トレンドラインとは|意味・引き方・活用方法や注意点を解説
トレンドラインとは、トレンドの傾向(方向性)を表す線のことで、テクニカル分析で使われる指標の1つです。
高値同士、安値同士を繋ぐだけでトレンドを分析できることから、多くのトレーダーが使用しています。
ただし、トレンドラインの意味や引き方を覚えても、実際の分析になるとダマシなどのリスクがあります。
本記事では、トレンドラインの意味・引き方・注意点について詳しく解説していきます。
トレンドラインとは
トレンドラインとは「トレンドの傾向を示す線」のことです。
- ・サポートライン(下値支持線)
- ・レジスタンスライン(上値抵抗線)
- ・チャネルライン
トレンドラインには、サポートライン(下値支持線)とレジスタンスライン(上値抵抗線)の2種類があります。
また、サポートラインやレジスタンスラインに平行して描くチャネルラインもあります。
サポートライン(下値支持線)
サポートラインは「下値を支える線」のことです。
一般的には、上昇トレンドの中で安値と安値を結んで描写します。
上昇トレンドで描写するため、右肩上がりの線になります。
(下落トレンドで下値を支える線は、後述する「下落チャネルライン」に分類されます)
価格が下落してサポートラインに近づくと、反転して上昇する可能性が高いと考えられます。
逆に、価格が下落してサポートラインを抜けると、下落トレンドに転換することが多い傾向があります。
レジスタンスライン(上値抵抗線)
レジスタンスラインは「上値の抵抗となる線」のことです。
一般的には、下落トレンドの中で高値と高値を結んで描写します。
下落トレンドで描写するため、右肩下がりの線になります。
(上昇トレンドで上値を支える線は、後述する「上昇チャネルライン」に分類されます)
価格が上昇してレジスタンスラインに近づくと、反転して下落する可能性が高いと考えられます。
逆に、価格が上昇してレジスタンスラインを抜けると、上昇トレンドに転換することが多い傾向があります。
チャネルライン
チャネルラインとは、サポートライン・レジスタンスラインと平行に描くラインのことです。
サポートラインと平行に描かれるのが「上昇チャネルライン」、レジスタンスラインと平行に描かれるのが「下落チャネルライン」です。
価格が線に近づいた時に予想される値動きは、サポートライン・レジスタンスラインと共通します。
上昇チャネルラインの付近では下落しやすく、下落チャネルラインの付近では上昇しやすくなります。
トレンドラインの引き方
ここでは、トレンドラインの引き方を解説します。
- ・上昇トレンドの場合はサポートライン
- ・下降トレンドの場合はレジスタンスライン
- ・チャネルラインの引き方
上昇トレンドの場合はサポートライン
サポートラインは、2点の安値と安値を結びます。
ローソク足のチャートでは、実体の終値ベースで引く、またはヒゲの先で引くのが一般的です。
下の画像は、実際のチャート画面で引いたトレンドラインです。
出典:TradingView
MT4・MT5・TradingViewなど、FXの取引ツールは基本的に直線を描く機能を持っているため、トレンドラインを簡単に引くことができます。
TradingViewの場合、画面左側のメニューの「トレンドライン」を選んで線を引きます。
線を引くと上画像の通り、その「価格帯」と「タイムゾーン」も表示されます。
下降トレンドの場合はレジスタンスライン
レジスタンスラインは、2点の高値と高値を結びます。
こちらもローソク足の場合、実体またはヒゲの先を結びます。
実際のチャートで引いた画像は以下の通りです。
出典:TradingView
チャネルラインの引き方
チャネルラインは、サポートライン・レジスタンスラインのいずれかを引き、それを反対側にコピーする形で平行線を引きます。チャネルラインの間には、ローソク足の推移が収まります。
出典:TradingView
上画像のTradingViewでは、基本の描画メニューに「平行チャネル」があります。
もちろん、他の取引ツールでも、チャネルラインを引く機能が用意されていることがあります。
出典:TradingView
横ばいトレンド(レンジ相場)の場合
横ばいトレンド(レンジ相場)の場合「高値と高値、安値と安値」を結びます。
以下の図の通り、チャネルラインとほぼ同じ形になります。
出典:TradingView
TradingViewで描写する場合、チャネルラインと同じく「平行チャネル」の機能で描写します。
