市場見通し
◆ポンド、BOEは0.25%利下げ見込みも議事要旨に着目
◆加ドル、米加関係は中東情勢も絡み依然として先行き不透明
◆加ドル、6月貿易収支や7月雇用統計に注目
予想レンジ
ポンド円 197.50-202.50円
加ドル円 107.00-111.00円
8月4日週の展望
来週のポンドは、7日に英中銀(BOE)が公表する金融政策委員会(MPC)の結果に注目。市場は現行4.25%の政策金利を4.00%に引き下げると予想している。見込み通りであれば2会合ぶりの利下げ、水準も2023年2月以来(当時は金融引き締め局面)の低さだ。1年前から始まった緩和フェーズにおける引き下げ幅は、125ベーシスポイント(bp)となる。最近のベイリーBOE総裁のハト派コメントからしても、市場の織り込み通り、金利についてサプライズはないだろう。
着目すべきはMPC委員の投票行動。据え置きを決めた前回6月の会合では、リスク評価を続けるとして9人中6人が支持。残り3人の委員が0.25%の利下げを主張した。今回は逆に、何人が据え置きに固執するかがポイントとなる。特に、利下げした5月会合で据え置きをアピールしたピル委員は英中銀チーフエコノミストでもあるため、その行動は他委員よりも市場の関心を引きそうだ。またMPC議事要旨では、全体の金利先安観の強弱を確かめる必要がある。
加ドルは、依然として貿易問題を巡るカナダと米国の関係に注視。トランプ米大統領は先日、「パレスチナ独立を支持したカナダとは、貿易協定締結は非常に困難」と発言した。民主的改革の推進を条件に、カーニー加首相が9月にもパレスチナを国家として承認する方針を表明。カナダの動きは英仏に続くものであり、トランプ大統領が反対圧力を高めても、カーニー首相は引き下がらないだろう。そうなると、米加の溝はさらに広がってしまうことになる。
カナダ経済指標では、まず6月貿易収支に注目。トランプ米政権が高関税で世界に圧力をかけ始めた2月以降、カナダ貿易は赤字が続いている。4月は70億ドル超と過去最大の赤字幅を記録し、前回5月は輸出先の多角化から赤字額は縮小したが、それでも59億ドルと高水準だ。遅行指標ではあるものの、6月貿易収支の結果次第では、実需の加ドル売りが意識されそうだ。
週末に発表される7月カナダ雇用統計では、前回の改善が本物かを見定めることになる。6月分の新規雇用者数は8万人超の増加と、±ゼロの予想から大幅に上振れた。失業率も7%台への悪化見込みから6.9%まで改善した。7月は、新規雇用の多くが非常勤だったことの反動が懸念材料となっている。2025年上半期の雇用者数は、新型コロナ禍を除くと2018年以来の低い伸び率だった。下半期のスタートが弱いとなれば、まだ不確定とされる「年末までにカナダ中銀(BOC)が追加利下げに踏み切る」ことへの思惑が、今後は高まることになりそうだ。
7月28日週の回顧
ポンド円は週初の199円前半から失速し、一時197円割れまで下落。ドル高進行で、ポンドドルが1.34ドル前半から1.32ドル割れまで売られた影響を受けた。もっとも、植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示すと199円半ばまで切り返した。
加ドルは対円で107円前半を底に109円手前まで反発。対ドルでは1.36加ドル後半から1.38加ドル半ばまで加ドル安が進んだ。BOCの政策金利据え置きや声明に対する反応は限られ、円相場・ドル相場の流れに追随した。(了)
(執筆:8月1日、9:00)
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◆加ドル、米加関係は中東情勢も絡み依然として先行き不透明
◆加ドル、6月貿易収支や7月雇用統計に注目
予想レンジ
ポンド円 197.50-202.50円
加ドル円 107.00-111.00円
8月4日週の展望
来週のポンドは、7日に英中銀(BOE)が公表する金融政策委員会(MPC)の結果に注目。市場は現行4.25%の政策金利を4.00%に引き下げると予想している。見込み通りであれば2会合ぶりの利下げ、水準も2023年2月以来(当時は金融引き締め局面)の低さだ。1年前から始まった緩和フェーズにおける引き下げ幅は、125ベーシスポイント(bp)となる。最近のベイリーBOE総裁のハト派コメントからしても、市場の織り込み通り、金利についてサプライズはないだろう。
着目すべきはMPC委員の投票行動。据え置きを決めた前回6月の会合では、リスク評価を続けるとして9人中6人が支持。残り3人の委員が0.25%の利下げを主張した。今回は逆に、何人が据え置きに固執するかがポイントとなる。特に、利下げした5月会合で据え置きをアピールしたピル委員は英中銀チーフエコノミストでもあるため、その行動は他委員よりも市場の関心を引きそうだ。またMPC議事要旨では、全体の金利先安観の強弱を確かめる必要がある。
加ドルは、依然として貿易問題を巡るカナダと米国の関係に注視。トランプ米大統領は先日、「パレスチナ独立を支持したカナダとは、貿易協定締結は非常に困難」と発言した。民主的改革の推進を条件に、カーニー加首相が9月にもパレスチナを国家として承認する方針を表明。カナダの動きは英仏に続くものであり、トランプ大統領が反対圧力を高めても、カーニー首相は引き下がらないだろう。そうなると、米加の溝はさらに広がってしまうことになる。
カナダ経済指標では、まず6月貿易収支に注目。トランプ米政権が高関税で世界に圧力をかけ始めた2月以降、カナダ貿易は赤字が続いている。4月は70億ドル超と過去最大の赤字幅を記録し、前回5月は輸出先の多角化から赤字額は縮小したが、それでも59億ドルと高水準だ。遅行指標ではあるものの、6月貿易収支の結果次第では、実需の加ドル売りが意識されそうだ。
週末に発表される7月カナダ雇用統計では、前回の改善が本物かを見定めることになる。6月分の新規雇用者数は8万人超の増加と、±ゼロの予想から大幅に上振れた。失業率も7%台への悪化見込みから6.9%まで改善した。7月は、新規雇用の多くが非常勤だったことの反動が懸念材料となっている。2025年上半期の雇用者数は、新型コロナ禍を除くと2018年以来の低い伸び率だった。下半期のスタートが弱いとなれば、まだ不確定とされる「年末までにカナダ中銀(BOC)が追加利下げに踏み切る」ことへの思惑が、今後は高まることになりそうだ。
7月28日週の回顧
ポンド円は週初の199円前半から失速し、一時197円割れまで下落。ドル高進行で、ポンドドルが1.34ドル前半から1.32ドル割れまで売られた影響を受けた。もっとも、植田日銀総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示すと199円半ばまで切り返した。
加ドルは対円で107円前半を底に109円手前まで反発。対ドルでは1.36加ドル後半から1.38加ドル半ばまで加ドル安が進んだ。BOCの政策金利据え置きや声明に対する反応は限られ、円相場・ドル相場の流れに追随した。(了)
(執筆:8月1日、9:00)
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DZH Finacial Research
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