用語解説

pips(ピップス)とは|FXの最小単位の基礎知識・計算方法・表示方法を解説


pipsはFX取引の為替レートを表す最小単位です。

FX取引の様々な場面で用いる知識、用語であるため、必ず理解しておく必要があります。

pipsは、「値動きの大きさ」や「スプレッドの大きさ」などを表す際に使用され、異なる通貨間でも共通の変動幅を表現できます。

一般的に、日本円が絡む通貨ペアの場合、小数点第2位(0.01円=1銭)を指します。

一方、日本円以外の外貨同士の通貨ペアの場合は、小数点第4位を指します。

pipsを活用することで、トレードの損益を簡単に計算でき、またトレードの分析にも役立ちます。

本記事では、pipsの概要や計算方法、表示方法などを解説していきます。

pips(ピップス)とは

まずpipsとは何か、言葉の意味や用途(使い方)を解説します。

  • ・意味
  • ・使い方

意味

pip(ピップ)とは、為替レートの共通単位を表す用語です。「percentage in point」の略字で、そのpipを複数形にしたのがpips(ピップス)です。

かつては、米ドル/円やクロス円は小数点第2位(0.01円=1銭)が最小単位でした。

1銭単位で価格が動いていたため、その慣習で今でも1銭を1pipと呼ぶことがあります。

一方、円が絡まない外貨同士の通貨ペアのほとんどは、小数点第4位が最小単位であったため、0.0001が1pipです。

ただし、現在では1pipの10分の1(0.1pip)を最小単位とするのが一般的です。

pipsとは

なお、FX会社によっては、1pip=0.001円(0.1銭)と定義しているところもあり、通貨ペアによっても定義が異なる場合があります。

取引する前には、1pipがいくらを指すのか、定義を確認しておくと良いでしょう。

使い方

pipsの用途(使い方)は、主に以下の通りです。

  • ・「値動きの大きさ」を表す
  • ・「スプレッドの大きさ」を表す
  • ・「自分のトレード結果」を表す

pipsという共通単位は、様々な通貨が登場するFXにおいて非常に便利な単位です。

「米ドル/円が1銭上がった」「ユーロ/米ドルが0.001ドル上がった」「英ポンド/豪ドルが0.001豪ドル上がった」というのでは値幅が比較しにくいですが、pipsを用いることで解決します。

スプレッドの表現も同じです。共通単位のpipsが用いられることで、スプレッドの幅が比較しやすくなります。

また、トレード結果をpipsで管理することで、金額の管理とは別の視点で成績を振り返ることができます。

スプレッドについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

pips(ピップス)の計算方法

pipsから、トレードの損益を簡単に計算することができます。

  • ・計算式
  • ・損益の計算例

計算式

トレードの損益は、値幅(獲得pips)と取引数量を掛けることで求められます。

pipsの計算式

  • 【円絡みの通貨ペアの場合】 損益=獲得pips×取引数量×0.01
  • 【外貨同士の通貨ペアの場合】 損益=獲得pips×取引数量×0.0001

損益の計算例

米ドル/円のような円絡みの通貨ペアの場合に、1,000通貨または10,000通貨で、どれくらいの値幅を稼ぐと、いくらの損益になるのかについて下表にまとめました。

1,000通貨 10,000通貨
1pips 10円 100円
10pips 100円 1,000円
100pips 1,000円 10,000円
1,000pips 10,000円 100,000円

目安として「1万通貨取引で、1円の値幅を稼ぐと、1万円の利益」と覚えておくのも良いでしょう。

MT4/MT5で損益をpipsで表示する方法

MT4/MT5のデフォルト設定では、ポジションを保有すると損益額で表示されるのが一般的です。

しかし、設定によってpips表示に変更することが可能です。

ここでは、MT4/MT5で損益をpips表示にする方法を紹介します。

MT4で損益をpipsで表示する方法

MT4でポジションを保有すると、損益額で表示されるのが一般的です。

MT4の損益
出典:MT4

損益額をpipsで表示するには、損益額の部分で右クリックをし、「損益表示形式」→「ポイントで表示」を選択します。

MT4の画面
出典:MT4

損益がpipsで表示されれば完了です。

MT5で損益をpipsで表示する方法

MT5も、MT4と同様にポジションを保有すると、損益額で表示されるのが一般的です。

MT5の損益
出典:MT5

損益額をpipsで表示するには、損益額の部分で右クリックをし、「損益」→「ポイント」を選択します。

MT5の画面
出典:MT5

損益がpipsで表示されれば完了です。

pips(ピップス)を利用する際の注意点

pipsを利用する際の注意点をまとめると、以下の通りです。

  • ・pips幅で損切りを決めない
  • ・pointと同じ単位ではない
  • ・pipsはFX会社によって定義が異なる
  • ・pipsは通貨ペアによって異なる

