週間為替展望(ドル/ユーロ)-ドル円、中東情勢やFRB議長証言に注目

市場見通し
◆ドル円、米軍によるイラン空爆の可能性やFRB議長の議会証言に注目
◆5月米PCEデフレーターや6月東京都区部CPIにも注目
◆ユーロドル、ユーロ圏6月PMI速報値や欧米通商協議に注意

予想レンジ
ドル円   143.00-147.00円
ユーロドル 1.1350-1.1650ドル

6月23日週の展望
 トランプ米大統領が先週、「2週間以内に各国に関税率を通告する」と述べたほか、今週はホワイトハウス報道官が「イラン攻撃について2週間以内に決定する」との見解を表明。いずれも2週間という時間軸の中で、トランプ関税や中東の地政学リスクに備える展開となる。

 日米の通商交渉は、6回の閣僚級協議とG7サミットでの首脳会談でも合意に至っておらず、米国からの一方的な関税率の通告の可能性もあり注意している。

 また、米国によるイラン空爆の可能性が高まっているなか、トランプ米大統領は、「イラン核開発を阻止するには戦闘が必要になる可能性」と述べ、ネタニヤフ首相に対してイラン攻撃の継続を促しつつ、イランに対して核開発の放棄を要請した。ただ、様々な報道を鑑みるに、現状は「トランプ米大統領はイラン攻撃計画を承認した」ものの最終決定は下しておらず、「攻撃については2週間以内に決定する」模様。いずれにしても、週末も含め予断を許さない状況が続いている。

 過去を振り返ってみると、1991年1月17日の湾岸戦争時は、新月の暗闇に乗じて米軍の空爆が開始され、ドル円は有事のドル買いではなく、リスクオフのドル売りで反応。138円から132円までの下落となった。市場では、25日の新月に向けて歴史の再現に警戒感を強めている。

 米国の経済指標では、27日に5月PCEデフレーターが発表される。予想は前年比2.3%で4月の2.1%からの上昇が見込まれている。ただ、5月CPIとPPIの伸び率が鈍化していたこともあり、予想を下回る数字となった場合には注意している。また、24日にはパウエルFRB議長の議会証言が予定されているが、FOMC後の記者会見での発言や、声明文に対する質疑応答の内容に注目しておきたい。日本からは、27日に6月東京都区部CPIが発表される。6月全国コアCPIの先行指標となることで注目。20日に公表された5月全国コアCPIは前年比3.7%となった。4月の3.5%から上昇。日銀の年内利上げ観測を高めている。

 ユーロドルは、依然としてEUと米国との関税協議が難航しており、米国からの一方的な関税率通告への警戒感が上値を抑える中、6月のユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値や独6月Ifo景況感指数に注目する展開となる。また、中東の地政学リスクや原油価格の動向などにも引き続き警戒しておきたい。

6月16週の回顧
 ドル円は、米国によるイラン空爆の可能性が高まるなか、全般、有事のドル買いが先行。日米で政策金利の据置きが決定されたが、いずれも米関税などに対する不確実性が大きな理由となった。両国の政策調整の先送りが強まったことも買いを後押し。一時145.77円まで上昇している。ユーロドルは、有事のドル買いから一時1.1446ドルまで下落した。(了)

(執筆:6月20日、9:30)


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