債券の基礎

金利とは何か?存在する理由や歴史などを初心者向けに解説

国債を知る上で必要となる知識のひとつに「金利」があります。ここではあらためて金利とは何か、その歴史を含めてみていきたいと思います。


なぜ金利が存在するのか


そもそもなぜ世の中に金利が存在するのでしょうか。私たちはお金を貸したり預けたりする際には金利を貰うことは当然のように考えており、また、お金を借りる際には金利を支払わなければなりません。しかし、私たちの生活の中でも、身近な人と小額のお金や物を貸し借りする際は、金利分を求めたり貰ったりしないこともあります。この金利の考え方を知るためには、まずお金そのものの役割を確認し、その上で金利がなぜ必要なのかを考えてみる必要があります。

 

お金には交換ができること、その価値を保存できること、さらに物の価値を測れるなどの役割があります。物を交換するためには、その交換比率を決める必要があります。米と魚といったように2種類の物の交換取引であれば、価格はひとつで済むのですが、経済活動が発展し交易の範囲が広がれば広がるほど交換する物が多くなっていきます。このため取引を簡単にさせるための価値の基準として登場したのがお金です。

たいへん便利なお金ですが、物との交換取引だけでなく、経済の発展に伴って、お金そのものを貸し借りする必要性が出てきました。このお金を貸し借りする際に、お金の価値を図るものとして使われたのが金利です。歴史を見ても、聖書などでは利子を否定する教えが存在します。また、イスラム教では、利子を取ることそのものが禁じられています。このため利子ではなく、商品取引などから生じる利益や投資を行った結果の配当といった形態が採られています。


金利の歴史


金利の起源は、紀元前3000年のメソポタミアにあったと言われます。この時代にすでに寺院や土地所有者による利子付きの貸し出しが行われていたことが知られています。ギリシア期にはアリストテレスが、商品を媒介せずに利子をとる貨幣の貸し付けを批判していたという事実があります。

日本の歴史では、古代からあった出挙(すいこ)が利子の起源といわれています。貯蔵した初穂の稲を春に種籾として貸し出して、秋の収穫時に神へのお礼として五把の稲を利息の名目でお返しするというのが「出挙」で、日本における利子の起源であり、金融の起源とされています。

中国では古くからこのような利子付き貸借の慣習が存在したとされていますが、日本でも同様の慣習が行われていたようです。実際に文献などでは、日本書紀に「貸稲」の語が登場し、これが出挙の前身ではないかとの見方もあるようですが、実際には757年に施行された養老律令において「出挙」の語が現れ、これが制度化された日本の利息の起源だと見なされています。

 

出挙という制度のそもそもの目的は、農民の生活を維持していくためのひとつの手段でした。出挙には国司が官稲を用いて行う公出挙と、個人が行う私出挙とがありました。律令制のもと、繁雑な事務を行わなくとも、強制的な公出挙を行うことで、多額の収入を確保することができたことなどから、国家の重要な財源となっていったのです。利息に当たる雑税のことは「利稲」と呼ばれていましたが、その利息は一般に公出挙で50%という高い利息だったのです。

平安時代末期には、「借上(かしあげ)」と呼ばれる銭を貸して高利の利息を取る専門の金融業者が現れました。借上は主に僧侶が営んでいたようです。鎌倉時代になると「土倉(どそう)」と呼ばれる質屋が借上に代わって金融業者の主流を占めるようになりました。

鎌倉時代の末期から南北朝時代にかけては、中国大陸から銭貨が大量に入り、それが社会に広く流通しはじめたことから、稲の出挙ではなく、金銭の出挙が行われるようになりました。室町時代に入ると、土倉は不特定多数の人々から利子付きでお金を集め、これを原資として貸付を行う「合銭(あいぜに)」や、現在の為替に相当する「替銭(かえせん)」にも従事するようになり、土倉は預金、貸付および為替業務を営むまさに現在の銀行のような役割を持っていたのです。


経済社会における金利


経済社会においては、どうしても金利の存在が必要不可欠となっています。経済の成長には設備投資などのために巨額な資金が必要となります。それを銀行から借りるにしても、銀行はその資金をどこからか手当てしなければいけません。そのためには我々からの貯蓄が必要となり、貯蓄の存在は利子がなければ成り立たないのです。金利がつかなければ、私たちは銀行にお金を預けるという意欲はなくなってしまうためです。

 

私たちからお金を預かった銀行は、さらに高い金利をつけて企業などに貸付けます。これが間接金融と呼ばれるものです。お金を借りた企業は、それによって投資活動などを行い利潤を追求していくのです。間接金融に対して、銀行などを通さずに企業などが債券の発行を通じて資金調達を行うなど、直接お金の貸し借りをする仕組みを直接金融と呼んでいます。直接金融の場合には投資家が貸し倒れリスクなどを負うことになるため、通常は同じ期間で較べた際、預貯金金利よりも債券の金利の方が高くなります。

経済活動がより大きくなることで投資活動は活発化します。そして、それに見合った貯蓄が必要となります。その貯蓄を誘導するのが金利であり、お金の貸し手と借り手の間でのバランスをとる役割となっているのが金利なのです。


利子と利息


銀行預金では主に「預金金利」、ゆうちょ銀行では「適用金利」という用語が使われていますが、これは預けたお金に毎年払われる金利の割合を示したものです。実際に払われる金額については「利子」もしくは「利息」と呼んでいます。つまり300万円預けて、金利が1%であれば、毎年受け取る利子は3万円(税別)です。

利子と利息については、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることもありますが法律上、厳密な区分とかはないようです。しかし調べてみると、たとえば財務省のサイトには国債については「お払いする利子」と表現されており、ゆうちょ銀行なども貯金に対しては利子と表現しています。

これに対して、銀行の住宅ローンには「保証料利息組込み型」という用語があります。国債や貯金は国やゆうちょ銀行が借り入れるものであり、そこで支払われるのが利子、住宅ローンについては銀行が資金を貸すものであり、そこで受け取るのが利息というわけです。


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本記事の監修者・久保田博幸(くぼた・ひろゆき)


慶応義塾大学法学部卒業後、国内の証券会社に入社。1986年から14年間以上にわたり、債券現物・先物のディーリングを担当する。債券市場のホームページの草分け

「債券ディーリングルーム」を開設。また、幸田真音著『日本国債』(講談社)の登場人物のモデルとなる。専門は日本の債券市場の分析。特に日本国債の動向や日銀の金融政策に詳しい。現在、金融アナリストとしてヤフーニュース(個人)に記事を配信している。また「牛さん熊さんの本日の債券」というメルマガを配信中。日本アナリスト協会検定会員。主な著書に『日本国債先物入門』(パンローリング)、『債券の基本とカラクリがよーくわかる本』(秀和システム)、『中央銀行と金融政策がよくわかる本』(秀和システム) など多数。

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