週間為替展望(ドル/ユーロ)-次期FRB議長人事や米7月CPI見極め

市場見通し
◆ドル円、次期FRB議長人事や米7月CPIなどを見極め
◆日本の4-6月期GDP速報値、相互関税率や政局の行方にも注目
◆ユーロドル、8月独ZEW景況指数や6月ユーロ圏鉱工業生産などに注意

予想レンジ
ドル円   145.00-150.00円
ユーロドル 1.1350-1.1850ドル

8月11日週の展望
 ドル円は、次期FRB議長の人選などに注目しながら、7月の消費者物価指数(CPI)や財政収支、小売売上高、8月のミシガン大学消費者信頼感指数での1年先のインフレ期待などを見極めていくことになる。

 8日に辞任したクーグラーFRB理事の後任には、「マールアラーゴ合意」と警戒されたドル安政策を提唱しているミラン米CEA委員長が暫定理事に指名された。次期FRB議長には、7月のFOMCで利下げを主張したウォラーFRB理事が有力視されており、「影のFRB議長」として今後のFOMCでの利下げ圧力を強めるのとの警戒感も高まっている。関連するヘッドラインには警戒しておきたい。

 また、11日に米下院監視委員会は、性的搾取目的の人身取引などの罪で起訴された故エプスタイン元被告を巡る疑惑で、マックスウェル受刑者の証言を求めている。さらにビル・クリントン元大統領と妻のヒラリー・クリントン元国務長官らにも宣誓証言を求める召喚状を出しており、政治的な動きにも注意が必要だろう。トランプ米大統領がエプスタイン・ファイルを公開しないため、強力な支持基盤である「MAGA(米国を再び偉大に)」派が批判を強めており、来年の中間選挙に向けて米国内では予断を許さない状況となりつつある。

 日本国内では、8日開催の自民党両院議員総会を受けた石破首相の進退問題に注目が集まっているほか、4−6月期GDP速報値に注意している。石破首相辞任ならば、次期政権への期待感から、日本株高・円安が見込まれている。また、GDPの数字次第では、日銀の早期利上げ観測に影響することになるだろう。さらに、日米間で認識の齟齬が生じている米相互関税の行方にも警戒しておきたい。

 ユーロドルは、米国と欧州連合(EU)との関税合意による欧州の景況感悪化懸念から上値が重い展開が予想されるものの、FOMCの利下げ観測が下支えする展開が予想される。独8月ZEW景況指数やユーロ圏6月の鉱工業生産などを見極めながら、ECBの追加利下げ時期を探ることになる。

8月4日週の回顧
 ドル円は、1日に発表された7月米雇用統計で、過去2カ月分が大幅な下方修正となったことを受けて急落。週明けから戻りの鈍い動きとなった。市場では年内3回の利下げ観測も台頭するなか、一時146.62円まで下落。その後は本邦実需の買いなどから147.89円まで買い戻されたものの、クーグラーFRB理事の後任にミラン米CEA委員長が指名されたことから再び146円台まで値を下げている。ユーロドルは1.1528ドルまで下落した後、1.1669ドルまで買い戻された。また、ユーロ円は169.82円まで下落後、172.17円まで反発している。(了)


(執筆:8月8日、9:00)


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