それぞれの注意点を詳しく解説していきます。

pips幅で損切りを決めない

損切りとは、一定の含み損が発生した段階で、そのポジションを決済して損失を確定させる取引です。

この損切りをpipsの幅で決めると、取引の数量によって損失の金額が変動します。

例えば、米ドル/円の取引で「100pipsの損失で損切りする」と決めていた場合、10,000通貨の取引なら、1万円の損失となります。

同じ条件で50,000通貨の取引であれば、5万円の損失です。

このように損失のpips幅は同じでも、取引数量が違えば損失の金額は大きく変わってきます。

一般的に重要なのは損失の金額です。

初心者のうちはpips幅のみで損切り位置を決めるのではなく「設定した損切り位置でいくら損失が発生するのか」を先に計算し、損切りの基準を決めましょう。

pointと同じ単位ではない

pipsとは異なる単位を表すpoint(ポイント)があります。

MT4の内部では、最小単位はpointで表されます。円絡みの通貨ペアの場合は小数点第3位、外貨同士の通貨ペアの場合は小数点第5位がpointです(FX会社や通貨ペアによって例外もあります)。

point

pipsはFX会社によって定義が異なる

1pipsがいくらかという定義は、FX会社によって異なります。

1pipsが0.1銭(0.001円)の会社もあれば、1銭(0.01円)の会社もあります。

比較的多くのFX会社で見られるルールは「決済通貨が同じであれば1pipsの金額も同じ」というものです(決済通貨とは、通貨ペア名の右側の通貨のことです)。

例えば、米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円は、全て決済通貨が同じ「円」であり、1pipsの金額も同じということになります。

pipsは通貨ペアによって異なる

1pipsがいくらかは、同じFX会社の中でも通貨ペアによって異なります。

例えば、決済通貨が円のペアは「1pips=0.01円」、決済通貨が米ドルのペアは「1pips=0.0001ドル」などの区別が多く見られます。

決済通貨が円のペア、米ドルのペアの例を一覧にすると、以下の通りです。

決済通貨が日本円 米ドル/円・ユーロ/円・英ポンド/円・豪ドル/円など
決済通貨が米ドル ユーロ/米ドル・英ポンド/米ドル・豪ドル/米ドルなど

FX取引の通貨ペアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

pips(ピップス)に関するQ&A

pipsに関してよく見られる疑問点は以下のようなものです。

  • ・1円は何pipsですか?
  • ・10pipsはいくらですか?
  • ・FXではなぜ単位がpipsなんですか?

1円は何pipsですか?

1円が何pipsかは、FX会社と通貨ペアによって異なります。

例えば、OANDA証券では以下のような円絡みの通貨ペアは、全て「1円=100pips」です。

  • ・USD/JPY(米ドル/円)
  • ・EUR/JPY(ユーロ/円)
  • ・GBP/JPY(英ポンド/円)
  • ・AUD/JPY(豪ドル/円)
  • ・NZD/JPY(NZドル/円)
  • ・CAD/JPY(カナダドル/円)
  • ・CHF/JPY(スイスフラン/円)
  • ・TRY/JPY(トルコリラ/円)
  • ・ZAR/JPY(南アフリカランド/円)

10pipsはいくらですか?

10pipsがいくらかは、「FX会社によって変わる」「通貨ペアによって変わる」ものです。

一般的には、日本のFX会社で円絡みの通貨ペアは「10pips=0.1円」です。

一方、ドルストレートの通貨ペアは「10pips=0.001ドル」です。

FXではなぜ単位がpipsなんですか?

FX取引の単位でpipsが用いられる理由は、各通貨ペアで共通の単位を用いる方が、変動の幅や損益の大小を計算しやすくなるためです。

共通の単位を用いない場合「1ドル上がった」「1ユーロ下がった」という表現になり、計算や比較が難しくなります。

これに対して、共通単位のpipsを用いれば「米ドル/円が10pips上がった」「ユーロ/円が10pips下がった」という表現になり、計算も比較もしやすくなります。

【まとめ】pips(ピップス)とは|FXの最小単位の基礎知識・計算方法・表示方法を解説

pipsは、為替レートやスプレッドを表す共通単位です。

円絡みの通貨ペアでは小数点第2位、外貨同士の通貨ペアでは小数点第4位を指すのが一般的です。

トレードの損益は、pipsと取引数量の掛け算によって求められます。

また、トレードの損切りを設定する際には、損失額を決めてからpips幅と取引数量を決める方法が推奨されます。

なお、pipsの定義はFX会社によって異なるので注意が必要です。


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