July 5, 2023
【前日の為替概況】ドル円、144円台で上下 ユーロドルは1.08ドル後半まで下押す
4日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。
終値は144.47円と前営業日NY終値(144.68円)と比べて21銭程度のドル安水準だった。
原油先物相場の上昇を背景に対資源国通貨中心にドル安が進むと、円に対してもドル売りが先行。
23時30分過ぎに一時144.21円と日通し安値を付けた。
ただ、独立記念日の祝日で米国市場が休場となる中、一本調子で下落する展開にはならなかった。
前日の安値143.99円がサポートとして意識されると144.54円付近まで下げ渋った。
ユーロドルは3営業日ぶりに反落。
終値は1.0879ドルと前営業日NY終値(1.0912ドル)と比べて0.0033ドル程度のユーロ安水準だった。
米国市場が休場となる中、新規材料難から大きな方向感は出なかったが、取引終了間際に一時本日安値となる1.0877ドルまで下押しする場面があった。
なお、市場では「米国市場が休場だったうえ、週末には6月米雇用統計が控えていることもあって、様子見ムードが広がっている」との声が聞かれた。
ユーロ円も3日ぶりに反落。
終値は157.17円と前営業日NY終値(157.89円)と比べて72銭程度のユーロ安水準。
ドル円の下落につれた売りが先行したあとはユーロドルの失速に伴う売りが出て、取引終了間際に一時157.14円と日通し安値を付けた。
【本日の東京為替見通し】ドル円、円買い介入警戒とYCCの早期修正論が上値を抑制か
本日の東京外国為替市場のドル円は、145円台での本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感から上値が重い展開が予想される。
神田財務官は、昨日、「為替に関し、米国と様々な意思疎通を行っている」と述べ、鈴木財務相も「財務官レベルで米国と緊密に連携を図っていることは事実」と述べていた。
昨年秋のドル売り・円買い介入の時は、イエレン米財務長官が東京からの事前の連絡がなかった、と述べていたことに配慮した緊密な連携かもしれず、注意しておきたい。
なお本邦通貨当局の為替介入は、「注視、適切な措置」という口先介入は、警告の段階であり、「断固たる措置」になれば、介入断行の段階となる。
ドル円は、7月25-26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の第11次の追加利上げ、そして、年内もう1回の0.25%の利上げ観測を背景に144円台で底堅い展開だ。
しかしながら、145円以上のドル買い進めるには、米10年債利回りが3.8%台で伸び悩んでいることや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入への警戒感などが立ちはだかっている。
さらに、6月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の早期修正論が取り上げられたことにで、7月27-28日の日銀金融政策決定会合でのYCC許容変動幅の拡大観測が台頭している。
植田日銀総裁が明確に否定していないことも、円売りへの壁となっているか。
一方で、財務省は昨日、同日入札する10年物国債の表面利率を、6月入札までの0.5%から0.4%に引き下げると発表した。
海外投資家による日本国債(JGB)売り、いわゆる「YCCアタック」が鎮静化し、市場実勢利回りが0.4%程度で推移していることを反映した措置とのことらしい。
昨年10月21日の高値151.95円(※米10年債利回りは4.335%)から今年1月の安値127.23円までの半値押し(※102.59円~151.95円)は、本邦通貨当局による3回のドル売り・円買い介入と12月の日銀金融政策決定会合でのYCCの許容変動幅の±0.5%への拡大が要因となっていた。
すなわち、10月の151.95円から12月20日の136円台までの約16円の円高は円買い介入効果、その後の1月の127.23円までの約9円の円高はYCC修正効果だといえる。
米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+3.8%まで伸び率が鈍化していた。
日銀がインフレ指標として注視している5月のコアコアCPI(生鮮食品およびエネルギーを除く)が前年比+4.3%まで上昇。
日米の金融当局が注視しているインフレ率が逆転していることも、日銀の政策金利(-0.1%)とYCC許容変動幅(±0.5%)に対する懐疑的な見方を強めている。
なお、FRBのドット・プロット(金利予測分布図)での年末のFF金利誘導目標5.6%(※5.50-5.75%)に対しても、「フェドウオッチ」は1回の利上げのみという懐疑的な見方のままである。
【本日の重要指標】 ※時刻表示は日本時間
<国内>
特になし
<海外>
○10:45 ◎ 6月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:56.2)
○15:45 ◇ 5月仏鉱工業生産(予想:前月比▲0.2%)
○16:00 ◎ ナーゲル独連銀総裁、講演
○16:00 ◎ 6月トルコ消費者物価指数(CPI、予想:前月比4.84%/前年比39.47%)
○16:50 ◎ 6月仏サービス部門PMI改定値(予想:48.0)
○16:55 ◎ 6月独サービス部門PMI改定値(予想:54.1)
○17:00 ◎ 6月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:52.4)
○17:30 ◎ 6月英サービス部門PMI改定値(予想:53.7)
○18:00 ◎ 5月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比▲1.8%/前年比▲1.3%)
○20:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 5月米製造業新規受注(予想:前月比0.8%)
○6日01:00 ☆ 1-3月期ロシア国内総生産(GDP)確報値
○6日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(6月13-14日分)
○6日05:00 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。
▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
※指標などの発表予定・時刻は予告なく変更になる場合がありますので、ご了承ください。
【前日までの要人発言】
4日08:11 神田財務官
「為替に関し、米国を含め様々な意思疎通を行っている」
4日11:18 鈴木財務相
「為替含め、財務官レベルで米国と緊密に連携を図っていることは事実」
「為替相場や対応について、追加で答えることはない」
4日17:33 プーチン露大統領
「ロシアは制裁と挑発に立ち向かう」
「紛争の可能性が高まっている」
5日03:29 ミツォタキス・ギリシャ首相
「債務危機時に受けた救済融資を前倒しで返済することができると思う」
※時間は日本時間
〔日足一目均衡表分析〕
<ドル円=143円後半まで上昇の転換線を支持に押し目買い>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
孕み線で反落したものの転換線を上回って引けており反発の可能性が示唆されている。
本日は、143円後半で上昇中の転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
天井圏を示唆する「二本立ち二羽烏」のパターンには要警戒か。
レジスタンス2 146.59(2022/11/10高値)
レジスタンス1 145.07(6/30高値)
前日終値 144.47
サポート1 143.90(日足一目均衡表・転換線)
サポート2 142.72(6/23安値)
<ユーロドル=転換線は本日1.0906ドルまで低下>
陰線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けているため、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
しかしながら2手連続陰線で転換線を下回って引けており、続落の可能性が示唆されている。
転換線は本日1.0906ドルまで低下してきた。
同線を念頭に置いて戻り売りスタンスで臨み、6月22日の高値を超えるようならば手仕舞い。
レジスタンス1 1.1012(6/22高値)
前日終値 1.0879
サポート1 1.0824(日足一目均衡表・基準線)
<ポンド円=上向きの転換線を支持に押し目買いスタンス>
小陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、182円台で上向きの転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い
レジスタンス1 184.29(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 183.69
サポート1 182.60(日足一目均衡表・転換線)
<NZドル円=転換線を支持に押し目買いスタンス>
陽線引け。
転換線は基準線を上回り、遅行スパンは実線を上回り、雲の上で引けており、三役好転の強い買いシグナルが点灯中。
4手連続陽線で転換線を上回って引けており、続伸の可能性が示唆されている。
本日は、転換線を支持に押し目買いスタンスで臨み、同線を下抜けた場合は手仕舞い。
レジスタンス1 90.06(ピポット・レジスタンス2)
前日終値 89.45
サポート1 88.54(日足一目均衡表・転換線)
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