市場見通し
◆豪ドル、日米金融政策を受けた動きに
◆豪ドル、4-6月期CPIの鈍化で利下げの可能性高まる
◆ZAR、SARBは0.25%の利下げを決定
予想レンジ
豪ドル円 94.00-98.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
8月4日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通りの金利据え置きと2名の理事から反対票が投じられたことが明らかになったが、その後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例記者会見は、市場では「タカ派」的な内容と受け止められた。日銀も予想通りの金利据え置きを決めたほか、植田日銀総裁の会見は利上げを急いでいないと印象付ける内容だった。日米の金融政策を手掛かりに、市場全般の方向性は円安・ドル高へと傾くと予想され、豪ドルも対ドル・対円で影響を受けることになるだろう。また、豪州では金利先安観が高まっており、しばらくは豪ドルが戻り売りに押されやすい展開となることも考慮しておきたい。
今週発表された注目の4−6月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%の上昇と前期の2.4%からインフレ鈍化が確認されたほか、豪準備銀行(RBA)が重視しているトリム平均も前年比2.7%と2021年10-12月期以来の低水準となった。RBAのインフレ目標である2-3%の範囲内に2四半期連続で収まっており、市場では次回(8月11-12日)理事会での0.25%利下げが既定路線となりつつある。今後、RBAが金融緩和ペースを速めるかの判断は次回理事会での声明文を待つ必要があるが、当面は金利先安観が重しとして意識されやすい状況が続くだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開となりそうだ。今週開催された南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)では全会一致で0.25%の利下げを決定。クガニャゴSARB総裁は会見で「現在のインフレ目標(3-6%)の下限を目指す」との見解を示した。SARBと財務省が検討中のインフレ目標引き下げは正式発表こそなかったものの、実質的にSARBのインフレ目標は3%になったと考えてもよい。SARB総裁は「これにより金融政策余地が拡大する」と説明しているが、市場では現状の緩和サイクルは終了が近いと見ており、今回の決定に対する反応が注目される。
なお、南アフリカと米国間では期日となる8月1日を迎えたが関税交渉は合意に至らず、南アフリカから米国向けの輸入品に対して30%の関税が賦課されることが発表された。両国間の関係が冷え込んでいたこともあって今回の結果はサプライズではないが、すでに今年の米国向け自動車輸出が前年比で5分の1程度まで急減したとの報道もあり、関税の影響がさらに顕在化した際にはZAR相場にとっても懸念材料となりそうだ。
7月28日週の回顧
豪ドルは対ドルで軟調に推移。FOMC 後は全般にドル買いが強まった影響もあり、週末にかけて0.64ドル台前半まで値を下げた。一方、対円ではドル円が上昇した影響も受けたため、方向感に乏しかった。ZARは対ドルで5月以来の水準まで売りに押され、対円でも8.2円台でやや上値の重さが目立つ動きとなった。(了)
(執筆:8月1日、9:00)
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本ホームページに掲載されている事項は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資の勧誘を目的としたものではありません。投資方針、投資タイミング等は、ご自身の責任において判断してください。本サービスの情報に基づいて行った取引のいかなる損失についても、当社は一切の責を負いかねますのでご了承ください。また、当社は、当該情報の正確性および完全性を保証または約束するものでなく、今後、予告なしに内容を変更または廃止する場合があります。なお、当該情報の欠落・誤謬等につきましてもその責を負いかねますのでご了承ください。
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◆豪ドル、4-6月期CPIの鈍化で利下げの可能性高まる
◆ZAR、SARBは0.25%の利下げを決定
予想レンジ
豪ドル円 94.00-98.00円
南ア・ランド円 8.00-8.40円
8月4日週の展望
豪ドルは上値の重い動きとなりそうだ。今週開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では市場予想通りの金利据え置きと2名の理事から反対票が投じられたことが明らかになったが、その後のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の定例記者会見は、市場では「タカ派」的な内容と受け止められた。日銀も予想通りの金利据え置きを決めたほか、植田日銀総裁の会見は利上げを急いでいないと印象付ける内容だった。日米の金融政策を手掛かりに、市場全般の方向性は円安・ドル高へと傾くと予想され、豪ドルも対ドル・対円で影響を受けることになるだろう。また、豪州では金利先安観が高まっており、しばらくは豪ドルが戻り売りに押されやすい展開となることも考慮しておきたい。
今週発表された注目の4−6月期消費者物価指数(CPI)は前年比2.1%の上昇と前期の2.4%からインフレ鈍化が確認されたほか、豪準備銀行(RBA)が重視しているトリム平均も前年比2.7%と2021年10-12月期以来の低水準となった。RBAのインフレ目標である2-3%の範囲内に2四半期連続で収まっており、市場では次回(8月11-12日)理事会での0.25%利下げが既定路線となりつつある。今後、RBAが金融緩和ペースを速めるかの判断は次回理事会での声明文を待つ必要があるが、当面は金利先安観が重しとして意識されやすい状況が続くだろう。
南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩む展開となりそうだ。今週開催された南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)では全会一致で0.25%の利下げを決定。クガニャゴSARB総裁は会見で「現在のインフレ目標(3-6%)の下限を目指す」との見解を示した。SARBと財務省が検討中のインフレ目標引き下げは正式発表こそなかったものの、実質的にSARBのインフレ目標は3%になったと考えてもよい。SARB総裁は「これにより金融政策余地が拡大する」と説明しているが、市場では現状の緩和サイクルは終了が近いと見ており、今回の決定に対する反応が注目される。
なお、南アフリカと米国間では期日となる8月1日を迎えたが関税交渉は合意に至らず、南アフリカから米国向けの輸入品に対して30%の関税が賦課されることが発表された。両国間の関係が冷え込んでいたこともあって今回の結果はサプライズではないが、すでに今年の米国向け自動車輸出が前年比で5分の1程度まで急減したとの報道もあり、関税の影響がさらに顕在化した際にはZAR相場にとっても懸念材料となりそうだ。
7月28日週の回顧
豪ドルは対ドルで軟調に推移。FOMC 後は全般にドル買いが強まった影響もあり、週末にかけて0.64ドル台前半まで値を下げた。一方、対円ではドル円が上昇した影響も受けたため、方向感に乏しかった。ZARは対ドルで5月以来の水準まで売りに押され、対円でも8.2円台でやや上値の重さが目立つ動きとなった。(了)
(執筆:8月1日、9:00)
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DZH Finacial Research
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