市場見通し
◆来週も日米金融政策見通しに絡んだドルや円の動きに左右
◆ポンド、BOE会合前の雇用・物価データに注目
◆加ドル、米加金融政策見通しの格差が支えに
予想レンジ
ポンド円 205.00-210.00円
加ドル円 111.50-114.50円
12月15日週の展望
来週のポンド相場は、日銀金融政策決定会合での利上げが9割程度織り込まれているものの、市場では「ハト派利上げ」が警戒されており、予想通りの結果だったとしても、植田日銀総裁の会見内容次第では円相場に大きく振らされる可能性がある。また、今週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を消化したものの、来週は米国で11月雇用統計・消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。結果次第では、目先の金融政策見通しに影響を与える可能性があるだけに、来週も日米金融政策見通しに絡んだ動きが為替相場を左右しそうだ。
イングランド銀行(英中銀、BOE)も18日に政策金利を発表する予定だが、市場は0.25%の利下げを織り込んでいる。来年に関しては、第1四半期に少なくとも0.25%の追加利下げを実施するとの意見と、利下げはいったん見送るとの意見で見方は分かれており、引き続き、インフレ、労働市場の動向を見極めることになる。
BOEは11月会合で5対4の僅差で金利の据え置きを決定したが、金融政策委員会(MPC)メンバーの直近の発言からは依然として意見が分かれていることが伺える。その意味でも、来週の会合前に予定されている16日の8-10月賃金データや12月製造業・サービス部門PMI速報値と17日の11月CPIに注目。政策の判断に大きく影響を与えるだけに、指標結果には神経質とならざるを得ないだろう。
なお、今週は11月会合で金利据え置きを支持したロンバルデリBOE副総裁は「インフレ上振れリスクをより懸念している」と述べ、利下げ局面は終わりに近づいている可能性があるとの見方を示した。一方、利下げを主張したラムスデンBOE副総裁は「インフレ率が中銀の予想通りに低下しないことを示す証拠は見当たらない」とし、政策抑制を段階的に解除することが依然として適切との見解を示している。
加ドルは11月CPIに注目するも、今週に米加金融政策イベントを終え、政策見通しの対ドルでの下支えとなりそうだ。今週、カナダ中銀(BOC)は予想通りに政策金利を2.25%に据え置いた。また、米貿易政策の影響に対し「カナダ経済は総じて底堅い」との見方を示し、「現在の政策金利が経済を支えつつインフレ率を2%近くに抑えるのにほぼ適切な水準にある」と強調した。ただ、「関税の影響は経済全体にまだ完全に波及せず、不確実性は依然として高い」と指摘した。
市場の一部では利下げサイクルは終わり、来年は利上げを視野に入れる可能性もあるとの見方が出ている。10月CPIは前年比2.2%と前月から伸びが鈍化したが、BOCは「今後数カ月間にインフレ率が不安定になり、短期的にはインフレ率が一時的に上昇する」との見通しを示している。
12月8日週の回顧
今週はFOMCでの利下げを受けてドルが全般重い動き。ポンドドルは一時1.34ドル台までじり高となったほか、ドル/加ドルは1.37加ドル半ばまでドル安・加ドル高に振れた。対円では勢いこそ緩むも円安圧力が継続。ポンド円は一時2008年8月以来の高値水準となる208円後半、加ドル円は一時2024年7月以来の高値水準となる113円台まで上昇した。(了)
(執筆:12月12日、9:00)
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◆ポンド、BOE会合前の雇用・物価データに注目
◆加ドル、米加金融政策見通しの格差が支えに
予想レンジ
ポンド円 205.00-210.00円
加ドル円 111.50-114.50円
12月15日週の展望
来週のポンド相場は、日銀金融政策決定会合での利上げが9割程度織り込まれているものの、市場では「ハト派利上げ」が警戒されており、予想通りの結果だったとしても、植田日銀総裁の会見内容次第では円相場に大きく振らされる可能性がある。また、今週に米連邦公開市場委員会(FOMC)を消化したものの、来週は米国で11月雇用統計・消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。結果次第では、目先の金融政策見通しに影響を与える可能性があるだけに、来週も日米金融政策見通しに絡んだ動きが為替相場を左右しそうだ。
イングランド銀行(英中銀、BOE)も18日に政策金利を発表する予定だが、市場は0.25%の利下げを織り込んでいる。来年に関しては、第1四半期に少なくとも0.25%の追加利下げを実施するとの意見と、利下げはいったん見送るとの意見で見方は分かれており、引き続き、インフレ、労働市場の動向を見極めることになる。
BOEは11月会合で5対4の僅差で金利の据え置きを決定したが、金融政策委員会(MPC)メンバーの直近の発言からは依然として意見が分かれていることが伺える。その意味でも、来週の会合前に予定されている16日の8-10月賃金データや12月製造業・サービス部門PMI速報値と17日の11月CPIに注目。政策の判断に大きく影響を与えるだけに、指標結果には神経質とならざるを得ないだろう。
なお、今週は11月会合で金利据え置きを支持したロンバルデリBOE副総裁は「インフレ上振れリスクをより懸念している」と述べ、利下げ局面は終わりに近づいている可能性があるとの見方を示した。一方、利下げを主張したラムスデンBOE副総裁は「インフレ率が中銀の予想通りに低下しないことを示す証拠は見当たらない」とし、政策抑制を段階的に解除することが依然として適切との見解を示している。
加ドルは11月CPIに注目するも、今週に米加金融政策イベントを終え、政策見通しの対ドルでの下支えとなりそうだ。今週、カナダ中銀(BOC)は予想通りに政策金利を2.25%に据え置いた。また、米貿易政策の影響に対し「カナダ経済は総じて底堅い」との見方を示し、「現在の政策金利が経済を支えつつインフレ率を2%近くに抑えるのにほぼ適切な水準にある」と強調した。ただ、「関税の影響は経済全体にまだ完全に波及せず、不確実性は依然として高い」と指摘した。
市場の一部では利下げサイクルは終わり、来年は利上げを視野に入れる可能性もあるとの見方が出ている。10月CPIは前年比2.2%と前月から伸びが鈍化したが、BOCは「今後数カ月間にインフレ率が不安定になり、短期的にはインフレ率が一時的に上昇する」との見通しを示している。
12月8日週の回顧
今週はFOMCでの利下げを受けてドルが全般重い動き。ポンドドルは一時1.34ドル台までじり高となったほか、ドル/加ドルは1.37加ドル半ばまでドル安・加ドル高に振れた。対円では勢いこそ緩むも円安圧力が継続。ポンド円は一時2008年8月以来の高値水準となる208円後半、加ドル円は一時2024年7月以来の高値水準となる113円台まで上昇した。(了)
(執筆:12月12日、9:00)
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DZH Finacial Research
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