FOMCとは?2023年の開催日程や今後の予想について解説
FOMC(連邦公開市場委員会)は、米国の金融政策(経済成長や物価の安定などの目的を達成するために行う政策)を決定する会合のことです。
日本では日本銀行が行う「日銀金融政策決定会合」、欧州ではECBが行う「ECB理事会」が、FOMCに該当します。
各国の中央銀行(金融組織の中核をなす銀行)は、自国通貨の価値の安定化や経済成長を下支えすることを責務としており、物価の上昇率を一定に保つ目的で政策金利(FFレート)の調整を行うなどの金融政策を行います。
たとえばその国のインフレが目標値を上回る状態が続くと、物価の上昇を抑える目的で金融引き締め(利上げ)を行い、逆にインフレが目標値を下回る状態が続くと、物価の上昇を促す目的で金融緩和(利下げ)を行います。
米国は、経済力や軍事力が世界一の国です。
米国の通貨である米ドル(USD)は、基軸通貨(全通貨の中心的な役割を占める通貨)としての役割もあります。
その米国の金融政策を決めるFOMCは、世界中の投資家たちから大きな注目を集め、FX取引を行うなら必ず注目をしておきたい経済指標の一つです。
本記事では初心者の方に向けて、FOMCとはどのようなものか、2023年のFOMC開催日程、今後の予想などを詳しく解説します。
目次
- 1.FOMCとは?
- 2.【2023年最新】FOMCやECB理事会など重要イベントの日程
- 3.FOMCが為替相場(FX)に与える影響
- 4.FOMCで注目すべき5つの材料
- 5.FOMCの今後の予想
- 6.FRBが政策金利を決めるうえで参考としている4つの経済指標
- 7.FOMCの情報収集のコツ
1.FOMCとは?
FOMCとは「Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)」の略で、米国の金融政策を決定する会合のことです。
米国の中央銀行制度にあたるFRS(Federal Reserve System:連邦準備制度、FEDとも呼ぶ)の最高意思決定機関であるFRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)によって、約6週間ごとに年8回開催(必要に応じて随時開催)されます。
また年8回開催される会合のうち、四半期(3月・6月・9月・12月)で、FRBメンバーによる経済予測の概要が発表されます。
この経済予測では、3年後までの政策金利や実質GDPなど主要な経済指標が含まれています。
(FOMCで抑えるべき情報については【4.FOMCで注目すべき5つの材料】で解説)
世界一の経済大国や軍事力を誇る米国の金融政策であり、結果次第ではマーケットに大きな影響を与える経済指標です。
(FOMCが為替相場に与える影響は「3.FOMCが為替相場に与える影響」で解説)
FOMCの参加メンバー
FOMCに参加するメンバーは、7名のFRB理事と12名の地区連銀総裁です。
7名のFRB理事のうち1名はFRB議長、2名はFRB副議長に任命されます。
7名全員が投票権を持ちます。
(任期は、理事14年、議長・副議長はいずれも4年)
12名の地区連銀総裁からは、1名はNY地区連銀総裁、残り4名は地区連銀総裁(1年ごとに交代の輪番制)の計5名が投票権を持ちます。
残り7名の地区連銀総裁は会合に参加しますが、投票権は持ちません。
(投票権を持っている持っていないの違いは「【材料5】FOMCメンバーのコメント」で解説)
このように米国の金融政策は、7名のFRB理事と5名の地区連銀総裁による投票で決定されます。
なお、金融引き締め(利上げ)を支持するメンバーを「タカ派」、金融緩和(利下げ)を支持するメンバーを「ハト派」と呼びます。
また米国の中央銀行は本来「FRS(FED)」を指しますが「FRB」を中央銀行としているケースもあり、日本やヨーロッパの中央銀行とは仕組みが少し異なります。
以下は、米国中央銀行のイメージです。
FRBは「FRS(FED)」の最高意思決定機関であり、全米12地区の地区連銀総裁を統括しています。
そしてこのFRBの理事と全米12地区の地区連銀総裁が集まる会合がFOMCです。
