FX取引のレバレッジとは|仕組み・計算方法を解説
レバレッジとは、FX会社に預けた資金(証拠金)を担保とし、預けた資金以上の金額で取引できる仕組みのことです。
レバレッジには少ない資金で大きな金額を取引できるメリットもありますが、逆に大きな損失を被るリスクもあります。
本記事では、バレッジのリスクを回避する方法、レバレッジの仕組みや計算方法、リスクを抑えるためのポイントを詳しく解説していきます。
FX取引のレバレッジとは
ここではまず、FX取引におけるレバレッジの意味や仕組み、最大レバレッジについて説明します。
意味・仕組み
FX取引のレバレッジとは、FX会社に預けた資金(証拠金)を担保とし、預けた資金以上の金額で取引できる仕組みのことです。
レバレッジ(leverage)は直訳すると「てこの作用」で、小さな力で大きなものを動かすことを意味します。
この意味から「小さな金額で大きな金額の取引をできる」仕組みのことをレバレッジと呼びます。
たとえば、外貨預金では、10万円を資金とする場合は10万円分の投資しか行えません。
しかし、FX取引でレバレッジを活用すると、10万円の資金があれば以下のような金額の取引を行えます。
▼10万円の資金(証拠金)で取引できる金額の例
倍率 | 取引できる金額 |
レバレッジ3倍 | 10万円×3倍=30万円 |
レバレッジ10倍 | 10万円×10倍=100万円 |
レバレッジ25倍 | 10万円×25倍=250万円 |
このようにレバレッジを使って取引することを、一般的に「レバレッジをかける」「レバレッジを効かせる」と表現します。
なお、レバレッジ倍率はトレーダーが自ら設定するものではありません。
トレードする「取引数量」と「証拠金」の金額、その時点での「為替レート」によって、リアルタイムで変動します。
このため、レバレッジを特定の倍率に抑えたい場合は、自身で調整できる「取引数量」と「証拠金」の数値を変えることで調整します。
この算出方法・調整方法については、後ほど「FX取引のレバレッジ倍率計算方法」の段落で解説します。
最大レバレッジ
個人口座の場合、最大のレバレッジ倍率は「25倍」と金融庁によって定められています。
(25倍に定められている理由については、こちらのQ&Aで詳しく説明しています)
このような高倍率の取引によって、預けている証拠金では補えない損失が発生した場合、その不足分(追証)の支払いを求められることもあります。
状況によっては投資した自己資金以上の損失が発生するリスクもあるため、FX取引に慣れないうちは低いレバレッジで取引する方が安心といえます。
FX取引のレバレッジ倍率計算方法
レバレッジ倍率は、以下の3つの要素から算出されます。
- ・取引数量(取引する通貨量)
- ・為替レート
- ・証拠金(口座資金)
これら3つの要素による以下の計算式で、レバレッジ倍率を算出できます。
このうち「為替レート」は操作できないため、実際の取引では「取引数量」と「証拠金」でレバレッジ倍率をコントロールします。
たとえば、同じ1ドル100円の為替レートであっても、以下で説明するように取引数量や証拠金を変えることで、レバレッジ倍率を調整できます。
取引数量によるレバレッジの変化
仮に1ドル100円で、証拠金が10万円に固定されている場合、取引数量を5,000ドルにするとレバレッジは5倍、10,000ドルにするとレバレッジは10倍となります。
証拠金量によるレバレッジの変化
仮に1ドル100円で、取引数量が5,000ドルに固定されている場合、証拠金を10万円にするとレバレッジは5倍、20万円にするとレバレッジは2.5倍となります。
以上のような方法でレバレッジ倍率を調整できますが、一度調整したらその後も同じ倍率で取引をできるわけではありません。
実際の取引では、為替レートの変動によってリアルタイムで倍率が変動しています。
一度ポジションを建てた後も、レバレッジ倍率が高くなり過ぎていないか、適宜確認する必要があります。
OANDA証券では、必要項目を入力すると自動でレバレッジ倍率を計算できるシミュレーションツールを提供しています。
実効レバレッジ倍率について
実効レバレッジ倍率とは「実際の現在のレバレッジ」のことです。
まず、複数のポジションを立てている場合は、すべてのポジションの取引額を合計します。
個別のレバレッジは「5倍・3倍」ですが、実際には10万円の証拠金で80万円を動かしているため、実効レバレッジは8倍となります。
そして、実効レバレッジは「その時点での有効証拠金の残高」によっても変動します。
