東京為替見通し=今夜の米5月雇用統計控えて動意薄、米上院での採決を見極める展開か

市場見通し
 1日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、予想を上回った5月ADP全米雇用報告を受けて139.86円付近まで上昇後、予想を下回った5月米ISM製造業景気指数を受けて138.45円まで反落、139.06円付近まで反発した。ユーロドルは米長期金利の低下や欧州株が全面高となったことなどで1.0768ドルまで上昇した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、今夜発表される米国5月の雇用統計を控えて動きづらい展開の中、米上院での財政責任法案の採決を見極めることになる。

 6月13-14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けて、今週末からブラックアウト期間に入るが、次期FRB副議長に指名されているジェファーソンFRB理事は、タカ派的利上げ休止「6月FOMCでは利上げ見送り支持」を表明した。そして、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者も「Fed Prepares to Skip June Rate Rise but Hike Later(FRBは6月会合では金利を据え置き、夏以降に再び利上げを行う準備をする可能性」と配信した。すなわち、米連邦準備理事会(FRB)執行部の意向は、6月FOMCは利上げ休止、その後の利上げ再開や利下げへの転換は、データー次第ということになる。

 米5月雇用統計の予想は、失業率が3.5%で4月の3.4%から上昇、非農業部門雇用者数は前月比+19.0万人の増加となっており、4月の+25.3万人からは増加幅の減少が見込まれている。
 ティミラオス記者の発言に従えば、ポジティブサプライズでない限り、6月13-14日のFOMCでは、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示唆しているように、据え置かれる可能性が高まることになる。

 5月30日に下院議事運営委員会で審議された財政責任法案(Fiscal Responsibility Act of 2023)は、13人中(共和党9・民主党4)、賛成7、反対6の1票差で可決した。
 5月31日に下院本会議(435議席:共和党222・民主党213)でも、賛成314対反対117の賛成多数で可決され、共和党の保守強硬派71人が反対、民主党もプログレッシブ(急進左派)46人が反対(賛成165人)した。
 本日は、上院(100議席:共和党49・民主党50・無所属1)で債務上限停止法案を盛り込んだ「財政責任法案」の採決が予定されている。上院で予想されているフィリバスター(議事妨害)を阻止する60票到達には、民主党会派の51議席(民主党50・無所属1)に加えて、共和党からも9票以上の上積みが必要となっている。
 米財務省の5月30日時点での現金残高は374億ドルと発表されており、連邦政府債務の支払い義務を履行する上での必要最低限の現金残高300億ドルに迫りつつある。

 しかしながら、バイデン米大統領が法案に署名した後でも、格付け会社による米国債格下げへの警戒感は払拭されない。

 2011年8月5日の米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げは、8月2日の期限(Xデイ)にオバマ第44代米大統領が債務上限引き上げ法案に署名した3日後だった。
 2011年と2023年の民主党政権と共和党下院とのチキンゲームは以下の通りとなっている。        【2011年】 【2023年】(※日付けは米国時間)
・両党指導部が合意:7月31日    5月27日
・下院で可決:8月1日       5月31日
・上院で採決:8月2日       6月1日??
・大統領署名:8月2日       6月X日??
・Xデイ     :8月2日       6月5日

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