米国の中央銀行の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>米国の中央銀行(FED、FRB)の仕組み
2.【2023年最新】FOMCやECB理事会など重要イベントの日程
2023年度のFOMC開催日程は、以下の通りです。
FOMC(米国) | 2023年の開催日程 |
---|---|
![]() |
1月31日~2月1日 |
3月21日~3月22日 | |
5月2日~5月3日 | |
6月13日~6月14日 | |
7月25日~7月26日 | |
9月19日~9月20日 | |
10月31日~11月1日 | |
12月12日~12月13日 |
FRBの公式Webサイトからも、FOMCの日程を確認できます。
>FRBの公式Webサイトはこちら
米国のFOMCと同様に、世界各国では金融政策が発表されます。
世界各国の金融政策は、米国経済にも影響を与える可能性があるので、チェックしておきましょう。
ここでは、主要国である日本・欧州・イギリス・オーストラリアの金融政策開催日程を解説します。
日銀金融政策決定会合 (日本) |
ECB理事会 (欧州) |
BOE金融政策会合 (イギリス) |
RBA金融政策委員会 (オーストラリア) |
---|---|---|---|
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![]() |
![]() |
![]() |
1月17日~1月18日 | 2月2日 | 2月2日 | 2月7日 |
3月9日~3月10日 | 3月16日 | 3月23日 | 3月7日 |
4月27日~4月28日 | 5月4日 | 5月11日 | 4月4日 |
6月15日~6月16日 | 6月15日 | 6月22日 | 5月2日 |
7月27日~7月28日 | 7月27日 | 8月3日 | 6月6日 |
9月21日~9月22日 | 9月14日 | 9月21日 | 7月4日 |
10月30日~10月31日 | 10月26日 | 11月2日 | 8月1日 |
12月18日~12月19日 | 12月14日 | 12月14日 | 9月5日 |
– | – | – | 10月3日 |
11月7日 | |||
12月5日 | |||
>日本銀行の公式Webサイトはこちら | >ECBの公式Webサイトはこちら | >BOEの公式Webサイトはこちら | >RBAの公式Webサイトはこちら |
またFOMCに限らずですが、経済指標では市場予想も公表されます。
決定された内容が市場予想と大きく乖離した場合、為替相場だけではなく、株式市場や原油市場など世界のマーケットに大きな影響を与えます。
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以下で、FOMCの結果で為替相場がどのように変動するのか、詳しく見ていきましょう。
3.FOMCが為替相場に与える影響
FOMCでは様々な金融政策の決定を行いますが、その中でも特に政策金利は為替相場に大きな影響を与えます。
まずは、なぜ政策金利の変動が為替相場に大きな影響を与えるのかについて、以下で詳しく見ていきましょう。
金利と為替相場の関係性
一般的に経済が安定している状態の時は、金利の高い国の通貨が金利の低い国の通貨よりも買われやすい傾向があります。
なぜならば、金利の高い国のほうが、より大きなリターンを狙えるからです。
では米国の金利が3%、日本の金利が0%とし、銀行に預け入れて1年間運用したと想定してみましょう。
米国 | 日本 | |
---|---|---|
金利 | 3% | 0% |
100万円を1年間運用すると | 103万円 (+3万円の利益) |
100万円のまま |
(※上記表はあくまで一例であり、話を単純化するので、為替レートや税金などは考慮していません。)
米国の銀行で100万円を1年間運用すると103万円に増えますが、日本では100万円のままです。
どちらの銀行で運用したいかを聞かれれば、おそらく大半の方が米国の銀行と答えるでしょう。
つまり「日本よりも米国で投資を行いたい」と言う人が増え、米国に資金が集まります。
