市場見通し
◆豪ドル、RBAの金融政策に注目
◆NZドル、RBNZの利下げ局面は小休止へ
◆ZAR、インフレ目標の引き下げ観測が相場の支えに
予想レンジ
豪ドル円 93.00-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月7日週の展望
豪ドルは金融政策絡みで荒い値動きに注意が必要となるだろう。注目は7-8日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会での金融政策。金利先物市場では現在、0.25%の利下げをほぼ100%織り込んだ状態にあり、市場でも利下げ予想が優勢となっているが、一部では「7月の利下げは確実なものではない」といった声も聞かれている。
実際、RBAは今年に入って金融緩和へと舵を切った後も、インフレ見通しについては慎重な姿勢を示しており、直近の四半期経済・インフレ予測によると、RBAが重視している消費者物価指数のトリム平均は予測期間内(2027年前半まで)にインフレ目標(2-3%)中央値である2.5%へ鈍化することはないとの見方を示している。30日に発表となる4-6月期CPIでもインフレ率は高止まりを続けるとの予想もあり、今回のRBA理事会で利下げが決定されたとしても、声明文の内容などから「タカ派的な利下げ」と捉えられる可能性もありそうだ。
現在の金利先物市場は今回も含めて年内に3-4回程度の利下げをすでに織り込んでいる状態であるため、予想通りに利下げが実施されたとしても額面通りに豪ドル売りへとつながらない可能性がある点には注意しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)でも9日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が公表される。こちらは、金利先物市場での0.25%利下げ織り込み度が15%程度となっており、昨年8月からの連続利下げも小休止となる見込みだ。政府との対立で突如辞任したオア前総裁の後を引き継いだホークスビー総裁も「金利は中立水準に近い」と言及しており、今回の声明文では先行きの金融政策方針に注目が集まるだろう。なお、金利先物市場では現在年内に1-2回程度の利下げを織り込んだ状態となっている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い展開となりそうだ。国民統一政府(GNU)が民主同盟(DA)出身の副貿易相を解任したことを受けて、第2党のDAが政権から離脱するとの懸念が高まっていたが、現在は「連立政権の崩壊は避けられるだろう」との見方が広がっている。もっとも、第1党のアフリカ民族会議(ANC)とDAの関係は決して楽観視できる状態にはなく、今後も政局の不透明感は残り続けるだろう。一方で、南ア準備銀行(SARB)が近く、インフレ目標(3-6%)の引き下げを表明するなか、実質金利のプラス幅が維持されやすくなるとの思惑がZAR相場を支える構図も続いている。SARBによる正式な発表の際にはZARの反応にも注目しておきたい。
6月30日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに底堅く推移。対円では週前半こそ伸び悩む動きとなっていたが、良好な米雇用統計の発表後にドル円が大きく上昇すると、豪ドル円もつれて上値を伸ばした。ZARも総じて堅調な動き。南ア国内の政局不安が意識される場面はあったものの、対ドルでは年初来の高値を更新する底堅い地合いが継続。対円でも3月以来の高値を更新した。(了)
(執筆:7月4日、9:30)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆NZドル、RBNZの利下げ局面は小休止へ
◆ZAR、インフレ目標の引き下げ観測が相場の支えに
予想レンジ
豪ドル円 93.00-97.00円
南ア・ランド円 8.10-8.50円
7月7日週の展望
豪ドルは金融政策絡みで荒い値動きに注意が必要となるだろう。注目は7-8日に開催される豪準備銀行(RBA)理事会での金融政策。金利先物市場では現在、0.25%の利下げをほぼ100%織り込んだ状態にあり、市場でも利下げ予想が優勢となっているが、一部では「7月の利下げは確実なものではない」といった声も聞かれている。
実際、RBAは今年に入って金融緩和へと舵を切った後も、インフレ見通しについては慎重な姿勢を示しており、直近の四半期経済・インフレ予測によると、RBAが重視している消費者物価指数のトリム平均は予測期間内(2027年前半まで)にインフレ目標(2-3%)中央値である2.5%へ鈍化することはないとの見方を示している。30日に発表となる4-6月期CPIでもインフレ率は高止まりを続けるとの予想もあり、今回のRBA理事会で利下げが決定されたとしても、声明文の内容などから「タカ派的な利下げ」と捉えられる可能性もありそうだ。
現在の金利先物市場は今回も含めて年内に3-4回程度の利下げをすでに織り込んでいる状態であるため、予想通りに利下げが実施されたとしても額面通りに豪ドル売りへとつながらない可能性がある点には注意しておきたい。
隣国のニュージーランド(NZ)でも9日にNZ準備銀行(RBNZ)の金融政策が公表される。こちらは、金利先物市場での0.25%利下げ織り込み度が15%程度となっており、昨年8月からの連続利下げも小休止となる見込みだ。政府との対立で突如辞任したオア前総裁の後を引き継いだホークスビー総裁も「金利は中立水準に近い」と言及しており、今回の声明文では先行きの金融政策方針に注目が集まるだろう。なお、金利先物市場では現在年内に1-2回程度の利下げを織り込んだ状態となっている。
南アフリカ・ランド(ZAR)は底堅い展開となりそうだ。国民統一政府(GNU)が民主同盟(DA)出身の副貿易相を解任したことを受けて、第2党のDAが政権から離脱するとの懸念が高まっていたが、現在は「連立政権の崩壊は避けられるだろう」との見方が広がっている。もっとも、第1党のアフリカ民族会議(ANC)とDAの関係は決して楽観視できる状態にはなく、今後も政局の不透明感は残り続けるだろう。一方で、南ア準備銀行(SARB)が近く、インフレ目標(3-6%)の引き下げを表明するなか、実質金利のプラス幅が維持されやすくなるとの思惑がZAR相場を支える構図も続いている。SARBによる正式な発表の際にはZARの反応にも注目しておきたい。
6月30日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円でともに底堅く推移。対円では週前半こそ伸び悩む動きとなっていたが、良好な米雇用統計の発表後にドル円が大きく上昇すると、豪ドル円もつれて上値を伸ばした。ZARも総じて堅調な動き。南ア国内の政局不安が意識される場面はあったものの、対ドルでは年初来の高値を更新する底堅い地合いが継続。対円でも3月以来の高値を更新した。(了)
(執筆:7月4日、9:30)
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DZH Finacial Research
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