市場見通し
◆ポンド、金利見通しに変化あるか英インフレ指標を見極め
◆ポンド、PMIや小売売上高など景気指標にも注目
◆加ドル、7月CPIを確認するほか米加貿易交渉の行方も重要
予想レンジ
ポンド円 197.50-202.50円
加ドル円 105.00-109.00円
8月18日週の展望
ポンド相場は、7日に英中銀(BOE)が決定した「タカ派的な利下げ」の影響が残っている。英金利先安観が後退するなか、来週は英国の7月インフレ指標を見極める必要がある。また、8月購買担当者景気指数(PMI)や7月小売売上高などの景気指標にも注目。
7月CPIは、物価上昇の勢いに落ち着きが戻るかが焦点だろう。前回6月分は前年比3.6%と市場予想を上回り、2024年1月以来の高い水準を記録。輸送コストの上昇がインフレ押し上げの主要因とされた。英中銀が重視するサービス価格インフレ率も前年比4.7%と高止まり。今週発表の雇用データでも4−6月平均賃金(除くボーナス)は、前年比5.0%と高い伸び率が維持されている。英中銀チーフエコノミストのピルMPC(金融政策委員会)委員は前回会合後、「インフレ率の上昇が長期的な経済行動の変化を伴う場合」との条件を付けながらも、「利下げ先送りはあり得る」という見解を示した。CPIの結果次第では、ピル委員の見方が優勢になるかもしれない。
また、8月PMIは、改善基調の製造業が景況判断の境目50に近づくか、サービス部門は4カ月連続の50超えとなるかがポイント。また7月小売売上高は、プラスを回復した前回の流れが続くか注目したい。今週発表された第2四半期国内総生産(GDP)は予想より強い結果だったこともあり、足元の景気の良さが確認できれば、ポンドの底堅さに繋がるだろう。
加ドルは、米・カナダ貿易交渉の行方は重要だが、まず来週前半の7月カナダCPIを見定めたい。前回6月分は前年比1.9%と5月から0.2%加速したが、カナダ中銀(BOC)のインフレ目標2%付近を3カ月連続で下回った。次回BOC会合の前に8月CPIが発表されるため、金融政策決定の材料は残されている。とはいえ、今回もインフレ圧力が高まらないとなれば、前回会合で含みを持たせた「今後の利下げ」が意識されるだろう。もちろん、BOCが重視するコアインフレ指標(CPI中央値とCPIトリム)も精査する必要がある。
また、カナダと米国の貿易交渉については、執筆時点では大きな進展はみられない。「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基準に適合する加製品は新たな関税の対象外」としているからか、トランプ米政権は対加交渉を優先事項としていない可能性がある。いずれにせよ、カーニー加首相が目指す8月末までの貿易合意に向けて、関連報道には注意し続ける必要があるだろう。
8月11日週の回顧
ポンドは前週の英金融政策後の買いの流れが続き、対円では昨年7月以来の高値圏となる200円前半、対ドルでは1.36ドル手前まで上げ幅を拡大した。ベッセント米財務長官の発言をきっかけに「日銀の利上げ観測」が高まった場面でも、円買い戻しは198円半ばまでに留まった。
加ドルは対円で一時106円前半まで下値を広げた。中国が「加産キャノーラに75.8%の反ダンピング関税を課す」と発表したことが加ドル売りを誘い、日銀追加利上げへの警戒感から円買いが進んだ。対ドルでは1.37加ドル半ばから1.38加ドル前半まで加ドル安に振れた。(了)
(執筆:8月15日、9:00)
(岩間)
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◆ポンド、PMIや小売売上高など景気指標にも注目
◆加ドル、7月CPIを確認するほか米加貿易交渉の行方も重要
予想レンジ
ポンド円 197.50-202.50円
加ドル円 105.00-109.00円
8月18日週の展望
ポンド相場は、7日に英中銀(BOE)が決定した「タカ派的な利下げ」の影響が残っている。英金利先安観が後退するなか、来週は英国の7月インフレ指標を見極める必要がある。また、8月購買担当者景気指数(PMI)や7月小売売上高などの景気指標にも注目。
7月CPIは、物価上昇の勢いに落ち着きが戻るかが焦点だろう。前回6月分は前年比3.6%と市場予想を上回り、2024年1月以来の高い水準を記録。輸送コストの上昇がインフレ押し上げの主要因とされた。英中銀が重視するサービス価格インフレ率も前年比4.7%と高止まり。今週発表の雇用データでも4−6月平均賃金(除くボーナス)は、前年比5.0%と高い伸び率が維持されている。英中銀チーフエコノミストのピルMPC(金融政策委員会)委員は前回会合後、「インフレ率の上昇が長期的な経済行動の変化を伴う場合」との条件を付けながらも、「利下げ先送りはあり得る」という見解を示した。CPIの結果次第では、ピル委員の見方が優勢になるかもしれない。
また、8月PMIは、改善基調の製造業が景況判断の境目50に近づくか、サービス部門は4カ月連続の50超えとなるかがポイント。また7月小売売上高は、プラスを回復した前回の流れが続くか注目したい。今週発表された第2四半期国内総生産(GDP)は予想より強い結果だったこともあり、足元の景気の良さが確認できれば、ポンドの底堅さに繋がるだろう。
加ドルは、米・カナダ貿易交渉の行方は重要だが、まず来週前半の7月カナダCPIを見定めたい。前回6月分は前年比1.9%と5月から0.2%加速したが、カナダ中銀(BOC)のインフレ目標2%付近を3カ月連続で下回った。次回BOC会合の前に8月CPIが発表されるため、金融政策決定の材料は残されている。とはいえ、今回もインフレ圧力が高まらないとなれば、前回会合で含みを持たせた「今後の利下げ」が意識されるだろう。もちろん、BOCが重視するコアインフレ指標(CPI中央値とCPIトリム)も精査する必要がある。
また、カナダと米国の貿易交渉については、執筆時点では大きな進展はみられない。「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の基準に適合する加製品は新たな関税の対象外」としているからか、トランプ米政権は対加交渉を優先事項としていない可能性がある。いずれにせよ、カーニー加首相が目指す8月末までの貿易合意に向けて、関連報道には注意し続ける必要があるだろう。
8月11日週の回顧
ポンドは前週の英金融政策後の買いの流れが続き、対円では昨年7月以来の高値圏となる200円前半、対ドルでは1.36ドル手前まで上げ幅を拡大した。ベッセント米財務長官の発言をきっかけに「日銀の利上げ観測」が高まった場面でも、円買い戻しは198円半ばまでに留まった。
加ドルは対円で一時106円前半まで下値を広げた。中国が「加産キャノーラに75.8%の反ダンピング関税を課す」と発表したことが加ドル売りを誘い、日銀追加利上げへの警戒感から円買いが進んだ。対ドルでは1.37加ドル半ばから1.38加ドル前半まで加ドル安に振れた。(了)
(執筆:8月15日、9:00)
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DZH Finacial Research
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