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スワップポイントとは|計算方法・失敗しないポイントを解説


スワップポイントとは、2か国間の金利差によって発生する損益です。

FX取引では通常の売買益とは別に、このスワップポイントの蓄積による利益も獲得できます。

本記事では、スワップポイントの意味や計算方法、活用する上で失敗しないためのポイントなどを解説していきます。

スワップポイントとは

ここでは、スワップポイントの意味と計算方法を解説します。

意味

スワップポイントは「金利差調整分」とも呼ばれ、2か国間の金利差によって発生する利益です。

下図の通り「金利の高い通貨」と「金利の低い通貨」の金利差が、スワップポイント(利益)になります。

スワップポイントの仕組み

ただし、スワップポイントは必ずしも利益になるとは限らず、損失になる「マイナススワップ」も存在します。

「低金利通貨を売って、高金利通貨を買う」場合はプラスになりますが、逆に「高金利通貨を売って、低金利通貨を買う」場合はマイナスとなります。

なお、金利情勢によってはスワップポイントのプラス(受取り)・マイナス(支払い)関係が逆転したり、売り・買い両方ともマイナスとなる可能性もあります。

(この点については「デメリット」の段落で詳しく解説します)

計算方法

スワップポイントは、FX会社によって異なります。

一般的には、短期金利市場の金利、為替レートを参照して算出されます(政策金利を参照するわけではなく、日々変動するのが特徴です)。

  • スワップポイント(円)=数量×金利(%)÷365(日)× 円評価レート

日数の部分は、365日が主流ですが、360日とする場合もあります。

こうして1日当たりのスワップポイントを計算したら、その金額を円換算するために「×円評価レート」の計算を行います。

世界のほとんどの通貨は日本円より高金利であるため、スワップポイントは外貨で受け取ることになります。

そのため、その外貨の金額を最後に円換算する必要があるわけです。

スワップポイントの付与のルールは、FX会社によって異なります。

下図は、一般的なルールの一例です。

スワップポイント付与のルール

外国為替市場では、基本的に取引した2営業日後に外貨の受け渡しが行われます(スポット取引)。

FX取引においても同様ですが、外貨の受け渡しがあると投資家が困ってしまうので、FX会社によって自動的にロールオーバー(保有ポジションを決済し、新規ポジションを建て、受け渡し日を繰り延べる)が行われます。

この仕組みにより投資家は、受け渡し期限を気にせずに、ポジションを保有し続けることができます。

一般的に、ロールオーバーはNYクローズ後の時間に行われ、その際に繰り延べられた日数分のスワップポイントが発生・付与されます。

スワップポイントが高い通貨ペア例

金利差の大きい通貨ペアを選ぶと、スワップポイントがより高くなります。

例えば高金利通貨の代表格は、トルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドなどで、低金利通貨の代表格は、日本円です。

以下は、トルコリラやメキシコペソ、南アフリカランドと日本円の金利差を比較した表です。

通貨ペア 政策金利 金利差
トルコリラ/日本円
(TRY/JPY)
トルコリラ:45.00%
日本円:-0.1%
45.10%
メキシコペソ/日本円
(MXN/JPY)
メキシコペソ:11.25%
日本円:-0.1%
11.35%
南アフリカランド/日本円
(ZAR/JPY)
南アフリカランド:8.25%
日本円:-0.1%
8.35%

(2024年2月13日時点)

以下で南アフリカランド/日本円を取引した場合、実際にいくらスワップポイントがもらえるのかを、OANDA証券のスワップポイント・シミュレーターを使ってシミュレーションしてみましょう。

    ●OANDA証券のスワップポイント・シミュレーター

    OANDA証券では「東京サーバー(TY3コース)用スワップポイント・シミュレーター」の提供を行っています。
    取引を行う通貨ペアと金額、レバレッジ倍率、運用年数を入力すると、どのくらいのスワップポイントが受け取れるのかを自動で計算できます。

    例えば、以下の条件でシミュレーションを行ったとします。

    • ・取引開始日:2022年10月26日
    • ・通貨ペア:南アフリカランド/日本円
    • ・用意する資金:100万円
    • ・レバレッジ倍率:10倍
    • ・運用年数:5年