このまま日本の金利が上がらず、米国の金利が上昇を続ければ、さらに米国で投資を行いたい人が増えます。
また外国為替市場でも、金利の低い日本円を売り、金利が高い米ドルを買うという行為も増えます。
その結果、米ドルが上昇し日本円が下落するという値動きが発生します。
たとえば2022年の米ドル/日本円(USD/JPY)相場は、金利が高い国の通貨が買われやすく、金利の低い通貨が売られやすいという傾向が顕著に現れました。
以下は、米国と日本の政策金利推移です。
2022年4月頃から、米国の金利が上昇しているのに対して、日本の金利はそのままです。
では、米ドル/日本円(USD/JPY)の為替レートを見てみましょう。
上記チャートは、過去20年分(2003年~2023年)の米ドル/日本円(USD/JPY)月足チャートです。
2022年に入ると、大きく上昇していることが分かります。
115円台で推移していた米ドル/日本円(USD/JPY)ですが、一時150円(約35円の上昇)付近まで上昇を見せました。
このように、政策金利は為替相場に大きな影響を与えることが分かります。
なお、2023年の政策金利の予想については「5.FOMCの今後の予想」で詳しく解説しています。
続いて、為替相場に大きな影響を与えるFOMCの情報を、効率よく収集する方法について見ていきましょう。
4.FOMCで注目すべき5つの材料
FOMCでは様々な情報が発信されるので、効率よく情報収集を行う必要があります。
FX取引を行っているのであれば、次の5つの材料を中心にチェックしておくと良いでしょう。
- 1.声明文
- 2.FRB議長の記者会見
- 3.FOMCメンバーによる経済見通し
- 4.議事要旨
- 5.FOMCメンバーのコメント
【材料1】
声明文(Statement)
FOMCの会合後、声明文(Statement)が公表されます。
声明文は、主に経済や物価に対する評価の概要、金融政策の変更の有無等の基本的な決定事項などを確認できます。
この声明文では、次回の会合で金融政策の変更を示唆する内容となることもあるので、多くの投資家たちから注目を集めます。
前回の声明文から表現の変更があるだけでも、市場が敏感に反応することもあります。
声明文に関しては、英語の原文を見るのが一番です。
しかし英語が苦手という方は、タイムリーな情報ではありませんが、ロイターなどのニュースサイトで日本語翻訳したものをチェックすると良いでしょう。
英語ですが、声明文については「FRB議長、ECB総裁、日銀総裁の記者会見動画」からご確認できます。
【材料2】
FRB議長の記者会見
上記で解説した声明文公表の30分後に、FRB議長による記者会見が行われます。
会合での決定事項に関して等の説明、経済や物価に関しての評価などが行われた後、記者からの質疑応答が行われます。
内容によっては会見中のコメントの時でも、FX市場が大きく反応することもあるので、会見中の値動きにも注意が必要です。
2019年以前は2回に1回しか行われませんでしたが、2019年以降はFOMCのたびに毎回記者会見が行われるよう変更されました。
金融政策の変更はこの記者会見がある回に行われる傾向がありましたが、2019年以降はFOMCのたびに金融政策が実施されることを考えておく必要があります。
なおOANDA証券では、FRB議長の記者会見をLive配信しております。
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ECB(ユーロ圏)と日銀総裁(日本)のLive配信を見ることも可能ですが、この2つはOANDA証券の本番口座を開設する必要があります。
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OANDA証券の口座開設方法は、以下の記事を参考にしてください。
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【材料3】
FOMCメンバーによる経済予測の概要(Summary of Economic Projections)
