週間為替展望(ポンド/加ドル)-ポンド、GDPや雇用データに注目

市場見通し
◆英中銀、タカ派的な利下げを決定
◆ポンド、第2四半期GDPや4-6月雇用データに注目
◆加ドル、加中銀の利下げ観測や米加交渉の難航が重し

予想レンジ
ポンド円 195.00-200.00円
加ドル円 105.50-109.50円

8月11日週の展望
 今週、イングランド銀行(英中銀、BOE)は市場予想通りに政策金利を4.25%から4.00%への引き下げを決定した。市場は7対2での利下げを見込んでいたが、5対4と僅差の決定となった。また、金融政策員会(MPC)では史上初めて2回の投票を実施した。1回目でテイラー委員が0.50%利下げを主張。据置きと0.25%の利下げが同数となり、再投票となった。インフレ懸念から4人が据置きを主張したのは、インフレ見通しに対する両面のリスクと政策運営での不確実性を反映している。ベイリーBOE総裁は「今後の利下げは緩やかに、慎重に行う必要がある」と述べた。

 なお、来週は第2四半期GDPや4-6月雇用データの発表が予定されている。最近の英経済指標は景気鈍化への懸念を強める結果がやや目立ち、賃金の鈍化も示されているが、BOEが警戒するインフレ高を裏付ける結果となれば、追加利下げの思惑はいったん後退しそうだ。また、リーブス英財務相は今年秋の予算編成で大幅な増税、歳出削減、財政規則の修正という難しい対応に迫られており、英財政不安が再び話題に上がる可能性もある。

 加ドルについては、来週、6月住宅建設許可件数や6月卸売売上高、6月製造業出荷などの指標発表が予定されているが、予想や前月との乖離が大きくなければ反応は限定的にとどまるだろう。加ドルは基本、米ドルに左右されながら米加関税交渉に注目することになる。両国は米国が設定した1日の期限までに合意できず協議は継続している。米政権は7月下旬にカナダからの一部輸入品への関税率を3月に導入した25%から35%に引き上げた。ただ、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基準に適合するカナダからの輸入品は新たな関税の対象外とされており、この関税方針によると、米国の対カナダ実効関税率は従来の5%前後から6-7%に上昇する見込みだ。

 カナダ中銀(BOC)は7月末に3会合連続で政策金利を2.75%に据え置くことを決定したが、今後の利下げに含みをもたせた。また、関税の不確実性から2四半期連続でカナダ経済の詳細な見通しの公表を見送っており、米加交渉の結果がBOCの政策決定に大きな影響を与えることになる。カーニー加首相は対米報復関税の一部を撤廃するかどうか検討する考えを示しているが、4月の総選挙では対米強硬路線を掲げ、与党・自由党を勝利に導いた。トランプ米政権への強硬姿勢を維持しつつ、国内経済への打撃を最小限に抑えようとする難しい立場を浮き彫りにしている。

8月4日週の回顧
 ポンドは底堅い動き。BOEの政策発表後にポンド買いで反応し、ポンドドルは1.34ドル台半ばまで急伸。ポンド円は198円近辺まで持ち直した。ドル/加ドルは1.37加ドル台を中心に狭いレンジ内で上下。加ドル円は107円を挟んでの小動きに始終した。先週末からドルのさえない動きが続いていることが加ドルの下支えとなるも、加ドルもBOCの追加利下げ観測や原油安が上値を圧迫する要因となり、方向感は出ていない。(了)

(執筆:8月8日、9:00)


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