週間為替展望(ポンド/加ドル)−ポンド、英金融政策や選挙への思惑で上下

市場見通し
◆ポンド、4月CPI受け利下げ開始の織込み時期が後ずれ
◆ポンド、7月英総選挙控え政権交代の可能性高いとの見方
◆加ドル、順調なインフレ鈍化受け中銀の利下げ時期に焦点

予想レンジ
ポンド円 197.00-202.00円
加ドル円 112.50-116.50円

5月27日週の展望
 ポンドは英金融政策や総選挙に対する思惑で上下する展開となりそうだ。22日発表の4月消費者物価指数(CPI)は前年比2.3%と3月分を0.9ポイント下回り、2021年夏以来の低水準を記録。ただ、インフレの減速基調は確認されたものの市場が予想していた2.1%には届かなかった。エネルギーや食料品・タバコを除いたコアCPIも、前年比3.9%と想定ほど低下せず。くわえて、英中銀が注視しているサービス価格の上昇率も僅かな鈍化に留まった。これを受けて短期金融市場が織り込む英中銀の利下げ開始時期は、これまでの夏ごろから11月まで後ずれしている。

 来週は27日がスプリング・バンク・ホリデーで英国は休場、英経済指標も4月マネーサプライM4程度と大きな動意に繋がるものはない。英金融政策への市場の見立てが維持されるようであれば、基本的にはポンドの下値は限定されそうだ。

 今後、金融政策同様に気にかけなければならないのは英国の総選挙だろう。スナク英首相は22日、7月4日の選挙実施を表明。30日には議会下院が解散される。来年1月までに行われる決まりだった総選挙は、秋頃になると見る向きが多かった。ただ、今月の経済データで公約通りのインフレ低下や経済対策にある程度の成果が出たとして、首相は早期解散の決心を固めたもようだ。

 しかし、スナク氏率いる与党・保守党の支持率は低迷しており、現状では最大野党・労働党が14年ぶりに政権奪還する可能性が高い。そうなると、選挙後に労働党がどのような政策を実行するかが重要になってくる。現与党と違いが目立つのは、石油・ガス会社や外国人への増税案、北海でのエネルギー新規開発の中止など。これらはポンドにとってネガティブな印象だ。一方、EUとの関係改善を目指すとされ、内容次第では英経済の支援材料と受け取られるだろう。

 加ドルは対円では円相場全般の流れに歩調を合わせ、対ドルでは米・加金融政策の違いから弱含む展開が想定される。米金融当局者から早期利下げに慎重な意見が相次ぎ、米金利の先安観は大きく後退。一方で加インフレ率は順調に低下しており、カナダ中銀(BOC)は早ければ来月5日の会合で0.25%利下げを決定するとの見方が高まりつつある。

 21日発表の4月CPIは前年比2.7%と3年1カ月ぶりの低水準を記録。BOCが重要視するCPI中 央値やトリムも2%台と減速基調が確認された。ただ、年内の利下げ回数に対する市場の織り込み度は2回までと変わらず。今後はマックレムBOC総裁の見解を見極めながらの取引となりそうだ。

5月20日週の回顧
 ポンドは対円では199円後半まで上昇した。英利下げ開始の後ずれ観測に支えられたほか、堅調なドル円にも後押しされた。一巡後は米株安を眺め、上値を切り下げた。対ドルでは4月英CPI後に1.2760ドル台まで上昇も、米金利上昇が重しとなって1.26ドル後半まで下押しした。

 加ドルは対円では114円後半では伸び悩み、114円前半まで売り戻された。対ドルでは、加金利の先安観や原油安を受けて1.37加ドル半ばまで加ドル安に振れている。(了)


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