    シミュレーション結果は、以下の通りです。

    OANDA証券のスワップポイント・シミュレーター

    5年後の2027年10月26日には、3,021,382円(+2,021,382円の利益)と計算できました。

    今回は南アフリカランド/日本円のシミュレーションを行いましたが、他の通貨ペアでも行いたい方は、東京サーバー(TY3コース)用スワップポイント・シミュレーターより行えます。

    ●シミュレーションについて

    こちらのシミュレーションは、お客様が入力した通貨ペアの昨日のスワップポイントが変動しなかったと仮定した場合です。
    実際の相場では、それぞれの通貨の金利変動によりスワップポイントも変動する場合があります。
    またこちらのシミュレーションは、本日の為替レート及び昨日のスワップポイントに基づいて行ったものであり、将来の成果をお約束するものではありません。参考程度としてください。

スワップポイントは毎日変動するので、必ずしも上記のような結果とはなりません。

しかしスワップポイントが高い傾向にある高金利通貨での取引なら、効率よく利益を狙えます。

ただし、繰り返しになりますが、金利情勢によってはスワップポイントのプラス(受取り)・マイナス(支払い)関係が逆転したり、売り・買い両方ともマイナスとなる可能性もあります。

スワップポイントを狙った中長期的な運用をお考えの方は、高金利通貨を扱っているOANDA証券での取引を検討してください。

口座開設ボタン

OANDA証券の口座開設の具体的なやり方については、こちらの記事を参考にしましょう。

スワップポイントで運用するメリット・デメリット

ここでは、買いポジションでスワップポイントを狙って運用する(売買益でなくスワップによる利益をメインとする)メリットとデメリットを解説します。

メリット

スワップポイントを狙って運用するメリットは、通常のキャピタルゲイン(売買益)に加えて、インカムゲイン(資産の保有中に得られる利益)を獲得できることです。

下の図の通り、スワップポイントは保有日数に応じて積み上がっていきます。

そのため、スワップポイントの利益は、毎日着実に増加を期待できます。

スワップポイントのメリット

ただし、相場の変動によって、スワップポイントの利益を上回る売買損失が発生する恐れもあります。

一方、売買益も獲得できれば、スワップポイントと合わせて2つの利益を狙えます。

特に中長期での売買益を狙う場合は、スワップポイントも大きくなるため、このメリットが大きくなります。

デメリット

スワップポイントを狙って運用するデメリットは、通貨ペアによっては「マイナススワップ」になる場合があることです。

この場合、通常のスワップポイントとは逆に、金利差を支払う必要があります。

「高金利通貨を買い、低金利通貨を売る」という組み合わせなら、スワップポイントはプラスになります。

しかし「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」という逆の組み合わせの場合、スワップポイントはマイナスになります。

マイナススワップ

例えば、2024年2月13日時点での政策金利は、メキシコが11.25%、米国が5.50%です。

仮にメキシコペソと米ドルのスワップポイントを政策金利で計算すると、下図の左側(米国国旗の側)のように、「メキシコペソ買い、米ドル売り」は5.75%、「米ドル買い、メキシコペソ売り」は-5.75%となります。

マイナススワップの例

図の右側は、メキシコペソと日本円の場合で、日本円のようにマイナス金利となっても、計算の原理は同じです。

このように、通貨ペアの買いと売りの組み合わせによっては、マイナススワップとなって金利差を支払う必要が生じます。

これが主要なデメリットとなります。

その他のデメリットとしては「高金利通貨は値動きが不安定になる場合がある」「スワップポイントは課税対象である」などの点が挙げられます。

これらの点については「スワップポイントで運用する際の注意点」の段落で、詳しく解説します。

スワップポイントで失敗しないポイント

スワップポイントを狙った運用で失敗しないためのポイントは、以下の通りです。

  • ・スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ
  • ・低いレバレッジで取引を行う
  • ・複数の通貨ペアを取引する分散投資を行う
  • ・ロスカットされないよう小まめに証拠金維持率の確認を行う