チャネルラインで斜めに引く1本目の線を真横に引くだけで、その線に平行な2本目の線が、自動的に描写されます。
トレンドラインの活用方法
トレンドラインの活用方法は、以下の通りです。
- ・相場分析の判断材料になる
- ・エントリーポイントの目安になる
相場分析の判断材料になる
トレンドラインを用いることで、以下のように相場の動きを判断できます。
値動き | 予想できる動き |
---|---|
①:下落してサポートラインに近づいた | 反転して上昇する可能性が高い |
②:上昇してレジスタンスラインに近づいた | 反転して下落する可能性が高い |
③:下落してサポートラインを突き抜けた | 下落トレンドに転じる可能性が高い |
④:上昇してレジスタンスラインを突き抜けた | 上昇トレンドに転じる可能性が高い |
⑤:サポートラインで反発して上昇したが、前回の高値を更新しなかった | 上昇トレンドが終了する可能性がある |
⑥:レジスタンスラインで反発して下落したが、前回の安値を更新しなかった | 下落トレンドが終了する可能性がある |
①〜④は、上述したパターンです。
⑤と⑥を図で示すと以下の通りです。
⑤のサポートラインは、今まで連続して高値を更新していましたが、直近高値が前回高値を更新できていません。
この状態では「上昇の勢いが弱まった」と考えられるため、上昇トレンドが終了する可能性を示唆します。
同様に、⑥のレジスタンスラインは、今まで連続して安値を更新していましたが、直近安値が前回安値を更新できていません。
この状態では「下落の勢いが弱まった」と考えられるため、下落トレンドが終了する可能性が高まります。
エントリーポイントの目安になる
トレンドラインは、エントリーポイントの目安としても広く活用されます。
上昇トレンドの場合、相場が下落してサポートラインにタッチし「跳ね返されたタイミング」が重要です。
跳ね返された場合、そこからしばらくは上昇すると考えられるため、買いでのエントリーポイントの目安になります。
下落トレンドの場合は、相場が上昇してレジスタンスラインにタッチし、同じように跳ね返されたタイミングが、売りでのエントリーポイントの目安になります。
レンジ相場の場合も要領は同じで、レジスタンスラインに跳ね返されて下がったら売り、サポートラインに跳ね返されて上がったら買いというのが、一般的なエントリーの考え方です。
トレンドラインを引く際の注意点
トレンドラインを引く際には、以下のポイントに注意しましょう。
- ・引く人によってラインが異なる
- ・ダマシに気をつける
- ・引き直しのタイミングに気をつける
引く人によってラインが異なる
トレンドラインは、一定の計算式がある他のテクニカル指標とは異なり、引く人によってラインが異なります。
異なる点は「起点や通過点に、どの高値や安値を選ぶのか」「実体で引くのかヒゲの先端で引くのか」などの点です。
一般的に、より多くの人に意識されるラインの方が、機能しやすいと言われています。
多くの人と共有されるであろう、時間軸や波動にトレンドラインを引くことで、チャート分析の質が向上します。
ダマシに気をつける
トレンドラインは、押し目や戻りの目安になるとはいえ、ラインの真上で反応するのではなく、その手前や行きすぎた価格で反応することがあります。
出典:TradingView
下画像のようにレジスタンスラインを一時的に上回るダマシから、元の下落トレンドに戻ることは往々にしてあります。
引き直しのタイミングに気をつける
トレンドラインは、一度引いたものをそのまま使い続けるのではなく、相場の動きに合わせて引き直すことで、より良い分析ができるようになります。
例えば、下のチャート画像では①と②を結んでサポートラインを引きましたが、時間経過により③でサポートラインを下回りました。
出典:TradingView
このような場面では①と③を結び、サポートラインを引き直します。
こうして適宜トレンドラインを引き直すことで、現時点のトレンドに柔軟に対応できます。
【まとめ】トレンドラインとは|意味・引き方・活用方法や注意点を解説
トレンドラインは、初心者でも活用しやすいテクニカル分析の1つです。
安値同士、高値同士を結んだ一本のトレンドラインから、トレンドの方向性、売買のタイミング、トレンド転換の示唆などを読み取ることができます。
トレンドラインやチャネルラインは、多くの取引ツールで簡単に描画できます。
より多くの人と共有される時間軸や波動にトレンドラインを引き、ダマシに注意すれば、チャート分析の手助けになるでしょう。