有効証拠金の残高は、相場の動きに合わせてリアルタイムで増減します。
複数のポジションを持っている場合は、それぞれの損益が全て合算され、有効証拠金(自分が動かせる証拠金)の残高が変動する仕組みです。
相場の急変時には実効レバレッジも大きく変動するため、常にこの数値を意識しておく必要があります。
FX取引でレバレッジを効かせるメリット
レバレッジをかけてFX取引を行う場合、主に2つのメリットがあります。
- ・少額の資金で取引できる
- ・資金効率を高められる
少額の資金で取引できる
最大レバレッジの25倍で取引する場合、取引額の「25分の1」の資金(証拠金)があれば取引できます。
たとえば、100万円分の取引をするためには、最低限25分の1の4万円があれば可能です。
1回の取引で最低限必要となる資金を「必要証拠金」と言います。
レバレッジ25倍時に、取引額毎の必要証拠金を一覧にすると以下の通りです。
取引額 | レバレッジ25倍時の必要証拠金 |
100万円分 | 40,000円 |
50万円分 | 20,000円 |
10万円分 | 4,000円 |
手持ちの証拠金(有効証拠金)が、この必要証拠金を下回ると、以下のようなリスクがあります。
- ・取引が強制決済(ロスカット)される
- ・不足分の証拠金(追加証拠金)の支払いを求められる
追加証拠金については、この支払いさえできれば取引を続行できます。
資金効率を高められる
レバレッジを使った取引の最大のメリットは、取引に成功すれば少ない元手で大きな利益を得られるため、資金効率が良いことです。
以下の表をご覧ください。
上記図の通り、どちらも証拠金は同じ10万円で、為替レートの変動と売買のタイミングも同じです。(1ドル100円で買い注文を出し、101円で売り注文を出しています)
レバレッジ倍率のみ「3倍・20倍」と7倍の差がありますが、20倍の方が利益も約7倍になっています。
このように、同じ証拠金と為替レートでも、レバレッジ倍率が高い方が大きなポジションを建てることができるため、利益も大きくなるのです。
ただし、高いレバレッジで大きなポジションを建てれば、損失も大きくなるため注意が必要です。
FX取引でレバレッジを効かせるデメリット
レバレッジを使った取引の主なデメリットは、次の3つです。
- ・損失が大きくなる
- ・ロスカットが発動し、意図せぬタイミングで決済される
- ・追加証拠金が発生する
損失が大きくなる
同じ証拠金・為替レートでも、実効レバレッジが大きいほど損失が大きくなります。
以下の図は、先ほどの「利益が大きくなる」という説明の表を、損失が出る為替レートに置き換えたものです。
1ドル100円で買い注文を出した後、99円で売り注文を出した場合のシミュレーションです。
見ての通り、レバレッジ20倍での損失は2万円と、レバレッジ3倍での損失の約7倍となっています。
このようにレバレッジの倍率に応じて、利益だけでなく損失も大きくなります。
この損失で有効証拠金が不足した場合、強制決済(ロスカット)や、追加証拠金(追証)支払いのリスクもあります。
ロスカットが発動し、意図しないタイミングで決済される
「ロスカット」とは、取引による損失が発生し、証拠金が一定水準以下となったタイミングで、全取引を強制決済する仕組みです。
この仕組みにより、トレーダーがFX会社に預けた資金以上の損失を出すことを、高い確率で回避できるようになっています。
しかし、相場の反転を待って利益を出す計画をしていても、強制決済されるなど、予期せぬタイミングで決済されることもデメリットです。
追加証拠金が発生する
口座資金の残高が必要証拠金を下回った場合、FX会社によってはロスカットと追証の支払いが同時に発生することがあります。
たとえば、取引金額が100万円の場合、最低4万円の必要証拠金が必要です。
もし4万円ギリギリで取引をしていた場合、わずかでも含み損が出た時点で、口座資金は4万円を下回ってしまいます。
この場合は、下回った分の金額を「追加証拠金」として要求されることがあるわけです。
それぞれのFX会社が定めた期限までに追加証拠金を入金すれば、その取引を継続できます。
レバレッジを効かせた際のデメリットを抑えるポイント
FX取引でレバレッジを効かせた際のデメリットを抑えるポイントは、以下の通りです。
- ・実効レバレッジを抑える
- ・証拠金(口座資金)に余裕を持つ
- ・取引数量を増やしすぎない
- ・損切り(ストップロス)を行う
実効レバレッジを抑える
