週間為替展望(豪ドル/ZAR)-ZAR、中東情勢激化は重しに

市場見通し
◆豪ドル、リスクセンチメントに敏感で中東情勢に警戒
◆豪ドル、5月月次CPIに注目
◆ZAR、反イスラエル・親イランのため中東紛争長期化・激化は売り要因に

予想レンジ
豪ドル円 92.50-95.50円
南ア・ランド円 7.85-8.20円

6月23日週の展望
 豪ドルは、来週も引き続き方向感のない動きになりそうだ。市場の注目はトランプ米政権による関税の動向と中東情勢になっており、豪州の国内情勢よりも国外要因が左右する相場展開が予想される。

 イスラエルとイラン間での軍事攻撃が拡大している中で、週末には米国のイラン攻撃の可能性が示唆された。市場では、ホルムズ海峡封鎖や、他の中東国を巻き込む紛争拡大に発展してしまうかなどが警戒されている。地政学的には豪州と中東は距離があるものの、豪ドルはリスクセンチメントの移り変わりに動意づきやすいこともあり、戦争の状況を見極める必要がある。

 また、関税に関しても、豪州は対米貿易赤字を計上していることから、高賦課関税は予想されていない。ただ、7月9日の追加関税の猶予期間を前にして、他国に対してのトランプ米大統領の関税強化が公表されれば豪ドルも動意づくだろう。

 経済指標では、豪州からは25日に発表予定の5月消費者物価指数(CPI)に注目。月次CPIには、四半期CPIの対象と比較して62〜73%に相当する分のみしか含まれていないことで、全体像を示すものではない。ただ、1−3月期の国内総生産(GDP)が低調になる中で、月次とはいうもののインフレ指標が低下した場合は、豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力が高まりそうだ。なお、ニュージーランド(NZ)からは25日に5月貿易収支、27日にはANZ消費者信頼感指数が発表される予定。

 南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られそうだ。イスラエルとイランの紛争が長期化・激化した場合には、リスク回避の動きでZARにとってはネガティブ要素となり、上値を抑えることになる。また、南アは昨年5月に国際司法裁判所(ICJ)に対し、イスラエルが計画していたパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファへの軍事攻撃を阻止するよう請求するなど、反イスラエルの姿勢を貫いている。また、昨年の年初からイランはBRICSに正式に加盟しており、南アとイランの関係も近い。イスラエルの自衛権を支持するG7各国と異なる姿勢を示していることも売り要因になるだろう。なお、来週の南アからの経済指標は、26日に4−6月期BER消費者信頼感と5月卸売物価指数(PPI)が発表予定。

6月16日週の回顧
 豪ドルは対ドルでは横ばい、対円では底堅かった。中東情勢の悪化では、有事のドル買いの勢いが強く、中でもドル円の上げ幅がやや広がったことが豪ドル円の支えになった。5月雇用統計は、新規雇用者数は予想に反してマイナスとなったが、マイナス要因が非常勤雇用者数の大幅減少だったことで市場の反応は限られた。ZARは軟調。中東情勢の悪化により、新興国通貨が売られやすい地合いだった。中でも、南アは反イスラエル姿勢を取っていることもあり、対ドルでは5月中旬以来の水準まで弱含んだ。(了)

(執筆:6月20日、09:30)


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