スプレッドが狭い通貨ペアを選ぶ

スプレッドとは「売値と買値の差」であり、FX取引における実質の手数料です。

直接手数料として徴収されるわけではありませんが、売買のたびに発生するコストであるため、事実上の手数料といえます。

このスプレッドによるコストを抑えれば、スワップポイントによる利益をより多く受け取れます。

そのため、スプレッドが狭い(小さい)通貨ペアを選ぶことが、スワップポイントで利益を得るポイントの1つとなります。

スプレッドの仕組みや計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

以下は、OANDA証券が提供する各通貨ペアのスワップポイントとスプレッドです。

●OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントとスプレッド一覧

通貨ペア スプレッド スワップポイント
売りSwap 買いSwap
USD/JPY
(米ドル/日本円)
0.3銭 -273.80円 189.30円
EUR/USD
(ユーロ/米ドル)
0.5〜0.7pips 0.31ドル -0.52ドル
EUR/JPY
(ユーロ/日本円)
0.4〜0.9銭 -216.40円 155.40円
AUD/JPY
(豪ドル/日本円)
0.6〜1.1銭 -136.80円 119.80円
GBP/USD
(英ポンド/ 米ドル)
0.8〜1.2pips 0.01ドル -0.12ドル
GBP/JPY
(英ポンド/日本円)
0.9〜1.8銭 -295.40円 267.80円
AUD/ USD
(豪ドル/ 米ドル)
0.9pips 0.10ドル -0.27ドル
ZAR/JPY
(南アフリカランド/日本円)
1銭 -25.00円 12.70円

●スワップポイントについて

※提示しているスワップポイントは、2024年2月12日時点のものです。
※ 0.1Lot(10,000通貨)単位のスワップポイントを表示しています。
※ 対円以外の通貨ペアのスワップポイントは、2nd currency建てで表示しています。
※ 東京サーバーコースは追加オプションコースです。口座をお持ちのお客様は、Myページよりいつでも作成可能です。

OANDA証券の各通貨ペアのスワップポイントは、こちらの記事から確認しましょう。

●スプレッドについて

※提示しているスプレッドは、2024年2月12日時点のものです。
※スプレッドは急な価格変動によって拡大する恐れがあり、必ずしも上記スプレッドと合致しない場合があります。