FOMCでは四半期(3月・6月・9月・12月)に一度、FOMCに参加したメンバーによる経済予測の概要(Summary of Economic Projections)が公表されます。
この経済見通しでは、主に3年後までの政策金利や実質GDP、失業率、PCEインフレ率、コアPCEインフレ率の予測値が含まれます。
どの予測値も金融市場では多くの注目を集めますが、その中でも特に注目を集めるのが政策金利の見通しです。
この見通しは、ドットを使ったグラフで表示されるので、市場関係者の間では「ドット・プロット(ドット・チャートとも呼ぶ)」の名称で親しまれます。
ドット・プロットでは、各メンバーによる年末の政策金利を予想したものが公表されます。
以下は、FRBが公表している2023年3月に公表されたドット・プロットです。
出典:FRB
2023年3月時点での年末の政策金利予想は、5%~5.25%で推移するというのが大方の見通しです。
この予想は、前回発表されたものから大幅に変更していると、市場が敏感に反応する可能性もあるので、必ず把握しておきましょう。
またドット・プロットはFRBの公式Webサイトから確認できますが、OANDA証券も無料で提供を行っています。
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また政策金利だけではなく、実質GDP、失業率、PCEインフレ率、コアPCEインフレ率の予測値も把握することが可能です。
タブで項目の切り替えができるので、確認したい項目をすぐに把握できます。
投資判断の材料として、前回の会合からどの程度変化しているのかをチェックしておきましょう。
OANDA証券が提供する「ドットチャート」は、以下よりご確認下さい。
>FOMC参加者の政策金利、GDP、失業率、PCEインフレ率見通し(2023年3月会合)
【材料4】
議事要旨
FOMC開催後、3週間程度でFOMCの議事要旨が公表されます。
この議事要旨では、主に声明文や記者会見で公表されていない議論の内容が明らかとなるので、相場が敏感に反応する可能性があります。
基本的には、市場は声明文や記者会見で主な情報を取得しているので、真新しい材料とならないことが多いです。
しかし市場が米国の金融政策を意識するきっかけになることもあるので、公表後は多少不安定な値動きとなる可能性もあります。
【材料5】
FOMCメンバーのコメント
FOMCの公表時の事ではありませんが、FOMCのメンバーであるFRB議長や副議長、理事、各地区連銀総裁などは、様々な講演や記者会見、シンポジウムなどでコメントをする機会が多くあります。
FOMCメンバーのコメントは普段から注目を集めますが、特に市場が米国の金融政策に注目を集めている場合は、より敏感に反応する可能性があります。
FOMC投票権を持っている地区連銀総裁のコメントの方がマーケットへのインパクトは大きい?
同じ地区連銀総裁のコメントでも、FOMCの投票権を持っている地区連銀総裁のコメントのほうが、市場への影響が大きくなる傾向があります。
1年ごとに各地区連銀総裁の投票権は変更されるので(NY地区連銀総裁は常に投票権を持ちます)、誰が持っているのかはチェックしておくと良いでしょう。
2023年度の投票権は、以下の地区連銀総裁が持っています。
役職 | メンバー |
---|---|
シカゴ地区連銀総裁 | オースタン・D・グールズビー |
フィラデルフィア地区連銀総裁 | パトリック・T・ハーカー |
ミネアポリス地区連銀総裁 | 二―ル・カシュカリ |
ダラス地区連銀総裁 | ローリー・K・ローガン |
2024年~2026年までの投票権も、以下のFRBの公式サイトから確認できます。
>将来のFOMCの投票権について見る
5.FOMCの今後の予想
2023年の為替相場は、2022年に引き続き、米国のインフレ動向や政策金利に注視する必要があります。
FRBが公表する政策金利を予測するうえで、まず米国のインフレ動向を図る2つの経済指標「CPI(消費者物価指数)・PCEデフレータ」に多くの投資家たちは注目をしています。
以下は、米国のCPI推移です。