FX取引に慣れるまでの間は、レバレッジ倍率は低めに抑えましょう。
まずは低倍率でFX取引自体に慣れ、取引数量や証拠金によって、レバレッジをコントロールする方法にも慣れるようにします。
相場に慣れ、レバレッジのコントロールも自然にできるようになった段階で、徐々にレバレッジ倍率を上げていきましょう。
証拠金(口座資金)に余裕を持つ
必要証拠金に対してギリギリの口座資金(証拠金)で取引を行うと、相場がわずかに不利に動いただけで、証拠金が不足してしまいます。
これにより、ロスカットを受ける、追加証拠金の支払いが必要になるなどのリスクがあります。
そのようなリスクを避けるためにも、証拠金には常に余裕を持たせましょう。
取引数量を増やしすぎない
証拠金を十分に用意していても、取引量を増やせばレバレッジ倍率は高くなります。
また、個々のポジションの取引量が少なくとも、多数のポジションを建てれば、トータルの取引量が増え、実効レバレッジ倍率が高くなります。
このため、個々の取引量はもちろん、全体の取引量も絶えずチェックしながら、取引量を増やしすぎないようにしましょう。
損切り(ストップロス)を行う
レバレッジには損失が大きくなるリスクがあるため、その損失が一定の段階に達したら、損切りを行う必要があります。
損切りを自分の判断で行うのが難しい場合は、逆指値注文(ストップ注文)の設定をすれば、設定した相場に達した時点で自動的に損切りが実行されます。
1通貨から取引できるOANDA証券の「ベーシックコース」
FX会社によっては、1回で1,000通貨以上(1ドル100円の場合10万円以上の取引額)の取引が必要と決めているところがあります。
しかし、デメリットでお伝えしたように、取引金額が大きくハイレバレッジの取引になると、その分損失を被るリスクも高まります。
また、取引に慣れておらず、いきなり数十万円の取引をするのが怖いという方もいらっしゃるでしょう。
そのような方は、小額から取引できるFX会社を選ぶのがオススメです。
FX初心者にオススメのコンテンツ
OANDA証券の「ベーシックコース」では、1通貨から取引が可能です。
そのため、初めてFX取引をする方でも、少額から始めて徐々に慣れることができます。
「ベーシックコース」は、OANDA証券の口座をお持ちであれば利用可能です。
口座をお持ちでない方は、以下のボタンより口座を開設してください。
FX取引のレバレッジに関するQ&A
レバレッジに関する疑問として、次のような内容が多く見られました。
- ・レバレッジが低くても追加証拠金が発生することはありますか?
- ・なぜ25倍が最大レバレッジなんですか?
レバレッジが低くても追加証拠金が発生することはありますか?
レバレッジが低くても、追加証拠金が発生することはあり得ます。
現時点の有効証拠金では不足するほどの含み損が出れば、追加証拠金は常に発生します。
そして、低レバレッジでも相場が大きく変動し、含み損が大きくなれば、そのように有効証拠金が不足することはあり得ます。
高レバレッジのケースと比較するとリスクは低くなりますが、リスク自体は存在します。
なぜ25倍が最大レバレッジなんですか?
国内のFX取引で最大レバレッジが25倍となった理由は、金融庁による規制にあります。
金融庁は2010円8月に証拠金規制を導入し、2011年8月以降のレバレッジを最大25倍と規定しました。
金融庁がこの規制を導入した目的は「顧客保護・業者のリスク管理・過当投機の抑制」の3点にあります。
顧客と業者の双方のリスクを抑えつつ、過剰な投機を抑えることで市場の健全化を図っています。
■参考資料
・事務局説明資料(店頭FX業者の決済リスクへの対応について)|金融庁(PDF)
・「金融商品取引業等に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について|金融庁
【まとめ】FX取引のレバレッジとは|仕組み・計算方法を解説
レバレッジを適用できることは、FX取引の大きなメリットですが、同時に一定のリスクも抱えています。
リスクを抑え、レバレッジの利点のみを活かすために、FX取引に慣れないうちはレバレッジを用いないか、最大3倍程度の低い倍率に抑えましょう。
取引に慣れ相場の感覚を掴めるようになった段階で、徐々に倍率を上げていくことが、賢いレバレッジの用い方の一つといえます。
リスクを抑えた安定的な取引で、レバレッジをうまく使いこなすようにしましょう。
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