OANDA証券の各通貨ペアのスプレッドは、こちらの記事から確認しましょう。

低いレバレッジで取引を行う

FX取引のレバレッジは、スワップポイントによる利益にも影響します。

例えば実効レバレッジ10倍で運用すれば、レバレッジ1倍と比較して売買の利益だけでなくスワップポイントも10倍となります。

スワップポイントは「長期間保有するほど利益が増えていく」仕組みです。

そのため、相場が大きく変動しても問題なく保有を続けられるような低レバレッジに抑えるべきといえます。

もともとスワップポイントで利益を得やすい高金利通貨は、ボラティリティが大きい(値動きが激しい)傾向があります。

レバレッジなしでも大きな利益を狙いやすく、逆に大きな損失も出やすいため、高金利通貨は低レバレッジで取引する方が安全といえます。

複数の通貨ペアを取引する分散投資を行う

高金利通貨は急激な価格変動が起きやすい傾向があるため、1つの通貨ペアに資金を集中させることにはリスクがあります。

低レバレッジで運用していたとしても、1回の急激な変動によってスワップポイントの利益以上に為替差損が生じることも考えられます。

そのようなリスクを避けるためには、複数の通貨ペアに分散して投資することも、1つの選択肢といえます。

相関性が比較的低い通貨ペアであれば、1つのペアが下落した場合にも、他のペアは下落しない、もしくは上昇することもあります。

分散させる分、1つの通貨ペアで大きなスワップポイントを得ることは難しくなりますが、複数のペアで長期的に、コツコツとスワップポイントを蓄積しやすくなります。

ロスカットされないよう小まめに証拠金維持率の確認を行う

スワップポイントは、ポジションを決済しない限り毎日発生します。

しかし、自ら決済しなくとも強制的に決済される「ロスカット」を受ければ、その後のスワップポイントは発生しません。

OANDA証券の場合、証拠金維持率が100%を下回ると、ロスカットが執行されます。

たとえ相場が逆行したとしても、ロスカットが執行されなければ、長期的にスワップを積み重ねられる可能性があります。

しかし、ロスカットを受ければ、そのような可能性はなくなってしまいます。

このため、ロスカットを受けないよう、証拠金維持率を小まめに確認する必要があります。

スワップポイントで運用する際の注意点

スワップポイントで運用する際の注意点は、以下の通りです。

  • ・スワップポイントはマイナスとなる可能性がある
  • ・スワップポイントが高い高金利通貨は値動きが不安定な傾向にある
  • ・スワップポイントの利益は課税対象である

スワップポイントはマイナスとなる可能性がある

「デメリット」の段落で解説した通り、スワップポイントはマイナスになるケースもあります。

基本的には「低金利通貨を買い、高金利通貨を売る」というポジションを持つことで、スワップポイントがマイナスになります。

マイナスとなった場合は、毎日マイナススワップを支払う必要があり、保有しているだけでも損失が蓄積されます。

その損失を上回る売買益を相場の変動によって得られるのであれば、問題はありません。

しかし、そのような見込みがない場合には、マイナススワップの発生は極力回避すべきといえます。

スワップポイントが高い高金利通貨は値動きが不安定な傾向にある

スワップポイントが高い高金利通貨とは、国が設定する「政策金利」が高い通貨です。

政策金利が高い通貨は、「高い金利を設定しないと保有してもらえない通貨」と考えることができます。

そのような通貨は、経済が不安定なことが多く、為替の値動きも激しくなる傾向があります。

例えば、2024年2月時点でトルコは政策金利が45%と非常に高い水準で、スワップポイントも高水準に設定されています。

しかし、2021年の1年間で、対ドルでの価値は半分以下に下落しました。

(1月の1ドル=7リラ台から、12月に一時1ドル=18リラ台まで下落)

このように、スワップポイントの蓄積よりも大きな為替差損が発生する場合があることに注意が必要です。

スワップポイントの利益は課税対象である

FX取引では、ポジションを「保有しているだけ」なら課税対象になりません。

含み益が出ていても、その利益を確定しない限りは課税されない仕組みです。

一方、スワップポイントが口座に反映された場合、その確定した利益は課税対象となります(FX会社によってはポジションを決済することで、スワップポイントが口座に反映される場合もあります)。

スワップポイントの利益がいくらになると納税や確定申告の義務が生じるかは、その人の他の所得などの諸条件によってルールが異なります。

詳しくは以下の記事を確認しましょう。

【まとめ】スワップポイントとは|計算方法・失敗しないポイントを解説

スワップポイントとは、取引を行う通貨間の金利差のことです。

プラスのスワップポイントは毎日利益として受け取れますが、マイナスの場合は逆にその分を毎日支払う必要があります。

スワップポイントを狙った運用では中長期の投資が適していますが、FX取引で中長期の投資を行うためには、基本的な専門用語や相場分析の方法などを、一通り理解しておく必要があります。

OANDA証券では、そのようなFX初心者の方が学ぶべき知識をわかりやすく説明したコンテンツを、豊富に提供しています。

OANDA証券での口座開設と、スワップポイントを狙った運用を検討してください。

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OANDA Lab編集部

OANDA証券株式会社が運営する「OANDAラボ」は、FX/CFDを統計学的側面で科学するメディアです。外国為替(FX)や世界の株価指数、金や原油などの商品市場に関するマーケット情報やデータ、ニュースを提供しています。
会社名:OANDA証券株式会社
所在地:東京都千代田区平河町1-3-13 CIRCLES平河町 10階
加入協会:一般社団法人金融先物取引業協会 / 日本証券業協会 / 日本商品先物取引業協会 / 日本投資者保護基金
登録番号:第一種 金融商品取引業 関東財務局長 (金商) 第2137号
問い合わせ先:お問い合わせフォームから


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