市場見通し
◆ドル円、日銀の「金融政策決定会合(18-19日)における主な意見」を見極め
◆米連邦最高裁でのトランプ関税への判決や中国の対日制裁強化などにも注意
◆ユーロドル、ウクライナ停戦やグリーンランドを巡る協議の行方に注目
予想レンジ
ドル円 153.50-158.50円
ユーロドル 1.1600-1.1900ドル
12月29日週の展望
29日早朝に日銀が「金融政策決定会合(18-19日分)における主な意見」を公表するが、中立金利水準に向けた追加利上げの条件やスケジュール感、ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)に関する見解などを探ることになりそうだ。植田日銀総裁は会合後の会見で「中立金利などの推計はばらつきがあり前もっての特定は難しい」との見解を示しているが、今後の政策を占う上でも、審議委員からどのような発言があったかなどを確認する必要がある。
ドル円は、高市政権の下での財政悪化懸念や日銀の早期追加利上げ観測の後退などから年初来高値を突破する可能性が高まりつつあるが、ドル高・円安は物価高抑制を標榜している高市政権にとっては輸入物価高となるため望ましくなく、トランプ米政権にとっても対日貿易赤字を拡大させる可能性が高まることから望まれていない。市場では、片山財務相の介入示唆を受けて本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や米財務省が公表予定の「外国為替報告書」でのドル高・円安をけん制する文言などに警戒しておきたいところだ。
米国では、30日にFOMC議事要旨(9-10日分)が公表されるが、物価見通しや雇用情勢などへの見解も含めて、ややタカ派的な利下げとなった背景を探ることになる。FOMCでは0.25%の利下げを9対3で決定したほか、「経済・金利見通し」のドット・プロットでは、2026年、2027年ともに1回の利下げ水準が中央値となった。
また、来週はトランプ関税に対する米連邦最高裁による判決も予想されるが、違憲判断となった場合、トランプ米政権は代替策も準備している模様。代替案も含め、関税が違憲のため撤回される場合など、米政府の対応次第では相場が動意づく可能性が高い。さらに、引き続き中国がレアアース(希土類)禁輸措置などの対日強硬策を打ち出す可能性にも注意しておきたい。
ユーロドルは、ウクライナ和平協議やグリーンランドを巡る欧米の対立などに注目していくことになる。また、フランス議会は2026年予算案の合意に至らず、政府閉鎖を回避するための緊急立法措置が講じられたため、政権崩壊リスクは来年に先送りされた。ルコルニュ仏首相が強行採決に踏み切った場合、不信任案が出される可能性が警戒されている。
12月22日週の回顧
ドル円は、片山財務相が「介入はフリーハンド」などと円安を強くけん制。介入を示唆したことから戻り売りが強まる展開に。一時155.56円まで値を下げた。その後は市場がクリスマス休暇に入るなか156.49円まで買い戻されている。ユーロドルは、ドル円の下落につれて一時1.1808ドルまで値を上げる場面もみられたものの、その後は市場がクリスマス休暇に入ったこともあり、小動き。もみ合いが続いている。(了)
(執筆:12月26日、9:00)
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◆米連邦最高裁でのトランプ関税への判決や中国の対日制裁強化などにも注意
◆ユーロドル、ウクライナ停戦やグリーンランドを巡る協議の行方に注目
予想レンジ
ドル円 153.50-158.50円
ユーロドル 1.1600-1.1900ドル
12月29日週の展望
29日早朝に日銀が「金融政策決定会合(18-19日分)における主な意見」を公表するが、中立金利水準に向けた追加利上げの条件やスケジュール感、ターミナルレート(政策金利の最終到達水準)に関する見解などを探ることになりそうだ。植田日銀総裁は会合後の会見で「中立金利などの推計はばらつきがあり前もっての特定は難しい」との見解を示しているが、今後の政策を占う上でも、審議委員からどのような発言があったかなどを確認する必要がある。
ドル円は、高市政権の下での財政悪化懸念や日銀の早期追加利上げ観測の後退などから年初来高値を突破する可能性が高まりつつあるが、ドル高・円安は物価高抑制を標榜している高市政権にとっては輸入物価高となるため望ましくなく、トランプ米政権にとっても対日貿易赤字を拡大させる可能性が高まることから望まれていない。市場では、片山財務相の介入示唆を受けて本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性や米財務省が公表予定の「外国為替報告書」でのドル高・円安をけん制する文言などに警戒しておきたいところだ。
米国では、30日にFOMC議事要旨(9-10日分)が公表されるが、物価見通しや雇用情勢などへの見解も含めて、ややタカ派的な利下げとなった背景を探ることになる。FOMCでは0.25%の利下げを9対3で決定したほか、「経済・金利見通し」のドット・プロットでは、2026年、2027年ともに1回の利下げ水準が中央値となった。
また、来週はトランプ関税に対する米連邦最高裁による判決も予想されるが、違憲判断となった場合、トランプ米政権は代替策も準備している模様。代替案も含め、関税が違憲のため撤回される場合など、米政府の対応次第では相場が動意づく可能性が高い。さらに、引き続き中国がレアアース(希土類)禁輸措置などの対日強硬策を打ち出す可能性にも注意しておきたい。
ユーロドルは、ウクライナ和平協議やグリーンランドを巡る欧米の対立などに注目していくことになる。また、フランス議会は2026年予算案の合意に至らず、政府閉鎖を回避するための緊急立法措置が講じられたため、政権崩壊リスクは来年に先送りされた。ルコルニュ仏首相が強行採決に踏み切った場合、不信任案が出される可能性が警戒されている。
12月22日週の回顧
ドル円は、片山財務相が「介入はフリーハンド」などと円安を強くけん制。介入を示唆したことから戻り売りが強まる展開に。一時155.56円まで値を下げた。その後は市場がクリスマス休暇に入るなか156.49円まで買い戻されている。ユーロドルは、ドル円の下落につれて一時1.1808ドルまで値を上げる場面もみられたものの、その後は市場がクリスマス休暇に入ったこともあり、小動き。もみ合いが続いている。(了)
(執筆:12月26日、9:00)
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DZH Finacial Research
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