「大きな利益が得られる」と考え、取引金額や売買のタイミングなどについて冷静に判断できなくなることがあります。
利益や損失を確定すべきタイミングで売買ができないと、損失も大きくなりやすいです。
前述の通り、レバレッジ倍率は「取引通貨量」、「為替レート」、「証拠金(口座資金)」の3つで決まります。
このうち「為替レート」はコントールできないため、「取引数量」「証拠金(口座資金)」の2つでレバレッジ倍率を調整しましょう。
続いて、【ポイント2】で証拠金を、【ポイント3】で取引数量を調整するときのポイントを解説します。
【ポイント2】
証拠金(口座資金)に余裕を持つ
【メリット1】で少しふれたように、必要証拠金に対してギリギリの口座資金(証拠金)で取引をすると、少しの損失が出ただけで追加証拠金の支払いが発生します。
たとえば、「4万円」の口座資金(証拠金)で100万円の取引をするとしましょう。
この場合、必要証拠金は取引金額の25分の1の金額の「4万円」必要です。
つまり、「口座資金=必要証拠金」となるため、1円でも損が出ると、口座資金が必要証拠金を下回ります。
そうすると、ロスカットが発生したり、追加証拠金の支払いを求められたりします。
上記は極端な例ですが、このように少しの損失でロスカットや追加証拠金の支払いが生じるのを防ぐために、口座資金(証拠金)は必要証拠金よりも多めに入れて余裕をもたせましょう。
【ポイント3】
取引数量を多くしすぎない
2章で解説したように、1つの口座で同時に複数の取引をおこなうと、取引数量が大きくなり、口座全体でのレバレッジ倍率(実効レバレッジ倍率)が高まります。
「もっと大きな利益を得たい」という気持ちから取引数量を増やすと、知らぬ間に高いレバレッジで取引をおこなっているということも起こりえます。
その結果、デメリットで説明したようなロスカットや追加証拠金といったリスクを背負いやすくなるのです。
とくに取引に慣れていないうちは、実効レバレッジ倍率を確認しながら、取引数量が多すぎないかを常にチェックするとよいでしょう。
【ポイント4】
「損切り(ストップロス)」を適切なタイミングでおこなう
「損切り」とは、一定の損失が出たときに通貨を売買して損失を確定させることです。
相場格言の一つに、「見切り千両、損切り千両」という言葉があります。
この言葉は、すでに損失が出ている取引は、損失が小さいうちに見切りをつけて手仕舞うほうが、総じて利益につながるという意味です。
買い注文後に値下がりし、「相場が戻るはずだ」と粘って損切りしなかった結果、どんどん損失が膨らむことは珍しくありません。
そして、レバレッジをかけた取引の場合、その損失が増えるスピードも早くなります。
より大きな損失を出さないためには、自分が許容できる損失額に応じて「ルールを決め、そのルールに従うのが重要です。
「1回の取引で何%の損失額が出たら損切りをする」といった具体的なルールを決めた方が、損切りを迷いにくくなります。
しかし、実際には損切りを迷うことも多々あります。
もし自分で損切りできる自信がない場合は、「逆指値注文(ストップ注文)」を使って、自分で決めたルールをもとに損切りの価格を設定し、自動で損切りするのがおすすめです。
逆指値注文(ストップ注文)については、詳しくは以下の記事を参照してください。
参考記事:逆指値注文とは?言葉の意味や指値注文との違い、使い方などを紹介
1通貨から取引できるOANDA証券の「ベーシックコース」
FX会社によっては、1回で1,000通貨以上(1ドル100円の場合10万円以上の取引額)の取引が必要と決めているところがあります。
しかし、デメリットでお伝えしたように、取引金額が大きくハイレバレッジの取引になると、その分損失を被るリスクも高まります。
また、取引に慣れておらず、いきなり数十万円の取引をするのが怖いという方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、小額から取引できるFX会社を選ぶのがオススメです。
OANDA証券の「ベーシックコース」では、1通貨から取引が可能です。
そのため、初めてFX取引をする方でも、少額から始めて徐々に慣れることができます。
「ベーシックコース」は、OANDA証券の口座をお持ちであれば利用可能です。
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