週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、日銀会合や中東情勢に注目

市場見通し
◆ドル円、G7サミット・米関税率・中東情勢に警戒
◆日銀の国債買入額見直し、FOMCのドットプロットなどにも注目
◆ユーロドル、欧米通商協議や地政学リスクに注意

予想レンジ
ドル円   141.50-145.50円
ユーロドル 1.1400-1.1750ドル

6月16日週の展望
 ドル円は、トランプ米大統領が「2週間以内に各国に通告する」とした関税率への警戒感や中東の地政学リスクが上値を抑えるか。そういった中、先進国首脳会議(G7サミット)前後での通商交渉、現状維持予想の日銀金融政策決定会合における国債買入額消却を巡る協議や、米連邦公開市場委員会(FOMC)でのドット・プロット(金利予測分布図)に注目する展開が想定される。

 来週初めから17日まで開催されるサミット期間前後に、日米首脳会談の可能性が高まっている。また、サミットに合わせて韓国の李大統領も日韓・米韓の首脳会談の調整を行っていると報じられ、自動車関税の引き上げを考えているトランプ米大統領と日韓の首脳会談が注目される。日韓ともに対米自動車の輸出台数が突出しており、交渉は難航することが予想される。

 米国では17-18日にFOMCが開催されるが、トランプ関税の不確実性を理由に前回に続いて現状の金融政策の維持が見込まれている。FOMCに付議される地区連銀経済報告での景気判断は、前回の「ほとんど停滞」から「わずかながら減退」へ引き下げられた。景気減退の認知による、「経済・金利見通し」への変化などにも注目が集まる。

 また、16-17日の日銀金融政策決定会合では、トランプ関税の不確実性を理由に、FOMC同様、前回に続いて現状の金融政策の維持が見込まれている。注目ポイントは、米財務省が「外国為替報告書」で、円安是正のために利上げ継続を要請していたことに対する見解や、2026年4月以降の国債買入れ減額幅の圧縮、または、過去に発行した低利率の超長期国債の買入れ消却などとなる。市場では、国債買入れ減額幅に関して、現状の4000億円程度から2000億円程度まで半減されると予想する向きが多い。
 
 20日に発表予定の5月コア消費者物価指数(CPI)は、前年比+3.7%と予想されており、4月の3.5%からの上昇が見込まれている。予想通りならば、早期利上げ観測が高まることになりそうだ。

 ユーロドルは、難航しているEUの米国との関税協議や、米国からの一方的な関税率通告への警戒感が上値を抑える展開が予想される。ただ、中東情勢などの地政学リスクでは、全般ドル売りでの反応となっており、注意しておきたい。経済指標では、独6月ZEW景況指数に注目。

6月9日週の回顧
 ドル円は、米中閣僚級貿易協議で、貿易摩擦緩和に向けた暫定的計画で合意に達し、トランプ米大統領が「中国との合意は成立した。あとは習主席と私の最終承認を残すのみだ」と述べたことで145.46円まで上昇した。ただ、5月米CPIやPPIが予想を下回ったほか、中東の地政学リスクの高まりを受けて142円台後半まで反落した。ユーロドルは、地政学リスクからドルスイスフラン中心にドル売りが強まる展開となると一時1.1631ドルまで買われた。(了)
(執筆:6月13日、10:00)


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