最新のCPI推移は「CPI(消費者物価指数)の推移」で確認できます。
2022年6月の「+9.1%」を最後に、それ以降は減少傾向にあり、CPIを見る限りインフレは収まってきているとの見方もできます。
2023年4月に公表された3月CPIでは「+5.0%(前回+6.0%・予想+5.2%)」と、市場予想を下回る結果となり、米国の利上げ停止時期が早まったとの見方が広まりました。
しかしエネルギーと食品を除くコアCPIでは「+5.6%(前回+5.5%・予想+5.6%)」と、市場予想通りの結果となり、まだまだ先行きは不透明な状態ではあります。
続いて、PCEデフレータの推移を見てみましょう。
PCEデフレータの詳しい詳細は「PCEデフレータ」で確認できます。
2022年6月の「+7.0%」を最後に、それ以降は減少傾向にあり、PCEデフレータを見てもインフレは収まってきているとの見方もできます。
2023年2月の数字では「+5.0%」と、順調な低下を見せています。
CPIとPCEデフレータを見る限り、米国のインフレは収まりつつあるのではないかとみられます。
また米国ではインフレ以外にも、シリコンバレー銀行の破綻など、別のリスクも浮上しており、継続的な利上げが行われる地合いでは無くなったとも考えられます。
このまま順調にCPIとPCEデフレータの数値が下がっていくのであれば、2023年内に利上げが停止され、利下げとなる可能性も十分に考えられます。
ただし一時は銀行破綻を懸念して利上げ停止も検討されましたが、最終的にはインフレ対応を優先することが分かりました。
FRBはインフレに対しては優先的に対処するとの姿勢を示しており、今後発表されるCPIやPCEデフレータの数値によっては、まだまだ予断を許さない状態です。
引き続き、CPIやPCEデフレータの動向は注視しておきたいところです。
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6.FRBが政策金利を決めるうえで参考としている3つの経済指標
FRBや各国の中央銀行は、自国通貨の価値の安定化や経済成長を下支えすることを責務としており、物価の上昇率を一定に保つ目的で金融政策を行います。
そしてFRBや各国の中央銀行が政策金利を決定する上で、参考としている経済指標は、主に以下3つあります。
- 1.米国雇用統計
- 2.CPI(消費者物価指数)
- 3.PCEデフレータ
それぞれどういった経済指標なのか、政策金利にどのような影響を及ぼすのかなどについて、詳しく見ていきましょう。
米国雇用統計
米国雇用統計は、米国の労働市場を調査した統計で、米国の景気動向を把握するのに重要視されている経済指標です。
具体的には、非農業部門雇用者数や失業率、平均時給、労働参加率の数値が公表されます。
FRBは金融政策の方針を決める一つの手段として、この雇用統計の数値を重要視しています。
景気が良い場合、FRBは金融引き締め(利上げ)を行い、景気の過熱を抑えます。
その結果、米ドルの金利が高くなり、米ドルを買いたいという人が増え、米ドルが上昇するという流れが一般的です。
逆に景気が悪い場合、FRBは金融緩和(利下げ)を行い、景気の過熱を促します。
その結果、米ドルの金利が低くなり、米ドルを売りたいという人が増え、米ドルが下落しやすくなります。
このように金融政策を決める際に重要視される米国の景気動向を抑えるという点で、米国雇用統計の数値は把握しておくと良いでしょう。
米国雇用統計についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を御覧下さい。
>米国雇用統計の見方
CPI(消費者物価指数)
CPI(消費者物価指数)は、その国の物価動向を把握する経済指標です。
世界各国で公表され、どの国がインフレ(インフレーション)なのか、デフレ(デフレーション)なのかを把握できます。
FRBは物価の上昇率を安定化するという責務があるので、CPIも雇用統計同様に注目をしています。
たとえばその国のインフレが目標値を上回る状態が続くと、物価の上昇を抑える目的で金融引き締め(利上げ)を行い、逆にインフレが目標値を下回る状態が続くと、物価の上昇を促す目的で金融緩和(利下げ)を行います。
このように金融政策を決める上で、物価動向も判断材料となるので、CPIも必ず把握しておきたい経済指標です。
CPIについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を御覧下さい。
>CPI(消費者物価指数)とは?計算方法やアメリカCPIとの違いを解説
PCEデフレータ
PCEデフレータは、米国の個人消費者が実際に使ったお金をもとに算出され、個人消費の物価動向を把握する経済指標です。
上記で解説したCPIと同様に、インフレやデフレを把握できます。
PCEデフレータとCPIの違いは、以下の通りです。
比較項目 | PCEデフレータ | CPI(消費者物価指数) |
---|---|---|
発表元 | 米商務省経済分析局(BEA) | 米労働省労働統計局(BLS) |
調査方法 | 企業調査による小売データを元にしており、全米が対象 | 家計調査による消費者購買データを元にしており、都市部のみが対象 |
算出方法 | 新商品などによって価格変化が起きた場合、消費行動の変化を織り込むよう調整される | 基準年で決められた品目で算出されるので、新商品などによって価格変化が起きても、代替商品が反映されない |
構成要素 | 医療費などの企業や政府などが支払いを行うことによって消費者が受けるサービスは、実際に家計が支出した分+保険会社が支出した分も含まれる | 医療費などの企業や政府などが支払いを行うことによって消費者が受けるサービスは、実際に家計が支出した分しか含まれない |
CPIよりもPCEデフレータのほうが、時代によって変化する消費者の嗜好や行動の変化などに対応しています。
FRBは金融政策を決める上で、CPIよりも注目することもあり、PCEデフレータも必ず把握しておきたい経済指標です。
CPIとPCEデフレータの違いについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を御覧下さい。
>CPI(消費者物価指数)・PPI(生産者物価指数)・PCEデフレータそれぞれの違いを解説
またOANDA証券では、これらの経済指標以外にも、為替相場に影響を与える重要な経済指標を一覧で表示し、簡単に把握できるコンテンツを提供しています。
●OANDA証券の「国別経済指標」なら様々な経済指標が一目で把握できる
「CPI」「政策金利」「PCEデフレータ」など、米ドルに大きな影響を与える経済指標が一目で把握できます。
米国だけではなく、ユーロ圏や日本など他の国の経済指標も把握できます。
また国別に比較することも可能です。
経済指標をすべて把握するのは時間がかかり、手間がかかる作業です。
経済指標が発表されると随時更新されるので、ぜひ以下のページをブックマークして最新のデータを素早く取得して下さい。
>OADNA証券の国別経済指標はこちら
7.FOMCの情報収集のコツ
FOMCで公表される声明文や記者会見などの情報は、すべて英語で発信されます。
そのため英語で情報収集をするのが良いですが、英語が苦手という方も少なくないでしょう。
そのような方は、多少時間は遅れるものの、ロイターやブルームバーグ等のニュースサイトであれば日本語でチェックすることが可能です。
短期取引の方には向いていない情報収集方法ですが、中長期取引の方なら問題ありません。
むしろ発表直後の不安定な相場に飛び込むよりも、情報がある程度落ち着いた後にじっくりとタイミングを探ってからのほうが良いでしょう。
またFOMCの情報収集をする一つの手段として、次回FOMCの政策金利の織り込み度を確認する方法もあります。
FOMCの今後の動向を把握する上で、最も参考となる情報の一つに「金利先物市場」のデータがあります。
金利先物市場は金利を専門的に扱う市場であり、FRBの動向を熟知していると言っても過言ではありません。
この金利先物市場が提供する政策金利を予想するツール「FED Watch Tool」の使い方については、以下の記事をご参考下さい。
>FRBの政策金利の市場織込み度はどこでチェックする?
OANDA証券では「FED Watch Tool」のヒストリカルデータを利用して、次回会合の政策金利の織り込みの変化をグラフで表示し提供しています。
●OANDA証券ではFF金利先物市場の政策金利の織り込み度を確認できるツールを提供している
金利予想の変化を確認することで、市場がどの程度FOMCのデータを織り込んでいるのかを把握できます。
またOANDA証券の口座開設者のみですが、金利予想比率の変化タブでは、ログインすると、ドル円の値動きと比較できるほか、会員ステータスがGoldの方は、その他の銘柄の値動きと比較することも可能です。
FOMCの織り込み度の変化が、各銘柄にどのような影響を与えているのかを確認してみると良いでしょう。
OANDA証券が提供するグラフは、以下の記事からご確認下さい。
>FF金利先物市場における次回FOMCの政策金利の織り込み度の推移
8.志摩力男(しまりきお)氏監修、FOMCに関する記事一覧
記事執筆者:志摩力男(しまりきお) |
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慶應義塾大学経済学部卒。 ゴールドマン・サックス、ドイツ証券などの大手金融機関でプロップトレーダー(自己勘定トレーダー)を歴任。 その後、香港でマクロヘッジファンドマネージャーを務める。 独立後も世界各地のヘッジファンドや有力トレーダーと交流し、現在も現役トレーダーとして活躍中。 |
以下のコンテンツは、現役トレーダーとして活動する志摩力男(しまりきお)氏監修の、FOMCに関する記事一覧です。
FOMCについてさらに踏み込んだ内容となっているので、より理解を深めたい方はぜひ以下のコンテンツをご参考下さい。
1.FOMCが為替相場に与える影響|声明文やドット・プロットの見方を詳しく解説
2022年は急激なインフレ上昇で、米国は政策金利をハイペースで引き上げました。
その結果、米ドル/日本円は一時150円付近までの上昇を見せました。
2023年でもFOMC後の値動きは、特に大きくなっています。
この記事では、FOMC後に公表される声明文やドット・プロットの見方について詳しく解説します。
2.FOMCでは何が決まる?2つの決定事項について詳しく解説
FOMCでは、主に政策金利の決定・資産購入の決定が行われます。
また「ブラックアウト期間(FOMCが開催される1週間前からFOMCが終わるまで)」では、原則メンバーの発言は禁止されます。
しかし緊急を要する場合は、別の方法で情報を取得する方法もあります。
この記事では、FOMCでの決定事項やブラックアウト期間の情報収集方法について詳しく解説します。
FOMCでは、FRB理事やNY連銀総裁、その他地区連銀総裁といった、計12名(2023年5月時点では11名)の投票により決定されます。
メンバーは定期的に入れ替わり、タカ派的な考え方を持つメンバーが多くなれば、FOMCの方向性もタカ派方向となりやすく、ハト派的メンバーが多くなれば、FOMCの方向性もハト派に傾くと想定されます。
今は誰がメンバーに入っているかを把握しておくことも、FOMCの動向を予測するうえで大切です。
この記事では、FOMCメンバー12名の特徴について、1人1人詳しく解説します。
4.FOMCの発表直前にチェックすべきことは?必ず確認すべきことを詳しく解説
FOMCは、年に8回開催され、米国の金利を決める重要な経済指標です。
結果次第では相場に大きな影響を与えるので、多くのトレーダーが注目をしています。
この記事では、FOMCでトレーディング収益につなげられるよう、FOMCの発表直前には何をチェックすれば良いのか詳しく解説します。
まとめ
最後に、この記事で解説したFOMCについてまとめます。
- 1.FOMCは、米国の金融政策を決定する会合のこと
- 2.通常は約6週間ごとに年8回開催され、必要であれば随時開催される
- 3.FOMCでは「声明文・FRB議長の記者会見・議事要旨・FOMCメンバーの経済見通しやコメント」に注目
- 4.2023年4月時点では、2023年内に利上げ停止が行われるとの予想が濃厚
FXを行う上で、FOMC以外にも注目すべき経済指標は多数あります。
OANDA証券では、様々な経済指標に関する基礎コンテンツを豊富に提供しているので、以下から読み進めて下さい。
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